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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第2章

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94、事件の概要

自宅に帰ってみるとダミアンが来ていた。


「おかえりなさいませ。」

「よお、ヴァルの日に帰って来るとは珍しいな。」


「オメーこそ。よっぽどマーリンの料理が気に入ってんのか?」


「まあな。それより大体真相が分かったぜ。依頼人はアレクサンドル家だ。もちろん本家じゃねえ、領都の方な。」


ダミアンによると……

アナクレイルは未だ拘留されているが、その母親であるチャーシューババアは一ヶ月前に釈放されている。そいつが依頼人だった。


なぜ私ではなくてアレクを狙ったのか?

それは私を苦しめるためだそうだ。確かに……もしアレクが死んだら……

恐ろしい……これが貴族の思考なのか。


私達が週末よくカスカジーニ山に行くことは調査済み、つまり待ち構えていたのだ。あの殺し屋は週末ごとにあの山で私達が来るのを、じっと待っていたのだ。あんな危険な場所で。


私達が北の城門を超えた時点で鳥によって直接知らされ、その後自力で私達を探し出したのだ。


殺し屋によると、相手が貴族なので吹き矢にはかなり強力な毒を塗った。即効性で危険な毒物……即座に解毒を使って正解だった。

普通の吹き矢は五十メイルも飛ばないが、単純に腕と魔力でカバーするほどの凄腕。しかも隠形もかなりのレベルで修めているとか。

回復魔法や治癒魔法は今でもできない私だが解毒だけはできるようになってて本当によかった……


騎士団がガサ入れした建物は暗殺ギルドではあったが大元ではなく根絶とはいかなかった。しかし今回の依頼は領都内で受けたものなので、次は来ないだろうとの見方が濃厚らしい。


チャーシューババアは貴族に対する殺人なので奴隷落ちが確定。兄ちゃんことアナクレイルはアレクとの示談が成立したのでもうじき釈放になる。ちなみに兄ちゃんの借金は全額支払い済み、おそらく父親だろう。


鳥を使う男については消息が分からない。鳥を介して接触しているのでどうしようもないようだ。




「まあよ、暗殺ギルドって大抵が王都に本拠地があってよ。そこから暖簾分けのように各地に増えていくんだよな。今回もそのパターンだろうぜ。」


「なるほど。あいつらって本当に手が込んでるよな。尾行するにも一苦労だったわ。」


「領都の夜はな、ダミネイト一家って闇ギルドが仕切ってんだがよ。その隙間にネズミのように色々入り込むんだよな。領都には金が唸ってるからよ。特に今は草原の街の特需があるしな。どこの組織も必死だぜ。」


「へー、やっぱ闇ギルドとかあるんだな。詳しいじゃねーの。どうせあれだろ? オメーの息がかかってんだろ?」


「バカ言うなよ。そんなわけねーだろ。俺ぁ由緒正しい辺境伯家の三男様だぜ? あぁそうだ。こいつぁお前のだ。」


ダミアンは袋を取り出した。金貨かな?


「この前のお祭りの分と俺の借金だ。オマケで多目に入ってるぜ。」


「おお、わざわざすまんな。ありがとよ。」


見た感じ三百枚ぐらいあるかな?

それをざっと半分に分けてダミアンに渡す。


「ほれ。今回の分だ。昨日は休みを潰して悪かったからな。夜もわざわざうちに泊まってくれてただろ。ありがとな。」


「へっ、バーカ。そのぐらい当然だろ。まあせっかくだ、貰っとくぜ。」




「さあさあ夕食ができましたよ。テーブルを空けてくださいな。」


さすがマーリン、いいタイミングだ。


「おっ、今日も旨そうじゃねーか! こんなトコなんか辞めてうちで働けよ。三倍出すぜ?」


「バカ野郎。それなら五倍出して引き止めるぞ。」


「あらあらありがとうございます。でも私はここが気に入ってますので。」


嬉しい。マーリン大好き。


「じゃあ三人で食べようか。たまにはいいよね?」


「はい。お邪魔いたしますね。」




妙な三人組だが楽しい夕食となった。


「あっ、お土産がある。一つずつね。」


「おお、グリフォンの羽根かよ。お前にしちゃあ粋なモン持ってんじゃねーか。」


「あらあらそのような物を。ありがとうございます。」


お土産用に数本だけはキープしておいた。意外と喜ばれるもんだな。


「酒は置いてねーのか?」


「あるわけないだろ。俺はお子様だっつーの。飲みたきゃ持ってこい。」


人が飲みたいのを我慢してるってのに、こいつときたら。


「よし、腹も膨れたことだし夜遊び行くぜ。来るよな?」


「行き先によるな。スラムは嫌だぞ。」


「まあそう言うな。ダミネイト一家を紹介してやるからよ。」


「ますます行きたくないな。闇ギルドなんぞと関わりたくないっての。」


「手本引き面白かったろ? 今回の暗殺ギルド『魔蠍(まかつ)の針』をぶっ潰したのは実質お前なんだからよ。ここらで闇ギルドに顔を売っておくのも悪くないぜ?」


あー、どうなんだろう。アレクに近付く男を減らすために大会を開催したわけだが、闇ギルド相手に顔を売っても別にいいことなさそうなんだよな……


まあいいか。手本引きを楽しむとしよう。


「手本引きをするだけだからな。余計なことすんなよ?」


「よし決まりだ。行くぜ!」


全くこいつは。子供を夜の盛り場に連れて行くとは……

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