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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第5章

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80、稚拙な誘い

コーちゃんもあの虫を他人に食べさせたことを少しだけ反省したみたいだし。気を取り直して出かけるとしようか。


でもどこへ?


「ガウガウ」


散歩する? お前は気楽でいいよなぁ。なら私も気楽に行くしかないよね。


「アーさん、こいつもういらないよね? 持ってっていい?」


「まあ、構わんが。」


『浮身』


「餌にでもするの?」


「そんな感じ。だめで元々だしね。」


いつだったか王都の動乱の時は少しだけ上手くいったんだよな。女エルフを陵辱しつつ晒し者にしてさ。今回は無理だろうなぁ。適当に拷問ぐらいするつもりだけど、意味ないだろうなぁ……


「ならば解いておくぞ?」


「うん。いいよ。」


アーさんが指を動かすと廃人エルフが再び動きだした。狂った笑い声付きで。


『麻痺』

『消音』


目的地なんてものはないが、しばらくは大人しくしておいてもらわないとね。


「ガウガウ」


行き先は風任せ、ではなくカムイ任せ。頼んだぞカムイ。


「夕方には帰ってくるのだろう?」


アーさんにしては珍しい質問。昨日から珍しいことだらけだけどさ。


「たぶんね。つーか期待しないでよ?」


「当たり前だ。」


期待しろよ。




まったくもう。

エルフに限らず人も魔物も身を隠そうと思えば岩陰や洞窟、または大樹の上が定番だ。この近辺のそういった場所を村長達がチェックしてないはずがない。その上で何の痕跡も見つけられなかったってことは……

もうこの近辺にいないか……それとも、よほど巧妙に身を隠しているかだ。例えばリリスにあげた『霞の外套』みたいな魔道具があれば可能っぽいよな。でもなぁ……いくら匂いや気配、そして存在感をゼロにできてもあの村長ならどうにかして感知してしまいそうなんだよな。

実際コーちゃんだってあれを着た私を簡単に見つけたんだからさ。


「ピュイピュイ」


私は特別? もしアレクがあれを着たら見つけられないって? ふーん。コーちゃんがそう言うなら間違いないね。ならばその可能性も考えておこう。エルフ達も同じことぐらい考えてそうだけどさ。




さてと、カムイの歩くに任せてここまで来たわけなのだが……川の前? 大きいけど対岸はどうにか見えるな。アブバイン川ほど大きくはない。流れは穏やかで水質は少し濁っている。このまま手で掬って飲みたくはないな。


「ガウガウ」


川魚が食べたいだと? だからか!


「ピュイピュイ」


コーちゃんも賛成だって?

もー、しょうがないなぁ。見た感じ泥臭そうなんだけどさ。食べてから文句言わないでよ?


「ガウガウ」


まずかったら言うって……このやろ。


「というわけでアレク。魚釣りしようよ。二人とも川魚が食べたいんだって。」


「まあ、あきれた。だからここに来たのね。カムイったら。」


海の魚なら少々魔力庫に入っているが、川魚は入ってないもんなぁ。鮎の塩焼きなんかがあればビールが最高に旨いんだろうなぁ。ビールもエールもないけど。


「この際だからこいつは餌にするね。」


ちょっと趣味が悪いけど。


『風斬』


手首を少しばかり斬った。


『浮身』

『消音解除』

『拡声』


川の上に浮かべて準備完了。

げひゃひゃ、うひひと薄気味悪い笑い声が川面に響く。川の流れる音がかき消されるほどに。


後はダークエルフがムカつくような言葉を……


「アレク、ちょっと大声出すね。」


「ええ、いいわよ。」『消音』


『おう! クソ雑魚なめくじダークエルフよぉ! 人間ごときにビビって出てこれねぇのかよ! そして同胞を見殺しか? ダッセーなぁ! そんなに怖ぇえんならさっさと村に帰れや!』


もちろん何の反応もない。


『おらどうした!? ビビってんだろ!? それでよくダークエルフ族を名乗れるなぁ! あっ、そっかー! 追放されたんだったか! ぎゃはははは! ざまぁねーなぁ! クソ雑魚なめくじだから追放されたんだろ! ぎゃーっはっはっはっは! 情けねぇなぁ! どうせ白い肌してんだろ? ダークエルフの恥晒しだなぁ!』


いやー私もよくこんな低俗な悪口を思いつくもんだ。同胞じゃないとか肌が白いとか普通のダークエルフが聞いたらブチ切れるんじゃないか?


『おっ? 痛いところを突かれたもんだから反論もできないってか? しょっぼ! それでよく始祖を狙おうとしてんなぁ! やめとけやめとけ! あれは俺がいただくんだよ! お前はせいぜい指を咥えて見てろ! お前ごときじゃあ思いもつかない方法があるんだよ! 低脳ダークエルフごときにはなぁ!』


ふぅ。こんなもんか。どんだけの範囲まで聴こえたんだろうな。かなりのボリュームを出してやったが。もしアレクが消音を使ってなかったら絶対鼓膜が破れてただろうな。むしろもっとやばかったかも。実際廃人エルフの耳からは結構な血が流れてるし。おまけに笑い声のボリュームが上がってる。もしかして私の拡声に対抗してるのか?


「もう大丈夫?」


「うん。お待たせ。やっぱこの程度じゃ姿を見せてはくれないよね。素直に釣りを楽しむとしようよ。」


「ええ。釣れるといいわね。」


いくつか首魁野郎が反応しそうなワードを入れてみたが……望みは薄いだろうな。


さあ、勝負だ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 大きな魚がかかり釣り上げようとした瞬間にエルフが現れるとか。
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