157、村長の気まぐれ
ふぅ。派手にやったぜ。今回は花火の代わりにステージ照明を意識してみた。光源の魔法でね。こいつをリズムに合わせて点滅させたり色を変えたり、中々に骨が折れる魔法制御だったぞ……
この勢いで次はミラーボール魔法に挑戦してみようかな。
「さすがはカース殿。よもや魔法をこのように扱うとはの。いやいや時代は変わるものよのぉ。」
「ありがと。でも村長ならあれぐらい簡単じゃない?」
「無茶を言いおる。確かにできそうではあるが、曲に合わせてあそこまで正確に明滅させるのは骨が折れそうだの。」
「じゃあさ、もう一曲歌うから村長やってみない? 村長のセンスでさ。」
「ほう? 無茶を言うのぉ……まあよい。やってみるか。さあ歌うがいい。」
よっしゃ。これでドラムとリュートと歌だけに集中できるぜ。
では正統派ロックンロールな一曲を。
ワントゥースリーフォー。
おっ、明るくなった。まずは真上からスポットライトか。気分いいね。
おお、イントロが終わりAメロに入ったら二本に増えた。しかも斜め上から交差するように照らしてくれるじゃないか。やるね。ハレーション起こさないよな?
ほほぅBメロからは色が付いたね。おっ、点滅もしてるじゃん。やっぱ村長クラスならできるよな。さあ、そろそろサビだぜ。どう盛り上げてくれるんだい?
おおっ!? ライトが動いてる!? リズムに合わせて点滅しつつ色も変えつつ。これはすごい……盛り上げてくれるじゃないの。
うっわすっげぇ……ついに動きまでリズムに合わせてきた。めっちゃ激しいじゃん。
いくぜギターソロ、じゃなかったリュートソロ! ゴリゴリにディストーションでいくぜ! これ『拡声』の魔法の応用で音を変えてるけど結構神経使うんだよなぁ。これはフレッグに相談だな。私のリュートに魔道具を組み合わせたりして魔法なしでどうにかならないものか。
さあ、ギターソロ終わりのサビいくぜ。
えっ!? マジか!? 一瞬ブレイクが入るタイミングに合わせて全照明オフだと!? 初めて聞く曲によく合わせられたな……
うおっ眩しっ! 昼かよ。やるなぁ。
最後はド派手に全方位からのスポットライトかよ。マジでやるなぁ。
「村長ありがと。すごかったね。これ劇場でやったら金が取れるよ。そのうち王都とか行ってみようよ。」
「ふははは。面白そうではないか。そうさのぉ、アーダルプレヒトがイグドラシルから降りてきたら行ってみるのも一興か。」
早くても二十年後じゃん……当分先すぎるなぁ。
「ちなみに村長がこっちに来るとしたら姿ってどうする? そのまま来る?」
「ほう、その事があったの。どうしたものか……別にこのままでも構わんが、それではちと面白くないか。ならば、これなぞどうだ?」
おお、顔が変わった! しかもちゃっかり若返ってるし。やっぱめちゃくちゃイケメンだよなぁ。耳も人間と同じになってるし。
「うおっ、すごいね。それって幻術?」
「いや、普通に変化の魔法だの。」
普通じゃねーよ……
「ちなみにアレクは使える?」
「無理よ。あれかなり難しいもの。例えば耳とか、村長、触っていいかしら?」
「いいとも。」
さすがアレク。難しさをちゃんと分かってるのね。
「ほらやっぱり。ちゃんと触れるわ。幻術とはここが大違いなのよね。実体化してる。この魔法って構築するのも難しいけど維持するのにすごく魔力を消費するのよね。」
「ふふ、いかな儂とて人間の街に行ったなら使い続けるのは少々苦労するかも知れぬの。」
本当かぁー? 一ヶ月は余裕で使えるだろ。詠唱もなしでさらっと使ってんだからさぁー。
「だいぶ先の話とは思うけど来たらうちに泊まってってね。王都に家はないけど何とかするし。」
「ほほう、それは楽しみにしておこうではないか。これはアーダルプレヒトが降りてきたら即交代だの。交代はまだまだ先の話かと思っておったが、ふふふ。」
二十年ってのも充分かなり先だと思うんだけど。それがエルフの時間感覚なんだろうなぁ……
でも村長が来てくれるのはちょっと嬉しいな。一緒にデビルズホールとか行きたいね。ディスコティックに踊ろうぜ?




