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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第5章

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1998/3108

87、祭りの後

「はぐれダークエルフに体を乗っ取られたゴット何とかっていう長老衆は? 結局本人はどうなる?」


「残念ながらもう死んでおるな。体は見ての通りだし、そもそもはぐれに乗り移られた時点で魂源は消えたことだろうて。哀れなことよ……」


どこかで隙を見て襲われたってことか……そりゃいくら探しても見つからないわけだ。そもそも仲間として入り込んでたんだからな。えげつない真似しやがる。


「で、さっきあいつが使ったのが後戻りできない禁術ってやつ?」


他人の体を乗っ取るのにリスキーな禁術があるって話だったよな。


「そうさの。儂も使おうと思えば使えるがあまり旨味を感じぬ禁術じゃて。無蝕転生(むしょくてんせい)と言うのだがの。己の魂源を他の生物に乗り移らせる魔法よ。座して死を待つぐらいなら使うやも知れぬがの。」


うん。アーさんから聞いた話の通りかな。あれ? そういえばアーさんたら始祖は無敵の結界に覆われてるとか言ってなかったっけ? あいつはえらくあっさりと肉迫してたよな? 思えばその前からだ。アーさんは普通に始祖に触れてたじゃん。まあいいや。

この際だから他にも聞いてみよう。


「あいつっていくつか禁術使ってたよね? 例えば姿が消えたと思ったら俺の真後ろにいて魔力を吸ったりとかさ?」


「あれは時加超速(じかちょうそく)と言っての、自分の時の進みを速くできるものよ。あれは儂の目でも追えなかっただけあって十倍や二十倍などという半端な加速ではなかったろうさの。」


時の進み?


「それってただ速く動くだけとは違うの?」


「違うさの。ただ速いだけなら例えばフェルナンド殿ならば感知してしまうのではないか? じゃがあの魔法は違う。術者本人からすれば周囲が止まったように見えるだろうて。まるで時すらも止まったかのようにの。」


確かに……フェルナンド先生は私の狙撃や徹甲弾ですら弾くもんな……音速超えてんのに……たぶんマッハ2とか3ぐらいあると思うんだけどなぁ。


いや、それは今はいいんだよ。

時が止まったかのように? それって最強すぎないか? 何でもやり放題じゃん……だが、そう都合のいいことばかりではあるまい?


「で、その魔法にはどんな弱点があんの?」


「さすがに分かるか。なぁに簡単なことさの。魔力と寿命じゃて。」


「魔力と寿命?」


「その通り。当然ながら魔力の消費が尋常ではないの。儂とて十秒と使えぬわえ。」


それは自力オンリーの場合だろ。イグドラシルの魔力まで使えばほぼ無限だろうが……


「で、寿命ってのは?」


「一秒使うごとに数ヶ月縮む。特に周囲が止まって見えるほどの強さで使うとなると一年は縮みかねんわえ。」


ふぇー……すごいなそれ……やっぱエルフの禁術って副作用が強烈だよな……でも弱点ないじゃん。

さすがに覚えたいとは思えんな。ノーリスクで使えたら最高だろうけど。


「どうじゃの? 使ってみたいとは思わぬか?」


「いや、いい。気軽に覚えられそうにもないし。」


私って大抵の魔法は詠唱さえ分かれば使えるんだけどさ。禁術ってそうはいかないイメージがあるんだよな。それなりに制御が大変そうだろうしね。無痛狂心みたいにさ。あれも使いようによっては容易く心を操れるんだよな。自分には痛み止めとしての使い方しかしてないけど。


「カース殿なら一ヶ月もあれば習得できそうなのだがの。まあ覚えたくなったら言うがいいわえ。さて、嬢ちゃんにも悪いことをしたの。何やら埋め合わせをしてやらねばの。さあ、皆の衆。帰るぞ。帰って始祖様のご壮健を祝って宴をせねばの。」


また宴会か……

私はそんな気分じゃないけどね。


「うむ。実りある謁見だったの」

「時にはこのような不測の事態もまたよし」

「ゴットフリートは可哀想だがそれもまた運命かの」

「はぐれごときに遅れをとるとは長老衆失格ではないか?」

「まあそう言ってやるな。彼奴はかなりの使い手だったでの」


「長老衆の座が空いたの」

「誰がよいかの?」

「ここらで一気に若返りを図るのも手かもの」

「魔力的にはゾルゲンあたりか」

「悪くない選択じゃわい」


ぞろぞろと部屋から出ていく長老衆。いつの間にやら始祖がいた場所の扉は閉まっている。

始祖エルフか……結局ぴくりとも動かず、目すら開かなかった。分かったことは化け物だってことぐらいか。化け物ハイエルフを超えた化け物か。

フェルナンド先生なら、神剣セスエホルスなら斬ることはできるのだろうか。傷つけるだけでも……気になるな。


『浮身』


アレクを軽く浮かせつつ抱える。今日の服装はトラウザーズにウエストコートだから胴体も下半身も無傷だろうと睨んで徹甲弾を連射したが……白いシャツに覆われてるだけの左腕が傷ついてしまった。シャツも大きく裂けている。ぶち殺してやりたいとも思ったが、とっくに死んでるもんな。結局あいつって入念に準備した割に最後は賭けだったよな。禁術が始祖に通じるかどうかのさ。


だいたい始祖の体なんか乗っ取ってどうするのって話だよな。全エルフの頂点に立ったからって何の利点があるのやら。

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― 新着の感想 ―
[一言] はぐれエルフは乾坤一擲の勝負に出ざるを得なかったのでしょうか。
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