226、カースの置き土産
そうやって下らない会話をしているうちに、おじいちゃんもやってきた。では夕食の時間だな。私達が夕方ぐらいに帰っちゃうもんだからやや早めだね。
うん。美味しかった。ありがとよ。
「ご馳走様でした。それではお暇する前に、これを王太后様にお渡しいただけますか? ちょっと効き目が激しいやつです。まず先王様がほんの少し飲まれてからの方がいいと思います。」
容器は市販の高級ポーションだけど中身はネクタールだぜ。
「ほう? お前がそこまで言うほどか。ありがたくいただこう。」
歳のせいでポーションも魔力ポーションもあまり効かないって言ってたが……
「こっちはおじいちゃんに。おばあちゃんに飲ませてあげて。先王様の反応を見てからね。」
「おおカースや。ありがとなぁ。村長殿にも診てもらったが特に悪いところもないようだ。これできっと元気も出るじゃろう。」
本当はお見舞いに行きたいところだが貴族淑女の寝室だからな。遠慮するしかないな。つーか村長ずるいぜ……
「そういえばカースよ。以前ドワーフをここで勉強させたいと言っておったな。特に結界魔法陣についてを。」
「ええ。ですが、もちろん王家の秘伝でしょうから無理なら無理で全然構いません。」
二ヶ月にチラッとお願いしてたことだが、覚えていてくれたのか。
「歓迎するぞ。先ほどもドワーフと話してみたが、あやつらは面白いな。当然お前のエデン以外には使わぬよう契約魔法はかけさせてもらうが、あやつらなら教えてもいいだろう。」
「ありがとうございます。また何人か連れてきますのでよろしくお願いします。」
よし。これで楽園の結界魔法陣も改良できるかな。それにしても、えらくあっさりオッケーしてくれるもんだな。たぶん私のお願いだからだろうね。それに双方にメリットあるしね。技術交換に近いんじゃない?
「それにしてもカースはさすがじゃの。村長殿だけでなくあのドワーフとも懇意にしておるとは。つくづく誇らしいぞ。」
「いやぁそれほどでも。おばあちゃんにもよろしくね。近いうちにまた来るから。」
前回もおばあちゃんの顔見てないんだかさ。ちょっと心配なんだよな。王都でソルダーヌちゃん達の結婚式が終わったらまた来るからね。
「うむ。楽しみにしておるからの。儂にとってお前達の元気な顔は何よりの活力じゃて。」
そう言われると嬉しいね。王都でたっぷりお土産買ってくるからね。
「先王様、お邪魔いたしました。ヴァランティーナ様の件は陛下にしっかりとお伝えしておきますわ。
おじいちゃんもくれぐれもお元気で。ゼマティス家の皆様によろしくお伝えしておきますね。」
「くっくっく。クレナウッドがどんな顔をするのか見ものだが、それは勘弁してくれ。余が悪かったわ、くく。」
アレクもやるなぁ。先王がやり込められてるよ。うぷぷっ。
「アレックスもよくできた孫じゃあ。カースを頼むぞ。」
「はい。お任せください。」
いやー、アレクが頼もしいね。これなら先王が変な女を捩じ込むこともないね。それにしても王族の姫ってのは好みがうるさいんだねぇ。贅沢なもんだわ。
では、先王もおじいちゃんもまたね。みんな元気でね。
さて、外でサンドラちゃん達と合流して、と。組合長がえらく村長に執着してるっぽいが……もしかして、コテンパンにやられたとか? そりゃあ相手が悪いよなぁ。
「スティード君お待たせ。帰ろうか。」
「あ、あぁうん……」
おや、何か気になることでも?
「待てやぁカースぅ。ちっとばかりお話しの時間がいるぜぇ?」
「あら組合長。どうしました?」
「まあ用があるのはおめーじゃねぇがよぉ。のぉエーデルぅ?」
エーデル? って確か……
「ん? どうしたドノバンよ?」
そうだよ。村長のことだ。確かエーデルトラウトヤンフェリックスだったか?
つーか組合長と村長いつの間に愛称で呼び合う仲になったんだ?
「のぉエーデルよぉ? このまま勝ち逃げできるたぁ思っちょらんのよぉ?」
んん? 勝ち逃げ?




