表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第5章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1953/3108

42、岩、蜘蛛。そして鹿

そもそも地擦這岩(テラクロカライグ)ってどんな魔物なんだろうなぁ。ヒイズルには虫喰岩(むしくいいわ)って魔物もいたけどさ。近寄るとガバッと喰われるとか聞いたなぁ。


とりあえず『火球』

鉄をも溶かす私の火球なら岩でも溶けるだろ。うん。溶けたね。そしてのたうち回ってるね。こんな大岩が跳ね回ってるよ。近寄ったら危ないね。そりゃあ周囲が空白地帯になるわな。

まだ生きてる。少しばかり威力が足りなかったか。この魔物は大きいもんね。


『火球』


直径十メイルはある岩の魔物より大きい火球だぜ。空白地帯だし気にせず撃ってやった。

よし終わり。やっぱ火力でごり押しは最強だよな。全て溶けてはいないけど、絶命したよな? さっと近寄りさっと収納……できた! よーし次行こうか。


「さすがカースね。私じゃあ手も足も出なかったわ。それをただの火球で仕留めるなんて。最高ね。」


「ありがと。さあ、ここからは上りだね。しっかり歩こうね。」


斜面になると魔物もいそうにないイメージだけどさ。でも山岳地帯だもんなぁ。どこに魔物が潜んでるか分かったもんじゃないよなぁ。念入りに魔力探査しながら歩かないとね。


まあさ、歩くってより登るって方が正しいよな。何だよこの斜面。どんだけ切り立ってんだよ。そりゃあ九十度はないけどさ。六十度以上あるよな?


「ガウガウ」


楽勝だって? そりゃお前はそうだろうさ。


「ピュイピュイ」


先に行くって? いいよ。そのうち追いつくから、たぶん……




これ……かなりきついな……

イグドラシルを登ることに比べると楽そうな気もするのに、どうも違ったキツさがあるなぁ。オワダのオラカン農園から分け入った山奥を思い出すな。あっちより高く険しいけど。

足元は滑るし結構疲れる。まあ、足腰の鍛錬には最適だろうか。


「アレク、大丈夫?」


先に登った私は木に体を固定してからアレクに手を伸ばす。


「ええ。なんだか新鮮な気分よ。カースと一緒だと退屈しないわね。」


「はは、そうかもね。おっと。」


『風斬』


木の上から蜘蛛の魔物が落ちてきた。私の頭ほどもあるやつ。蜘蛛の魔物にしては小さい方だよな。でも魔石はゲット。


「えらく派手ね。確か極彩暴蜘蛛サイケデルバイオレンスパイダーだったかしら。見るのは初めてだわ。」


「僕もだよ。まだまだ知らない魔物はたくさんいるよね。」


「少し待って。この蜘蛛は剥製が人気なの。持って帰ることにするわ。次、見かけたら無傷で仕留めてくれる?」


「分かったよ。見つけたらね。」


なるほどなぁ。このケバケバしい派手な蜘蛛の剥製か……いろんな趣味のやつがいるもんだなぁ。だいたいここらの魔物なら全部珍しいものばかりだよな。




「ふぅー。疲れたね。少し休憩しようか。」


「そうね。結構上まで来たものね。でも、あまり眺めは……よくないわね。」


ひたすら上へと登ってみると、左右に延びた尾根へとぶち当たった。獣道っぽくもあり少しばかり開けていたので休憩ってわけだ。


「ピュイピュイ」

「ガウガウ」


コーちゃんは待ってたと言い、カムイは肉を焼けと言う。もう腹へったのかよ。


『火球』


先ほど仕留めた鳥の魔物を丸焼きにしてやるよ。内臓なんかの処理はしてないけど文句言うなよ。




「ピュイピュイ」


あはは。肉を食べるカムイを見てたら飲みたくなったの? もー、コーちゃんたら。一杯だけだよ?


私も一杯だけ飲もうかな。山歩きの最中に酒ってどうなんだろ。まいっか。




「よし。それじゃあ散歩の続きといこうか。」


「ええ。今度はどっちに行くの?」


「やっぱあっちかな。尾根沿いに登ってみようよ。」


「ええ、いいわよ。」


来た方から見て尾根を右へと進む。上の方へと。


やっぱ尾根って歩きやすいな。まあ、さっきまでの斜面がめちゃくちゃ歩きにくいってだけなんだけどさ。ペースが三、四倍にアップした気がする。


登っているかと思えば今度は下り。

ん? 魔物発見。尾根を下りきった盆地らしい場所に群れがいる。鹿の魔物、刺裂角鹿(ピグナイルエルク)か? 鹿のくせにギザギザした角はかなり凶悪なんだよな。

距離にして百メイルぐらいか。すでに私達に気付いていたらしい。最も大きな角を持つ雄が突進してきた。そいつ以外は盆地の端に寄っている。いつでも逃げられる体勢なのね。


「カース、頭や背中は無傷の方がいいわ。狙うなら下側、腹ね。」


「よーし。任せておいて。」


突進してくる大鹿の腹を狙うなんて無茶言うよなぁ。


『水鋸』


を地中に伏せておく。


『ビヒヒィィィーーーーギヨォォォーー!』


魔声で威圧か? 足止めを狙ってんな? 全然効かないけど、えらく甲高い声だな。距離は残り十メイル……今!


水鋸を浮上させて……腹を切り開く!

よし。見事に溢れ落ちる内臓。血抜きと内臓抜きが一瞬にして済んでしまった。そして横に倒れる前に……収納。

ふふふ、鮮やかすぎる。斬り裂きすぎないところで止めるのがポイントなのさ。まさかここまで上手くいくとはね。地中に隠した水鋸がバレなかったことが大きいね。


「ピュイピュイ」


へー、新鮮で美味しいの? コリコリしてる? それはよかったよ。溢れ落ちた内臓をコーちゃんが喜んで食べてる。


「ガウ」


カムイは走り出した。あー、あっちの群れを狙うのね。容赦ないなぁ。でも子鹿は美味いもんね。では私も……


『狙撃』


ヘッドショットで三匹ゲット。美味しいといいなぁ。ヒイズルで食べたナラー鹿は不味かったもんなぁ……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 鹿肉は癖があって当たり外れが激しいですからね。 質が悪いとドッグフードになります。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ