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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第5章

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1985/3108

74、さらば幻惑草原

マジかよ! 何でこんな所にマウントイーターがいるんだよ!


(スナ)イ「ピュイピュイ」


え? 違うの? 似てるだけ?

あー、まあ言われてみれば全然襲ってこないし……ミミズもうねうねしてるだけで伸びてこないね。本体だってあの時見たマウントイーターと比べるとかなり小さいし。

コーちゃんはマウントイーターを見たことがないだろうに、よく分かったね。


「ピュイピュイ」


おお、見たことはないけど魔石からだいたい分かるって? そういやマウントイーターの魔石は半分だけゲットしたもんね。サウザンドミヅチの装備をメンテナンスするのに使ったっけ。


「ピュイピュイ」


あ、うん。雷の魔法がいいのね。さっきの一発目の半分ぐらいの威力で? オッケー。


『落雷』


「ピュイピュイ」


ばっちり? で、結局こいつ何なの?

えらく大人しくて拍子抜けだけどさ。


「ピュイ」


あぁ、知らないの? ただいい感じの魔力といい感じの匂いがしたから来てみたってことなのね。それにしても驚いた。こんな至近距離でマウントイーターなんかに遭遇したら……かなりピンチなんだからね? 頼むよコーちゃん。

まあいいや。身を傷めない程度にトドメが刺せたらしい。収納。


「ピュイピュイ」


おっ、満足したんだね。よし。じゃあ帰ろうか。

いやーよかったよかった。アレク満足度も大事だけどコーちゃん満足度も大事だもんね。


さて、アレクの所までは飛んで行こう。




「調子はどう? こっちはコーちゃんが満足したからもういいよ。」


「もう少しかしら。終わったら行くからカムイの所で待っててくれない?」


「分かった。もし困ったら適当に合図してね。」


「ええ、ベネディクティスもいるし大丈夫よ。後でね。」


「俺がいりゃあ問題ないよー。後でな兄貴ー」


うーん気になる。私を遠ざけてまでアレクは一体何を……

普通に考えば何か内緒でプレゼントでも用意するって感じだけど。でもこんな場所で手に入るプレゼントなんてなぁ……


あ! 読めた!


ぬふふ。もぉーアレクったら。そういうことね。まったく、悪い子なんだから。ふひひ。分かったよ。知らないフリしておくよ。ぬふっ。




さて、カムイが飛び降りたのはこの辺だったかな。


『魔力探査』


やっぱだめか。魔力の高い魔物が多すぎる。カムイも結構高い方なんだけどなぁ。

でも大丈夫。ねー、コーちゃん?


「ピュイピュイ」


おっ、そっちだね。やっぱコーちゃんの嗅覚は頼りになるね。


「ピュイピュイ」


行く前に浄化? あー、カムイが嫌がる匂いが付いてるんだね?


『浄化』


私はほぼ自動防御の中にいるから匂いが付くも付かないもないけど、コーちゃんは普通に這い回ったんだもんね。でもどんな匂いなんだろ? さっぱり分からないな。


『ガウガアアアアアーーーー!』


おっ、カムイの魔声だ。あっちからか。結構強めに使いやがったな?


『浮身』

『風操』


コーちゃんと一緒に飛んでいってみれば……


カムイと対峙していたのは(かずら)の魔物だった。あちこちからツルを伸ばしてカムイに襲いかかっていたらしい。それが先ほどの魔声で動きが止まったようだ。あの手の魔物はどれが本体でどこに根元があるか分からないと対処しにくいんだよな。だからカムイは丸ごと動きを止めたってわけか。


「ガウアッ」


おお、魔力刃を伸ばして……姿が消えた。見えるのは散っていく葉と切れたツルだ。


「ガウガウ」


うおっ、びっくりした。いきなり後ろに現れるなよ。


「ガウ」


付いてこいって? また獲物がたくさん積んであるんだろ? で、解体して焼けって言うんだろ? 分かってるんだからな。


ほーらやっぱり。カムイが仕留めたらしき魔物が数十匹。しかも、どいつもこいつも首がすぱっと切れてやがる。血抜きのことまで考えて獲物を仕留めるだなんて、やっぱカムイはすごいな。どんだけ自分より大きい獲物を狙ってんだよ。


「ガウガウ」


え、マジで? 丸焼きでいいの? しかもその小さい奴だけ? で、他は収納ね。オッケー。

カムイにしては珍しく注文が簡単じゃないか。まずは全部収納して……残すは一匹だけ。

で、こいつは何だ? 見たところ蜥蜴っぽいな。でも蜥蜴より体がブツブツでいっぱい……つまり、キモい。


「ガウガウ」


焼き方はウェルダン? お前どこでそんな言葉を覚えたんだよ……まあいいけどさ。

直火の丸焼きでいいんだろ?


『浮身』

火壁(ほのかべ)


少し浮かせてから周囲を火で囲む。ブツブツトカゲはゆっくりと回転させて、満遍なく焼いてくれよう。


さすがにこんな時は自動防御を少しだけ解除する。どんな匂いか気になるからね。


おっ、焼けてきた。うーん香ばしいね。あ、何だっけこの匂い。覚えがあるな……

ペプレの実に似てるような。でも少し違うな。


「ガウガウ」


おっ、焼けたのね。


『火壁解除』


「ガウガウ」


おおっ、いきなりかぶりつきやがった。


『風斬』


一口分けてくれよ。あんまり腹はへってないけど味が気になってさ。どれどれ。あ、旨い。なんだかスパイシー。焼いただけなのに? カムイってこんなスパイシーな肉って好きじゃないんじゃなかったっけ?


「ガウガウ」


これは別? 違いが分からんが旨いのは旨いよな。




「お待たせカース。あら、山椒蜥蜴(ザンソクリザド)? スパイシーで美味しいらしいわね。」


「全然待ってないよ。早かったね。」


やっぱアレクは勉強してるなぁ。すごいぜ。それにしても名前は旨そうなんだな。見た目はブツブツでキモいのに。


「ええ。ベネディクティスが役に立ってくれたわ。」


「当然だろ? 俺らからすればここらは庭だからよー」


「よし。じゃあ帰ろうか。長居するとロクなことがないんだろ?」


「そーそー。結構ギリギリだったぜ? 兄貴は引き際も見事だよなー」


長居すると何がヤバいのかを先に説明しろよな……どうもエルフって言葉足らずなんだよな。そりゃあ私も面倒くさがって聞かなかったりするけどさ。


まあいいや。みんな無事なんだし。帰ろ帰ろ。今からなら夕方までに余裕で帰れるし。

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― 新着の感想 ―
[一言] リア充ですねえ。
[良い点] お~、ビックリしました。 マウントイーターじゃ、なかったのね……。
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