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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第2章

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95、闇ギルドとズブズブ

夜なので馬車で行くのもダルくあっさり飛んで行くことにした。


「昨日は驚くひまもなかったけどよ。こいつぁどうなってんだ?」


「俺の魔力で飛ばしてるだけだよ。」


今夜の私は全身黒ずくめ。

トラウザーズとウエストコートはいつも通りだが、その下のシャツもシルキーブラックモスの黒い方のシャツを着ている。そこにボルサリーノ風の中折れ帽を目深にかぶって小粋に決めて、夜の小さい紳士である。あ、小さいと言っても私の身長は現在百六十センチぐらいはある。着実に伸びているのだ。

問題はお腹に例の卵を抱えているので小太りに見えること。温めないといけないからな。




五分もかからず到着。前回とは違う建物のようでまあまあ立派だ。


「いらっしゃいませダミアン様」


玄関前、そして入ってからもダミアンに挨拶をする声が止まらない。


「今夜は手本引きやってるか?」


「いえ、今夜は丁半でございます」


「そうか。どうだカース? 丁半やってみるか?」


「あー、少しだけな。」


丁半はサイコロを壺の中で二個振って出た目の和が偶数か奇数か当てるギャンブルだ。


さっそくやってみよう。


「半方ないか、半方ないか」


賭け金が丁半でだいたい半分ずつになるように調整しているのだ。現在は半が足りないのだろう。だから私は半に金貨一枚賭けてみた。


「丁半コマ揃いました」


「勝負」


五二(グニ)の半、半と出ました」


運良く勝ったが私への戻りは銀貨九枚と銅貨五十枚だ。勝っても五分ほど寺銭(テラ)を払うからな。教会はあっても寺なんかないのに……あーでも寺院ならあるか。ローランド神教会クタナツ寺院とか。

それにしても、やはり博打は儲からないな。




一時間ほど続けていたが、今夜は金貨二枚分ほどの負け。ダミアンはもっと負けていたようだ。


「ダミアン様、休憩なされてはいかがですか? 酒肴など用意してございます」


負けが込んできたもんだから気を使われてるのかな?


「おお、そうするか。カースも行こうぜ。」


「おお、酒は飲まんけどな。」


案内された一室は学校の教室程度の広さだった。立食形式で軽食と酒が用意されており自由に飲み食いができる場所のようだった。スラムの賭場にしてはサービスが良くないか?

私はあまり空腹ではないので適当に摘む程度だ。ダミアンは酒が進んでいるようだ。


「さて、俺はそろそろ帰るぞ。オメーはどうせ娼館に行くか女を呼ぶかってとこなんだろ?」


「おいおいもう帰るのかよ。ここからがオモシレーんだぜ?」


「ほう、何があんの?」


「奴隷の競売だ。何なら買って行けよ。」


マジかよ……


「オメーの立場でそんなことしていいのか?」


「別に違法じゃねーよ。きちんと許可を得た真っ当な競売だぜ。俺は見るだけだがな。」


「ふーん、なら見るだけな。買う気はないぞ。」


父上もこうしてマリーを買ったのだろうか。


外の特設ステージのような場所に移動すると、売られるであろう全員がステージ上に並んでいた。

売りに出される人数はざっと十人。

一人ずつのオークションとなるようだ。


少女から年増まで幅広い。十五歳前後の女はやはり高いらしく、金貨三十枚から百枚の値が付いている。それが二十歳を過ぎるとガクッと値下がりし、三十歳ともなると金貨五枚でも売れてない。

みんな美人という訳でもないけど普通の顔をしている。男も混じっているが、そちらは高くても金貨十枚だった。最後まで売れない者もいた。その場合ってまさか鉱山行き?




「楽しい時間もいよいよ最後となりました。お名残り惜しゅうございますがご紹介いたします!」


「親の因果が子に報い、哀れ平民落ち貴族!

そんな状況にも負けず、必死で生きてた女の子!

悪い男に騙されて、借金総額五千万!

どうぞ哀れとお思いならば、可愛がっておくんなさい!

スカイ・アジャーニちゃん十六歳、もちろん初物、生娘だー!」


「それでは! 借金額である金貨五百枚からの開始です!」


アジャーニと言えばヤコビニ派の生き残りか。女の子は平民落ちで済んだのね。つーかどんな騙され方をしたら金貨五百枚も借金できるんだよ。その男の行方も気になるな。そんな男に騙されてるのに生娘って本当か?


へぇ、意外と白熱してる。金持ちが多いんだな。まぁ綺麗な顔をしてるし無理もないのかねぇ。


「千枚! 千枚が出ました! 他にありませんか?」


『千二百!』

『千三百!』

『千五百!』

『二千!』


「おーっと二千枚です! どんなお大尽なんだー! さあ他ないか他ないかー?」




「ありませーん! 金貨二千枚で落札です! おめでとうございます! さあ、見事落札された青髪のジェントルマン。諸注意と引き渡しがございますので、別室へお願いいたします!」


まあ勉強にはなったかな。楽園用に買ってもよかったけど、あんな所に置き去りにするのは可哀想すぎるからな。やはりゴーレム頼りだよな。


「なんだよカース、買わなかったのかよ。」


「当たり前だ。買うかよ。」


ダミアンは私を何だと思ってるんだ?

それにしても今日は賭博に奴隷オークションか。何だかとても悪いことをした気がするぞ。こんな平日によくこんなことやってるよな? いや、平日だからか?


それにしても金が原因で奴隷落ちか……犯罪が理由ならいきなり鉱山行きなので、それよりはマシなのか。ある程度は生活を保障しないといけないので無体な目にはそうそうあわないらしい。今後も買う気はないけど彼らの人生はどうなるのだろうか。


今度こそ帰ろう。

ズブズブな関係にならずに済んだようです。

彼女の借金総額五千万、単位はイェンです。

これを金貨に換算すると五百枚となります。

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