186、超ハイリスクそこそこハイリターン
いやー結局のんびり過ごしてしまったね。アースドラゴン解体の続きをしてもよかったんだけど、何となく気が進まなくてのんびりしちゃったよ。まあ新たに解体しなくてもすぐ食べる分はだいたい終わってるしね。
食っちゃ寝と散歩だけの充実した二日間だったなぁ。おかげで体力も魔力も満タンだよ。サンドラちゃんはダークエルフ達とお喋りしまくってたみたいだけど。
そして昼過ぎ。今度こそ帰る時が来た。
「じゃあ村長。世話になったね。また来るからさ。」
「何を言うか。世話になったのは我らの方だ。この恩は終生忘れぬ。また来てくれよ。絶対にな。」
こうやって心から感謝されるのっていいよね。頑張ってよかったとマジで思える。
それに、お土産もどっさり貰ったしね。これはひと財産になるわ。
「うん。また来るからさ。じゃ、みんな元気でね。」
「うむ。カース殿も人間達も皆我らの賓客だ。いつでも歓迎するゆえな。もちろんエルフ族のお三方もだ。」
「ダークエルフ族のご壮健をお祈りしておりますわ。」
「またお話を聞かせてくださいね。」
「いい修行になりました。」
「楽しかったです。」
「ピュイピュイ」
「ガウガウ」
「うちの村長にはよく言っときますわ」
「これでソンブレア村も安泰っすね」
「またこっちにも来てくださいね」
『浮身』
『風操』
手を振りながらゆっくりと浮上。少しだけ名残惜しいな。
さらばソンブレア村。さらば若きイグドラシル。
「ねえねえカース君。今から行くのって危ない草原なのよね?」
「そうだよ。だから気をつけてね。まあ外縁部で待っててくれてもいいけど。」
幻惑草原ことエブロワール大草原だったな。草を刈ったら飛び出してくる魔物とかいたし。あれは危ないよなぁ。それにあそこってやたら広かったし、私の知らない魔物なんていくらでもいるんだろうなぁ。
「行くに決まってるじゃない。私だって色々と欲しいんだもの。」
王太子妃の女官になろうかってお人がいけないお薬を大量ゲットかい? まあ王国法的には全然問題ないんだろうけどさぁ。
「まあお互い気をつけようね。いきなり魔物が出てくるし。」
「大丈夫よ。スティードとセルジュがいるもの。」
サンドラちゃんなら一人でも平気なくせに。
「おーう兄貴ぃー。そろそろだぜー。前回は南端から攻めたけど今回は北端から行くんかー?」
「おう。そうしようか。何か気を付けることってあるか?」
「いーや、ねーな。兄貴なら楽勝じゃね? アースドラゴンよりやべぇ魔物なんてそうそういねーって」
それもそうか?
「あ、そうだアレク。もしかして今回も別行動?」
「そうね。それがいいわ。カムイ……はだめね。コーちゃん来てくれる?」
「ピュイ」
そうなのか……アレクはアレクでお目当ての何かがあるんだったな。悪い子だぜ。それをしれっと私に飲ませるんだからさ。
「サンドラちゃん達はちゃんと三人でいてね。危ないからね。」
エルフから一人案内に付けておこう。アレクにも。
「ええ、そうするわ。それにしても山岳地帯ってどこに行っても面白い所だらけなのね。幻惑草原だなんて闇ギルドなら大喜びで飛んでくるでしょうに。」
「それはそうかも。お宝だらけだもんね。」
まあ、百歩譲ってそこらのチンピラがここまで来れたとしても何もゲットできずに死ぬだけだよなぁ。いきなり下から襲ってくる虫とかいるし。あと匂いでラリラリしてそのまま永眠しそうだし。うーん超ハイリスクそこそこハイリターン。
「ちなみにカース君はお目当ての魔物でもいるのかしら?」
「ああ、いるよ。ほら、この前話した芥子毒牙虫ってやつ。あれコーちゃんのお気に入りだからさ。」
あと国王も気に入ってたみたいだし。少しぐらいお土産に包んであげようかな。
「あぁ、カース君も悪い人ねぇ。アレックスちゃんも大変だわぁ。」
それはないね。アレクは幸せいっぱいに違いないからね。私もだけど。
「はは。じゃあサンドラちゃん気をつけてね。ここ危ないからさ。」
まあスティード君がいれば大丈夫だよね。セルジュ君も一緒だし。
さて、それでは私も動こうかな。まずはカムイを外の方に置いて、と。じゃあカムイ、また後でな。
「ガウー」
カムイはお薬が嫌いだからな。じゃ、アースドラゴンの肝を置いておくからさ。いい子で待ってろよ?
「ガウガウ」
ふふ。ご機嫌になりやがった。かわいい奴だぜ。では私も行くとしよう。たっぷりゲットするぜ。




