250、立ちはだかるイケメン
ふーぅ。楽しいひと時だったな。たまにはこうして同期と飲むのも悪くないよね。
インダルが案内してくれたのはごく普通の酒場だった。ただ、ごく普通と言うにはなかなか清潔でガラの悪い客がいなかったことがグッドだね。
そんな混んでもなかったし、なぜか昼間から吟遊詩人もいたし。いい時間だったねぇ。
さて、ほどよく酔ったし帰るとしようか。トマトちゃんとにんじんちゃんは村長の両サイドをがっちり固めて動かないけど。
「フェリクスどうする? まだ飲むかい?」
私とアレクは帰るけどね。
「ふむ、ちと歩きたい気分だの。カース殿は帰るのか?」
「ああ。ちょっと大回りして帰ろうと思ってるよ。」
「ちょっ! 魔王あんたもう帰る気ぃ!? フェリクス様はまだ飲む気なんだからね!」
「違うのねミラノ。フェリクス様は歩きたいって言ったのね。」
「違うわよスカーラ! 本当はまだ飲みたいに違いないんだから!」
「言ってもないことが聞こえるのは危険な状態なのね! ですよねフェリクス様?」
「ん? そうさの。耳に魔物が入り込んでおるやも知れんの。儂はちと歩きたい気分だて。腹はすでに満ちたからの。外の空気を味わいながら歩きたい気分だわえ。」
「ちょっ、そ、そうなんですかフェリクス様! なら行きましょうすぐ行きましょう!」
「待つのねミラノ。まだフェリクス様の好みを聞いてないのね。で、どうですかフェリクス様? 私とミラノどちらがお好みですのね?」
あらあら。村長ったらモテモテだねぇ。どうするんだい? 二人ともお持ち帰りしたっていいんだぜ?
「ふむ、好みか。よく分からぬが来たいなら来ればよいのではないか? のうカース殿?」
「ん? いいんじゃない? うちは広いし。」
あらまぁ村長ったら。二人ともお持ち帰りする気かい? お盛んだねぇ。
「ではカース殿。ちと散歩といこうではないか。儂には全てが珍しいからの。」
「そうだね。行こうか。」
適当にショッピングするのも悪くないしね。なんせ魔力庫の中にはもうあんまり酒が入ってないし。
うおっ。アレクったらやるねぇ。ギルドから出た途端、いきなり換装を使うんだから。真っ赤なドレス。散歩するだけなのに全力ってか? 超似合ってるぜ。
「アレク最高だよ。領都中の男が振り返っちゃうね。」
「うふ、ありがとう。久しぶりの領都だから少しおしゃれして歩きたくなっちゃって。」
「そもそもアレクはどんな服着ててもみんな振り返るよね。すっごくきれいだよ。」
「もうっ、カースったら。さ、行きましょ? 香水の新作があれば欲しいと思ってるとこなの。」
「いいね。アレクに相応しいレベルならいいんだけど。」
だってアレクったらナチュラルにいい香りがするんだから。そこに香水付けた日には鬼に金棒、剣鬼に神剣じゃない?
「ふむ、人間の香水か。儂も気になるの。ぜひ立ち寄ってみたいものだて。」
「気に入ったのがあったら言ってよ。もちろん奢るからさ。」
「人間の香水? フェリクス様ったら浮世離れしたこと言うんですね! そんなところも素敵です!」
「でも今纏ってる香りも素敵なのね! これ以上フェリクス様に似合う香りがあるのか疑わしいのね!」
トマトちゃんとにんじんちゃんが村長の両腕にしがみついてる。ああやって両サイドから喋られるとうるさかったりしないんだろうか。
「おい待てよ! 何やってんだよスカーラ! 浮気なんて許さないぞ!」
今度は何だ? いきなりイケメンが立ち塞がって怒鳴ってるが……スカーラ? ああ、にんじんちゃんのことだよな。浮気? あのイケメンはにんじんちゃんの彼氏ってことか?




