150、構って欲しい二人
スティード君にも装備してもらおうじゃないか。無敵のイグドラシル装備を。
「ほら、これだよ。話したことなかったっけ?」
「あー、言われてみれば少し聞いたことがあるよ。ご神木で籠手や脛当てを作ったって。すごく重いんだよね?」
「そうそう。着けてみてよ。サイズが合わないからしっくり来ないとは思うけど。」
皮膚に貼り付くように装備できる上に蒸れたりしないという神性能なんだよね。まさに神木。
『付着』
「うわぁ……これ本当に重いね……よくこんなの着けて動いてたよね?」
「少しは慣れたからね。それに、少しだけ魔力を流してみてよ。面白いから。」
「少しだけ……うわっ! 何これ!? すっごく軽いんだけど!」
ふふふ。それでいて防御力は最強クラス。間違いなくムラサキメタリックの剣ですら防げるね。
「いいでしょー。村長におねだりして作ってもらったんだよね。この棍も一緒にね。」
「うわぁすごいね! きっとその棍もすごい威力なんだろうなぁ……あっ! じゃあさじゃあさ! もしもさ……」
「ん? 何なに?」
「その棍でこの籠手を攻撃したらどうなるのかな!?」
お、おお……無敵の棍で最強の籠手を攻撃するだと!? それなんて矛盾?
「気にはなるけど両方壊れそうだからやめておくよ……さすがに泣けるからね。」
「誰が使うかにもよりそうだしね。」
確かに。フェルナンド先生が振ったら同じイグドラシルの籠手でも壊されそう。
「あれ? カース君これどうやってはずすの?」
『離脱』
私の魔力に反応するようになってんだよね。つくづく便利だわー。普段は『換装』するから離脱なんて使わないけどさ。
「へー! すごいんだね! サイズが合わないことを除くと装着感もよかったしさ。これ絶対近衞騎士の正規装備より上だよね! いいなぁ。」
近衞騎士の全身鎧といえば真っ黒でかっこいいやつだよな。あれはあれで丈夫そう。
「ちょっとぉーーカース君! スティード君ばっかり構ってないで僕にもお酒注いでよ!」
おや、セルジュ君が来た。いつの間にやら酔いが回ってるな?
「いやぁごめんごめん。よし飲もうよ! スティード君も行こうよ。いい汗かいたからね。きっとお酒が美味しいよ。」
スティード君の酔いが醒めかけてるからな。その前に畳みかけないとね。まあ汗どころかだいぶ血を流してしまったが……もうスティード君と稽古なんて絶対しないぞ……少なくともこの旅行中は。
さあ、テーブルに戻って再び乾杯しよう。あれ? アレクとサンドラちゃんはどこ行った? フレッグもいない。コーちゃんとカムイは珍しくいい子にしてたみたいだね。
「さあセルジュ君、飲もうよ。」
「おっとっと、カース君ありがとーー! やっぱりカース君が注いでくれたお酒じゃないと酔えないからね!」
ダウト! もうすでに酔ってるじゃないか。まったくもう。私達はまだエイティーンだってのに。
二度とない、エイティーンの夜に。
乾杯。




