225、現国王の長女ヴァランティーナ
私が頑固者? そんなつもりは……あるね。無理なもんは無理だもんな。
「え、えーっと、僕がどう関係するんですかね?」
「ふふ、大したことではないわ。お前がクレナウッドの長女ヴァランティーナを娶りここの領主になってくれれば最良だ、などと思っておらぬさ。」
あぁ?
「クレナウッド陛下のご長女ヴァランティーナ・ルージュ・ローランド様ですわね。確か、未だに婚約者がお決まりでないとお聞きしておりましたが。」
国王の長女? マジか。まだ未婚だったのか……よくは知らないけどエリザベス姉上より歳上だろ?
それにつけてもアレクの有能っぷりよ。
「くっくっく。巷ではソルダーヌが『暴れユニコーン』などと呼ばれておったようだが、我がローランド家ではティナこそが『暴れユニコーン』だったものだ。」
そうなの!? もちろん初耳なんだけど。だって世代が違うし。ウリエン兄上ぐらいの世代か?
「寡聞にして知りませんでした。どなたもヴァランティーナ様のお心を射止めることができなかったとの噂を耳にした記憶はございますが。」
「くっくっく。あやつはの、どこか偏屈な面があるようでな。ウリエンのような男が好みのくせに、世の女どもが群がっておると知るや興味が失せたらしい。ウリエンより強く美しい男でないと会う気すらないとバラモロード村に引き篭もりおったわ。」
へ? わざわざ聖地バラモロード村に?
「で……先王様はカースこそがヴァランティーナ様を娶るに相応しいとお考えなのでしょうか?」
おいおい……私は兄上ほどイケメンじゃないぞ。イケメンだったとしても無理だけどさ。
「くくく、そうであれば良いのだがな。どうだカース? 一国の姫を妻とするは男の本懐ぞ?」
「いやぁ、ごめんなさい。もちろん無理です。」
先王ったら分かってて聞いてるよなぁ。
「そうか。まったくお前ときたら頑固よの。お前ならばわざわざヴァランティーナを勘当せずとも済むものを。」
「そもそも兄上みたいな顔が好みなのでしたら僕じゃあ無理でしょう。」
まったくもう。贅沢な女もいたもんだ。それが王族の姫君ってもんかねぇ。
「お前がティナを妻として、ここの領主となってくれれば最良よの。アントンも大喜びだな?」
おいおい……
「もちろん無理ですけど、もしそうなったらこのサベージ平原全てが僕の領地になっちゃいますよ?」
そんな気はもちろん無いが。私はアレクオンリーラブだからな。
「構わぬとも。その時お前が名乗る家名は『ローランド』だからな。アレックスよ、どう思う?」
マジかよ……
「大変結構なことかと。対外的に当主が第二夫人の家名を使用することぐらいカースにとっては些細なことかと。」
ぶはっ。さすがアレク。全然動じてないね。これぞ正妻の貫禄と言わんばかりに。惚れ直しちゃうぜ!
「くははははは! それでこそアレックスよの! 魔王の妃たるに相応しい振る舞いよ! まったく、付け入る隙が無いではないか。やれやれ、ティナは行き遅れどころではないというのに……」
はは……第二夫人だろうと勘当されようと気にせず兄上をゲットした二女ティタニアーナの姉なわけだよな。姉妹揃って猪突猛進タイプか? こうと決めたら一直線ってか。おもしれー女達だねぇ。
「王都の若い貴族達はどうしてるんですか? 王女を惚れさせるような若者はいなかったんですか?」
「あやつは今回の王都一武闘会、それなりには注目しておったようだがな。結局どの優勝者にも興味を示さなかったらしい。王家の血をなんだと思っておるのやら……」
あらまぁ。でもそれ本人だけのせいじゃないよね。普通王族の姫ともなれば本人の意志なんか無視して婚約させるもんだろ? それをしっかり本人の意志を尊重しまくっててその歳まで独身か? 甘やかしすぎなんじゃない?
「第二夫人でよければ私は歓迎いたしますわ。カースが何と言うかは分かりませんが。」
アレクも強気だよなぁ。王族の姫を相手にさぁ。
「くっくっく。カースが拒絶することなど分かりきっておるわ。この不敬者め。まあよい。お前がだめならフランツウッドの子らに期待するかの。それまで余が長生きできるかは分からんがな。」
むっ? それってフランツとキアラの子ってこと!? ま、まだ早いに決まってんだろ! あいつらまだ結婚もしてないってのに! まったく、何考えてんだこのジジイは……
あけましておめでとうございます。
本年も異世界金融をよろしくお願いいたします。




