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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第2章

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215、イザベルとマリー ※

王都を飛び立って一時間。ほぼ一直線でクタナツを目指している。オディ兄に貰った羅針盤があるから楽勝だ。ムリーマ山脈だって上空を通過する。魔物はたくさんいるが、私に追いつける奴なんかそうそういない。無視してぶっちぎってやる。


解毒をかけ続けながらも全速力。さすがにキツいな……




見えた! クタナツ! 上空から急降下!

実家へ直接着陸だ!


「母上! 母上!」


「カース君? 王都に行ってたんじゃあ? それにエリザベスさん!? どうしたの!?」


「ベレンガリアさん! 母上は!?」


「いらっしゃるわ! 奥様ー! 奥様ー!」


よかった。いるのか。


「カース? どうし、エリザベス! 毒なのね!?」


さすが母上。話が早い!


「ベレンガリア! 急いでマリーを連れて来てちょうだい! 早く!」


「はいぃ!」


マリーも必要なのか……

やはり危ない毒か……


「おじいちゃんはまるで『死汚危神』みたいだって言ってたよ……」


「そうね。私もそう思うわ。クタナツに連れてきて良かったわ。助かる可能性が少し出てきたわ。カース、しばらく解毒を頼むわね。」


「押忍!」


母上はそう言って家の中に入っていった。助かる可能性か……やはり母上は頼りになる。それでも少しなのか……




ほどなくしてマリーも来てくれた。


「マリー! 姉上が!」


「坊ちゃん……お任せください。坊ちゃんはそのまま解毒を続けてください。」


母上も出てきた。な、なんだその服装は!?

まるでどこかの神殿の巫女のようだ。


「マリー、どう見る?」


「奥様……まるで禁術の毒です……」


「やはりそうなのね……お願いできる?」


「お任せください。私もちょうど行かなければならない用がありましたので……

さて、坊ちゃん。話は後です。今から私とお嬢様を乗せて北に飛んでもらいます。いいですね?」


「分かった! どこへでも行くよ!」


すると母上は着ていた服を脱ぎ、姉上を覆ってしまった。顔だけは出しているが。

そして、いきなり自分の髪をほとんど根本から切ってしまった。それを姉上と服の間に詰め込んだ。

その上、手首を斬って……上から血をかけている……


「母上! 何やってんの!」

「ギャワワッ!」


「エリの生命維持よ……でもごめんなさいねカース。これでもきっと足りないわ……あなたに大変な思いをさせてしまうわね……」


一体何を……?

姉上は母上の髪と血、そして巫女のような服に包まれた。


「いいわよマリー。できればまた会いたいわ。帰って来てね。」


「もちろんです。さあ坊ちゃん出してください!」


「分かった! 母上行ってくるね! ベレンガリアさん! 母上をお願い!」


「分かったわ! 任せて!」


話がさっぱり分からんが、姉上が助かるならそれでいい! 行くぞ北へ!





カース達が飛び立った後、マーティン家では……


「私は騎士団詰所に出頭してきます。キアラを頼んだわよ。」


「そんな……奥様……」


「仕方ないわ。こんなに白昼堂々と関所破りをしてしまったんですもの。隠しきれないわ。せめて少しでも罪が軽くなるよう祈っておいて。」


「はい……奥様……」


イザベルは服装を整え、騎士団詰所に出頭した。乱雑に切られた髪が悲壮感を漂わせる。一時的ではあるが髪と魔力を失ったイザベル。よほど親しい者でない限り今の彼女を見て、あの魔女だと気付けないだろう。

一体どれほどの罪になるのか。カースはクタナツに帰って来ることができるのだろうか。

挿絵(By みてみん)

イザベル・ド・マーティン

©︎長月おと氏

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