231、狩猟勝負開始
さあ、ノワールフォレストの森南部に到着。現在午後一時すぎってとこだろうか
「あ、そうそう。カース君だけにルールの追加があるわ。私達四人の姿が見えなくなってから動いてね? それからもし猟場がかち合ったら譲ってくれる?」
サンドラちゃんルールは面白いなぁ。
「いいよ。ただし偶然仕留めちゃった場合は冒険者ルールでいこうか。意図しないうっかり横槍とかね。」
「いいわよ。どちらがトドメを刺そうとも、先に一太刀入れた方の物ってわけね。」
基本的に冒険者は横槍厳禁だからね。
「そうそう。まあそんな事ってそうそうないとは思うけどね。」
「じゃあ行くわよアレックスちゃん!」
「ええ! カースを驚かせるわよ!」
「僕らも行こうセルジュ君!」
「くれぐれも僕を守ってよね。」
行ってしまった。アレク達はまっすぐ北へ。スティード君達は北東へ。なら私は北西にしようかな。こんだけ広いんだしわざわざ近場で狩りなんかすることはないよね。
それにしても、何を狙おうかなぁ。小さいのをたくさん狩っても解体の手間ばっかりかかるしなぁ。かと言って大物は大物で解体しにくいし。そうなると、せいぜい五メイル級までが最適ってとこだろうか。
この森で五メイル級といえば……大鬼熊や女王魔豚。それに双頭灰色熊や将軍魔豚なんかもいるなぁ。あ、ブラックブラッドブルも族長クラスなら五メイルはあるか。ゴブリンキングとかってどうなんだろう。見たことないんだよなぁ。
まあ意外とレアな奴らだし、そう都合よく出会えるとは限らないよなぁ。デカい魔力を垂れ流して呼び集めるって方法もあるけど、アレク達が危険かも知れないしね。
ここはやはり出会うに任せて地道にいくべきかな。
よし。みんなの姿が見えなくなった。では行こうか。
うーむ……開始から一時間ぐらい経ったかな。全っ然いないじゃん……いや、そりゃあ小さい蛇とかコボルトとかは出てきたよ? 出てきたし、仕留めたけど今回の勝負には使えないよね。捨て置くわけにもいかないから一応収納するだけしたけどさ。蛇系の魔物は解体は皮剥ぐだけで済むけどさぁ、美味しく食べられるかと言うと分からないんだもん。なんせ小骨が多いから! 私だって腹ペコなら気にせず食うけどさぁ。そうでなければ誰がわざわざ食うかい。味そのものは悪くないんだけどね。
味と重さの勝負なんだから無理に魔物肉じゃなくてもいいんだけど、果実や山菜なんて見当たらないしなぁ。狙ったとしても量を稼ぐことなんかできないだろうし。どこかの台地にタラコットの新芽とかあったはずだし美味しいんだけどなぁ。
やっぱ魔物肉狙いだよなぁ。迷宮みたいに倒した魔物がそのまま肉になってくれたらいいのに。
他にはキノコって方法もあるが、食えるかどうかが怪しすぎるしなぁ。
だめだ。場所を変えよう。
ぶっ飛んで思いっきり森の深いところまで行こう。
よし。二十分ほど北にぶっ飛んでみた。それでもノワールフォレストの森の中ではまだまだ南部の方だろうけど。
ほー、この辺は意外と起伏に富んでるのね。山と谷ってほどではないにしても馬車では通れないレベルか。しかし木と木の間は大きいので歩きなら何の支障もないなぁ。さぞかし魔物も暮らしやすいことだろうよ。
おっ! さっそく痕跡発見。これ熊系の魔物だろうなぁ。ぶっとい樫の木にごっつい爪痕。たぶん三メイル級かな。悪くないサイズだね。
ん? よく見ればだいぶ上の方にも爪痕らしきものがあるな。だとすると十メイル級か? そりゃかなりデカいんじゃないの。ブルーブラッドオーガのボスがそのぐらいあったかな。うーむ、そんだけデカいと解体の手間がなぁ……
今すぐ仕留めて帰れば余裕で間に合うだろうけど、出会えるかなぁ。
とりあえず近隣を歩き回ろう。ざくざく足音立ててさ。ほーら熊ちゃん出ておいで。君の縄張り歩いちゃってるよ。
出てこない……
近くにいないのかなぁ。あの爪痕はそこそこ最近っぽいんだけどなぁ。
もう少し歩いてみ、よほわっ!?
びっくりしたなぁもう。上からいきなりかよ。えらく軽やかに襲ってくれるじゃないか。
熊のくせに。
スティード君なら出会い頭に一太刀で終わりなんだろうけど、私なら避けられただけで上出来だな。
でも……残念ながら……




