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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第2章

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5、ノワールフォレストの森にて

こうなったら特訓をするしかない。

このような特訓にうってつけの場所は……

ノワールフォレストの森だな。


週末、私は朝から森の南端部にやって来た。ここから歩いて内部に入り込む。自動防御は張っていない。範囲警戒もだ……

魔法と虎徹を駆使しての武者修行なのだが、恐ろしい……


森なのだから当然だが虫がすごい。前回もその前も自動防御を張っていたから虫など寄り付かせもしなかった。それを今回は虎徹で叩き落とそうとしているのだが上手くいかない。もちろん当たれば落ちるのだが、半分も当たらない。

もしや、これはいい特訓になるのでは?


しばらくやってみよう。近寄る虫は皆殺しだ。近寄らない虫も焼き尽くしてやる。

最初は自分に甘く、後ろには水壁を用意しておいた。横と正面の虫だけ対応する。


ちなみにコーちゃんはそこら辺の虫を食べたり尻尾で叩き落としたり気ままに遊んでいた。「ピュイッ」


一時間ほど経っただろうか。だいぶ慣れてきた。正面の虫はほぼ一撃で命中している。横の虫もほぼ空振りなしだ。ならば水壁解除、全方位対応してやるぜ。


さらに一時間ぐらい経過したか……そろそろ昼かな。普通の冒険者はどうやって弁当を食べてるんだ? そもそも一般的な魔力庫の性能を考えたら弁当など無理だよな? ならば現地調達?

幸い私に毒は効かないので、キノコやら何かの根っこなど食べてもいいのか?

せっかく来たんだから挑戦してみよう。まずはキノコから探して……


たくさん見つかることは見つかったが、明らかに毒キノコっぽい極彩色のものは除外しておく。せめて見た目だけでも普通っぽいもの、椎茸や舞茸、大きな松茸風のものだけを焼いて食べよう。武者修行をしに来たはずなのに……


一口ずつ食べてみたところ、椎茸、舞茸風のものはまあまあ美味かった。松茸風のものはかなり苦かった。一応持って帰って聞いてみるつもりではある。ざっと五種類ぐらい入手してあるのだが。醤油が欲しい……ポン酢でもいい……


魔力を込めてコーちゃんにも食べさせてあげたのだが、どれもまずいと言われてしまった。やはり違いの分かる精霊なのだ。


そこら辺を掘り起こして自然薯的なものがないかとも考えたのだが、それらしき蔦が見当たらないのでやめた。そうこうしているうちにキノコを焼いた火に惹かれたのか魔物も寄ってきた。狼かな?


体長は一メイルと少し、灰色の体毛に鋭い牙。そんな狼が七匹、唸り声をあげて走り寄ってきた。


私は落ち着いて虎徹を構える。ノワール狼じゃないのなら怖くはない。私の喉笛を食い千切ろうと牙を剥き出しにして襲ってくるため簡単に頭を打ち砕くことができる。多勢だから油断していたのだろうか、それとも所詮魔物なのか?

その調子で三匹ほど仕留めた時、私を挟み込むように両サイドから同時に襲ってきた。片方が首、もう片方が足狙いのようだ。

ここは無理せず頭を狙ってきた方に対処する。虎徹で大きく開いた口を突き破る。その間にもう片方が私の脛に噛み付くが無傷だ。衝撃で倒れさえしなければ何の意味もない、落ち着いて胴体を斬り払う。

さすがはサウザンドミヅチのトラウザーズ、傷付きもしなければ汚れもしてない。残り二匹、何やら雄叫びをあげている。仲間やボスでも呼んでいるのだろうか。しかし待ってはやらん、一匹は頭をカチ割り、最後の一匹は下顎を蹴り上げる。楽勝だった。


やはりノワール狼のクロちゃんの動きからすると弱いな。当時の私が小さかったことを差し引いても動きの鋭さが全然違う。

売れるのかは分からないが七匹とも収納しておこう。


さて、先ほどの雄叫びは何だったのか……気休め程度に場所を移しておこう。


「ギャワワッ!」


コーちゃんが警戒を促している! 上!? 蛇!?

大口を開けた大蛇が木の上からバンジーのように急襲してきた。コーちゃんが教えてくれなかったら頭を丸かじりされていたことだろう。何の音もしなかったぞ!?

慌てて虎徹で頭をぶっ叩く。危なかった。


森だもんな。上下も警戒しておかないと……

本当に世の中の冒険者ってすごいな……

よく生きていけるよな……


私は気を取り直し森の奥へと歩みを進める。

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