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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第5章

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1981/3108

70、幻惑草原

道中は特に何もなかった。いつものように空の魔物が襲ってきたので速度を緩めて素材をゲットしたぐらいだ。


そしてフェアウェル村に到着。

最初に出会ったのは自称私の舎弟……の一人だ。名前は分からない。


「あー、兄貴。ソンブレア村に行ってきたんだっけ。どうだったー?」


「みんな元気だったぞ。着々と復興してる。ところで今日は村長どうしてる?」


「いやー昨日から見てないような。そういやアーダルプレヒトも。はぐれの件で忙しいのかも」


あの件もあったか。それなのにブラシ作りを頼んでしまったが、大丈夫なのか? 村長だって私の装備作りで忙しいだろうに。


「はぐれエルフって何を企んでそう?」


「さあー? あいつらって村に帰りたがってる奴もいれば頭がイカれて無茶ばっかするような奴もいるんでよく分かんないんだよ」


「霊廟を狙ってるみたいだけどさ。お前ならどうやって中に入る?」


「そんなん素直に春を待つしかないよーな。開け方を知ってる村長でも春にならないと開けられないって話だし」


ふーむ。さっぱり分からん。そもそもアンデッド共が霊廟の壁をいくら攻撃してもびくともしないだろうに。ベヒーモスが全力でぶつかっても怪しいぐらいだ。それなのにはぐれエルフ共は何を企んでいるのやら……


まぁ、心配するだけ無駄だな。あの化け物ハイエルフでも開けられないものがそこらの追放エルフに開けられるとは思えないしね。だいたいこの前捕まえたはぐれエルフからとっくに情報を吐かせている頃だろうし。


「そうか。ありがとよ。そういや、あれからアンデッドは現れた?」


「いやー、最近見てないね。兄貴が邪亀(サラタニア)をぶち殺したのが関係してんじゃないの?」


そう聞かれても知らんぞ。あと、やったのは私じゃなくてカムイだけどね。わざわざ訂正する気もないけど。


「そのあたりはさっぱり分からんぞ。あの亀を育てようとしてたのかも知れんしな。まあいいや。引き止めて悪かったな。仕事中だったんだろ?」


「なーに兄貴のためなら何でも答えるって」


「ピュイピュイ」


え? いきなりだね。コーちゃんらしいな。実はずっと気になってたのね。


「話は飛ぶけどさ、コーちゃんが幻惑草原ことエブロワール大草原に行きたいんだとよ。案内を頼めるか?」


コーちゃんはよくそんな地名まで覚えてたよな。宴会の夜に聞いたっきりなのに。


「えぇ……マジか……三日はかか、いや兄貴ならすぐか……んじゃちっと……」


おっ、魔力が動いてる。伝言(つてごと)を使ってるのかな。


「いいよ兄貴。出れるよ」


「よし。そんじゃ行ってみようか。」


『浮身』

『風操』


今帰ってきたばっかりなのに。コーちゃんたら実は相当行きたかったのね。なんせあの草がたくさん生えてるって話だもんね。悪い子だなぁコーちゃんは。


「あんま長居する場所じゃないし、さっと行ってさっと帰ってくれよ?」


「まあ、コーちゃんが満足したらな。やっぱ危ないのか?」


「まあまあなぁ。兄貴たちなら大丈夫だろうけどさ。精霊様だってお好きなように魔物だって好きなんだよ。なもんだからあそこにはいっつも色んな魔物が集まってんだよな」


あー、なるほどね。分からんでもない。カンナビ草って言ったよな。コーちゃんの大好物、ナイストリップできる草。それを目当てに集まる魔物もいれば、その魔物を目当てに集まる魔物もいるんだろうからね。食物連鎖だね。




さて、北西に向けて飛ぶこと三十分。山ばかりではあるが、どことなく景色が変わったように見える。少しばかり起伏が緩やかになったようなさ。


「この速さだともうちょいかな。やっぱ兄貴めちゃくちゃだよな。早すぎ」


「お前だって飛ぼうと思えば飛べるだろ? わざわざ三日もかけなくてもさ。」


「やっぱ魔物だらけだから安全に行かないとさ。その点兄貴ときたらどんな魔物も全然追いつけないんだよな。どんだけ飛ばしてんだよ……」


「これはこれで安全だろ? おっ、もしかしてあれか?」


視界の遙かさに見えるは一面が緑に覆われた絨毯。もうすぐ春だからだろうか鮮やかな緑。若竹色って言うのかな。草原なのにね。


「ああ。あそこが幻惑草原ことエブロワール大草原さ。お目当てがカンナビ草なら外縁部で充分だよな? 奥まで入ったりしないでくれよ?」


「ピュイピュイ」


「上物のカンナビ草があるならそれでいいってさ。」


「一応中心部に行けば行くほど質はいいはずだけどさ……ゾルゲンさんも中心部までは行かなくとも数キロル程度しか入り込んでないと思う。」


マリーパパことゾルゲンツァファリーアスね。


「どこでもいいさ。ぱっと行って収穫してぱっと離れようぜ。じゃあアレクとカムイは周囲の警戒を頼むね。」


「ええ。」


「ガウガウ」


え? ここで降りるから帰りに拾えって? あー、カムイはあれが嫌いだったか。嗅覚が敏感なのも大変だよな。

そう言ってカムイはボードから飛び降りていった。高度百メイル以上あるってのに……カムイったらもう。少しぐらい待てば降ろしてやったのに。




カムイが飛び降りた地点から北に四、五キロル。ついに完全な平原が現れた。ここがエブロワール大草原か。めちゃくちゃ広い。地平線の果てまで草原が続いているではないか。壮大でいい景色だよな。

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― 新着の感想 ―
[一言] カムイとコーちゃんでは好みも違うのですね。
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