224、先代国王グレンウッドの悩み
二ヶ月前と言えば大襲撃が思い浮かぶなぁ。グランツ君達を含め何人も死んだみたいだし。で、それとどう関係するんだろう。まったく、この王族ときたら回りくどいよなぁ。会話を楽しみたいんだろうけどさぁ。
「恥ずかしい話だが、余もうっかりしていたのだ。あやつがいなくなるまでな。」
あやつ? 誰だよ。
「もしや……宰相トマールイ・ ド・アジャーニ様のことでは……」
マジかよアレク。言われてみれば今日はあのじいちゃんを見てないぞ。
「ほう。アレックスは気づいたか。あやつは死んだぞ。港の拠点を死守してな。」
え……宰相死んだの? しかも港の拠点って初耳なんだけど。
「それは残念でした。もし遺品などあれば王都のアジャーニ家まで届けます。」
「うむ。ぜひ頼むとしよう。で、カースよ。お前はどう思う? あやつの死と余やアントンの隠遁がどう関係するのかをの。」
アントンの隠遁……ぷぷっ。
いやいや、いかんいかん。ここは真面目に考えねば。アレクに任せたいところだが……あ。
「もしかして組合長や校長が早めに仕事を終えてることと関係ありますか?」
「ほう。気づいたか。その通りだ。」
あの開拓地だって元近衞騎士は一人しかいなかったし、元宮廷魔導士なんか一人もいなかった。職人以外は若い冒険者が警備の中心だった。ということは……
「もしかして、世代交代を意識されてるのですか?」
「その通りだ。よく分かったではないか。」
そりゃ、あれだけヒント出されればね。でもそうなると、また気になることが出てきたぞ?
「そうなりますと、ちょっと気になったんですが次代のここの領主とかどうされるんですか? 今って先王様が領主なんですよね?」
「痛いところを突いてくるではないか。確かに暫定的ではあるが今は余が代表ということになっておる。まだ貴族領としての体裁が整っておらぬからな。」
ああ、なるほど。開拓の最中だもんな。
「それでもいずれは王家直轄領になるわけですよね? そこで誰を初代領主にするか悩んでおられるわけで?」
「まあな。今ここで力を尽くしてくれておる皆は間違いなく次代の幹部となろう。だが、領主候補がおらぬでな。」
そらそうか。ローランド王家の血筋が領主にならないとここを開拓してる意味がなくなるもんな。資金とか全部王家が出してんだろうし。
「ちなみに、ここを作る前は誰に譲ろうとか考えておられたんですか?」
「フランツウッドだ。あやつならば適任だと思ったのだがな……」
あらまぁ。でも、そうなると気になることがあるぞ?
「あれ? もしかしてフランツにはその事を言って無かったんですか?」
「まあな……ここがどうなるか分からなかったからの。クレナウッドには薄っすらと伝えてはおったのだが。」
あら? まさか王家の中で方針の違いでもあったのか? だってフランツがタンドリアを接収する時ってクレナウッド国王も手を出したよな? うーむ分からん。
「でもフランツはタンドリア大公になっちゃいましたしね……」
「まあの。クレナウッドにはあやつなりの考えがあったようでな。そうなると、残る道は一つしかない。そこでまた悩みが発生するというわけだ。」
残り一つ?
「で、でも一つでもあるんなら良かったのでは?」
「ふっ、ないよりはマシだがな。まったく、お前が頑固者でさえなければ容易く解決したのだがな?」
へっ? 私? 頑固者と言われても……
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2025/12/31 暮伊豆




