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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第5章

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29、無防備な村

あれから何時間経ったんだろう。ふと正気に戻ってみれば、依然として宴は続いている。ここからだとよく見えないが誰かが宴会芸を披露しているようだ。

もう終わりじゃなかったの?


「この宴っていつまでやるんですか?」


しれっと村長の隣に戻って聞いてみた。


「おおカース殿。ほう? お楽しみだったようだな。結構結構。宴だがいつまでということはないな。今宵はことのほか盛り上がっておるでな。このまま朝まで、何ならそのまま続くこともあるやも知れんな。」


なんとまあ……


「やるもんですね。いつもこんな感じでしたっけ?」


ここの宴会には結構参加してるんだけどなぁ。今までこんな派手な宴会芸を見たこともなければ朝になっても続くなんてこともなかったはずだが……私の知る限りだけど。


「儂の気分次第さの。もっとも、他の者がやりたいと言い出してもよいのだがの。」


「つまり、普段通りの宴会の場合もあるってことですか?」


「そうさの。おおそうだ。ダークエルフ達がここを旅立つ際には三日三晩盛り上がったものだわい。儂が酒を飲んだのはあの日以来か。いや、本当によく来てくれたの。」


つまり、宴会をやり続けるかどうかは気まぐれってことか。


「僕らはもう少ししたら寝ますけどね。」


何せさっきまでハッスルしてたんだからな。心地よい疲労感に包まれたまま眠りたいところだ。


「つまらんことを言うではないか。我らエルフ族の宴会芸はまだまだあるのだぞ?」


「いやいや、普通に眠いんですって。」


「ふうむ。カース殿にはゾルゲンツァファリーアスの草笛霧奏(そうてきむそう)が効いておらぬかの。あれをしっかり堪能しておったなら三日三晩ぐらい楽しみ続けることができようにの。」


それ完全にいけないお薬の症状じゃん。そりゃあ私にはそこまで効かないさ。少しは効いたけど。アレクにはなかなか効いてたよな。

それもう宴会芸のレベルを超えてるだろ。


「じゃあ寝ます。村長の家にお邪魔しますね。」


「よかろう。起きたら来るがよい。この際とことん楽しむからの?」


「はは、じゃあまあそんな感じで。」


一つ気になったのはアレクより魔力の高いエルフ達には草笛霧奏がしっかり効いてそうなことなんだよな。エルフを三日三晩動かすほどに効くのならアレクがもっとめちゃくちゃに壊れてもおかしくない。それがそこまででもなく、程よい効き目で済んでるってことは……気を使ってくれたのかな。全体に聴かせて、効かせるところをアレク周辺だけ弱くさ。エルフならそれぐらいはやるだろう。すごいな。


寝よ。すでに座り込んで眠そうなアレクを連れて。勝手知ったる村長宅へ。鍵なんか掛かってないもんなぁ。

コーちゃんとカムイはまだまだ楽しんでそうだな。タフだよなぁ。




気付けば二日経っていた。朝起きて宴に参加して、夜になって眠くなれば寝て。また朝から宴。エルフ達はどんだけタフなんだよ……絶対各自でも魔法ブーストしてるに違いない。


そして三日目の朝。目が覚めたので宴を催していた広場に行ってみれば、エルフ達は死屍累々。電池が切れたかのように眠っていた。今魔物が来たらどうするんだ? 初日に私が大量の魔力を使った時もやっぱ来たって話だし。村長の言う通りアーさんが処理したって聞いたぞ。


「おお、カース殿、三日三晩、続けるつもりだったが、ここまでかの、儂も寝る、昼まで、番を頼めぬか?」


村長の喋り方が何か変だ。さすがに飲み続けで二徹はキツいんだろうな。時間にして六十六時間ぐらいか?


「いいですよ。おやすみなさい。」


番と言われてもねぇ。村に近寄る魔物を片っ端から仕留めろってことかねぇ? でも今なら誰も魔法なんか使わないし、そうそう来ないよな。

とりあえず魔力探査を広めに張っておけばいいかな。おそらく村長ほどの広範囲は見れないと思うが。


「エルフの村がこんなに楽しいだなんて思ってもみなかったわ。人間とは色々と大違いなのね。」


「そうだね。僕も初めてだもんね。エルフはすごいね。」


「ところでお昼からはどうするの?」


「蟠桃を捥ぎに行こうよ。カムイだって楽しみにしてそうだしね。」


「それがあったわね。私だって楽しみよ。あの果汁をお酒に混ぜて飲んでみたいわ。」


おお……それはグッドアイデア。


「それいいね。絶対美味しいよね。そうなると、どれと混ぜるかが悩ましいね。」


「あれこれやってみるのも楽しそうだわ。あ、もう……やだ、私ったらすっかりお酒のことばっかり……」


そんなことで顔を赤くするなんて! 初日の夜なんて村の暗がりであんなことこんなことしたのに。可愛いなあもう。


「まあ、飲める時に飲んでおくのは悪いことじゃないよね。村長の酒って美味しいもんね。」


精霊の味がするヒイズルの酒といい勝負だもんな。いい酒ばっかり。そりゃあ癖になるってもんだ。

あ、魔物だ。


「アレク、魔物が来たから行ってくるね。ここを頼むね。」


「分かったわ。任せて。いってらっしゃい。」


そして私のほっぺにチュッと。にひひ。


村の北東から段々と近寄ってきたのは骨だけのワイバーン、だか頭部はどう見ても人骨なんだよな。確かスカルワイバーンって言ったっけ? 直接的な攻撃力はボーンワイバーンより劣るが、その代わりに魔法を吸い取ったり撹乱したりと厄介な能力があるって聞いた気がする。


『徹甲弾』


額をぶち抜いた、が……


『ボォーボボボボボォォォーーーー』


おっと、当たるかよ。何やらキモいブレスを放ってきやがった。黄色いやつ……

それにしても額に穴を空けてもほぼ無意味かよ。アンデッドだもんなぁ。ならば……


『風斬』

『氷壁』

『氷壁』


風斬はただの目眩し。本命は両サイドから襲う氷の塊だ。


『ボボボオオオーー』


ほう? 風斬をくらいながらも片方の氷壁だけ迎撃しやがったか。私の氷が腐り落ちていくじゃないか。生意気な。

だが、もう片方は直撃だ。


片翼がバキバキに折れたようだが、ヤツが落下することはなかった。そりゃあ魔力で飛んでるんだもんなぁ。


それにしてもしぶといな。他に来そうだからあんまり時間かけたくないし。うわっ、今度は広範囲ブレスかよ。周囲が汚染されそう。


『風壁』


仕方ないから防いでやったよ。

よし、じゃあもう一気にやろう。


『火柱』


ただし極太を真横に放ってやった。アンデッドには効果抜群だぜ? これはやっただろ。

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― 新着の感想 ―
[一言] カースを番として当てにしてたんでしょうか。
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