173、がんばるスティード
南側に来てみた。みんな無事かな?
おっ、やってるやってる。
ほー、スティード君を中心に戦ってるのか? ダークエルフが魔力控えめ魔法で魔物を牽制してはスティード君が斬り込むスタイルか。ダークエルフ的には魔力を節約できていいんだろうけどスティード君の体力は大丈夫なのか?
ほー、サンドラちゃんはスティード君の援護って感じ? 魔物が背後から近寄った時に魔法を撃ち込むわけね。
それにしても、魔物の死体がすごいな。端の方に山と積み上げられてるじゃん。すごい臭いがしそう……あれを後から解体するのは気が滅入るだろうなぁ。
あっ、また増えた。スティード君が斬り捨てた魔物はダークエルフは山に運んでるってわけね。正確には運んでるってより投げ捨てるって感じか?
「おっ、魔王さん来てくれたのかい。いやぁさすが魔王さんの友だけあるな。すごいよ」
手の空いたダークエルフが気さくに話しかけてきた。
「だろ? 彼は王国最強の剣士だからね。」
少し大袈裟に言ったけどあながち間違いじゃないよな。
「ほう、最強なのかい。魔王さんより強いってことかい?」
「剣の勝負ならね。」
悪いが魔法ありなら負けないぜ?
「ほぉー。やるもんだねぇ。エルフもだけど我らダークエルフも剣なんてそんなに使わないからなぁ。いやぁいいもの見せてもらってるよ」
「スティード君はすごいよね。でもそろそろ体力的にきつそうだから適当に休ませてあげてよ?」
「分かってるって。まあ休ませるってよりは活力を注ぐって感じで?」
あー、回復魔法? そういや私はクロミから回復魔法をかけてもらった覚えがないような……治癒魔法にはめちゃくちゃ世話になったけど。
おお!? いきなり広範囲爆裂魔法か? ダークエルフやるねぇ。自分達には爆風が来ないよう壁もちゃんも構築してるし。
おっ、ダークエルフがスティード君の首筋に触れてる。あれが回復魔法ってわけだな。さすがのダークエルフも回復するには直接触れないと無理なのね。他の魔法みたいに飛ばしたりはできないと。
さあ、爆煙が晴れていく。やったか?
やったね。動いてる魔物はゼロだ。でも大きい魔法を使っちゃったからもうしばらく警戒を続けないとね。
「スティード君調子はどうだい?」
『浄化』
結構汚れてるからね。とんだ卒業旅行だぜ。
「あっ、カース君もきたんだ。さっきまではかなり疲れてたんだけどね。今は絶好調だよ。」
回復魔法ぶち込んでもらったからだね。実はドーピング魔法だったりしないよな?
「それはよかった。そろそろ夕食にしない? お腹すいたよね?」
もう薄暗くなってんだからさ。
「うん、もうぺこぺこだよぉ。せっかくだから仕留めた魔物の中で何か美味しそうなやつってないかな?」
「たくさんあるからね。どれがいいんだろ。」
「こん中で美味いのはやっぱこれじゃねーかなぁ?」
おっ、ダークエルフお勧めの魔物か?
「黒角猪なんてどうだい? 今の時期は産卵前で脂も乗ってるだろうな」
ほう。猪の魔物か。これは期待できるね。つーか猪なのに魔物だと卵生なのね。魔物ってみんなそうらしいけど、やっぱ違和感があるよなぁ。
「じゃあ貰っていくよ。みんなはもうしばらく警戒を続けるの?」
「おそらくはな。夜は特に危ないしなぁ……」
それもそうだ。仕方ないなぁーもー。無視もできないし。
「大物とかやばい魔物が出てきたら呼んでくれていいからさ。さっきなんかアースドラゴンが来たしね。」
「なんと! アースドラゴンだと!? まさか、それ、魔王さんが仕留めたってのか!?」
「まあね。今エルフの三人組が解体してるよ。そっちが間に合えば夕食はアースドラゴンになるんだけどね。」
いくら黒角猪が美味くてもさすがにアースドラゴンには及ばないだろ。まあ両方食べればいいんだけどさ。
「くっ……いいなぁ。オレらも食べたいなぁ……」
「交代で食べに来れば? なんせアースドラゴンだからさ。たっぷりあるよ。解体の出来次第だけどね。」
だってアースドラゴンてくっそ頑丈じゃん? どこから刃を入れるんだろうね? あいつらには期待だな。あー腹へった。
「おお! それもそうだな! ありがたい! すまんが後で行くからな!」
「いいよ。ゆっくりおいで。」
だって絶対なくならないだろうからね。
あー楽しみだわー。マジで解体がんばれよな。




