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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第5章

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24、エルフ達の宴

それにしても……どうも私って宴会の時は鉄板焼き担当になってしまうよなぁ。別に嫌ではないんだが、どうしても序盤はひたすら焼いてばっかりになるんだよな。それでも両手は空いてるから飲み食いはできるのだが、どうせなら落ち着いて飲みたいもんなぁ。


「カース、この酒はもうないのか?」


「あるけど一杯で我慢してよ。みんなの分がなくなるじゃん。」


アーさんたら、えらく気に入ったようだな。いや、そりゃあ分かるよ。めちゃくちゃ旨いもんね。


「そ、そうか……」


「兄貴ぃ飲んでるぅー!?」

「これ村長の酒ぇ!」

「兄貴も飲もうよぉー!」


「おう、もらおう。」


あ、美味しい。これは覚えてるぞ。村長が毎日微細な魔力を込めてじっくり造ってる酒『ブッシュミルトン』だったよな。うーん、やっぱ旨いな。

これはどう言えばいいんだろう。草木の香り、土の要素を感じるとでも言えばいいのかな? そこに樽や村長の魔力がかすかに香ってるんだろうか。いい酒だよなぁ。


おっと、ついにハーピークイーンを焼く時が来たか。これはどの部位だろう?


「ハーピークイーンを焼くよー。食いたい者は集まりなー。」


「ハーピークイーンだって?」

「ここらじゃ珍しいよな」

「俺モモが好き」


うーん香ばしい匂いがしてきたね。ブッシュミルトンに合いそう。


「よし、食うぞ。俺は塩でいくぜ」

「俺はマイティベイジ付けてみよ」

「私はそのまま食べてみるね」


私も食べよう。カムイはもう生で食べてるし。


おおージューシー。歯応えもよく旨味たっぷり。やっぱ普通のハーピーとは桁違いだね。最高品質の名古屋コーチンって感じ? コカトリスの軟骨も名古屋コーチンみたいだったよなぁ。ハーピーには軟骨ないのか?


「美味しいわねカース。いつも絶妙な焼き方よ。さすがカースね。」


「鉄板がいいからかな。ミスリルボードほどじゃないとは思うけど。」


やっぱ肉を焼くにはミスリルに限るよね。油を引かなくても焦げないし。ちなみにこの鉄板は結構ぶ厚くしてある。


「カース殿よ、ヒイズルには酒以外の名物はないのか?」


おっ、村長ったら食い物まで寄越せってか。別にいいけど。


「では、あれこれ焼いてみますね。」


テンモカで仕入れた野菜の数々。カボチャやジャガイモ、キャベツにニンジンとバラエティー豊かだぜ。実際の名前は何て言うんだろうな。私が勝手にカボチャとかって呼んでるだけなんだよな。おっ、タマネギもあるじゃん。キノコが欲しいなぁ……


『風斬』


薄切りにして、鉄板の上に並べる。おお、早くも甘く香ばしい匂いが漂ってきた。


「ピュイピュイ」

「ガウガウ」


コーちゃんは旨そうだと言い、カムイはそんなのより肉を焼けと言う。


「ほう。これはこれは。なかなかの滋味だの。ヒイズルはよほど神々の祝福に恵まれた土地と見える。」


「デメテーラ様の祝福が毎年貰えるみたいですよ。その代わり戦士の血を捧げてるようで。」


「ほほう。土と豊穣の神デメテーラ様か。ヒイズルとはよい土地だのう。うむうむ、旨い旨い。」


村長ったら見た目はジジイだけど大食いなのかな? 今までそんなイメージはなかったが。


「カース、これも焼いてくれ。我らが育てた野菜だ。」


おっ、アーさんって意外とムキになるんだよな。村長がよその野菜を誉めたもんだから対抗心を燃やしちゃったか?


『風斬』


ズッキーニみたいなのは薄切り、チンゲン菜みたいなのは大きめにザク切りだ。


「これをかけてくれ。」


「オッケー。」


ソースか。くぅー、じゅうじゅう言ってる。なんていい匂い。これはまるでお好みソースじゃん。こんなの王都でも出会ったことないぞ。エルフやるなぁ。少し辛くて少し甘い、そして中に野菜の旨味がたくさん詰まってる。いいソース持ってんなぁ。マイティベイジはあんまり美味くないのに。


「このソースは何て名前?」


「特に名はない。自分の好みに合わせて作っただけだからな。」


「じゃあやっぱりお好みソースだね。これ好きだわ。アーさんやるね。」


酒にマイティベイジにお好みソース。エルフって凝り性なのかな? あ、うまっ! これは旨い! 野菜がいいのかソースがいいのか、きっと両方だな。


「ガウガウ」


はは、ソースなしで焼けって? カムイは素材派だなぁ。待ってな。


「ピュイピュイ」


コーちゃんはどっちも好きなのね。しかもブッシュミルトンによく合うって? コーちゃんは通だね。


「精霊様ぁー! 飲んでおられますかぁ!」

「兄貴もぉー! 飲んでぇー飲んで飲んでぇー!」

「仕方ねぇから注いでやるよ……特別だぜ?」


「ありがとう。」


『風弾』


「いってぇーー! 何すんだよ兄貴ぃー!」


「ばかやろう! お前ごときが偉そうにアレクに酒を注ぐんじゃない! お前が言っていいのは注がせていただきます、だ!」


まったくもう。イケメンぶりやがって。まあエルフは全員イケメンなんだけどさ。特別だぜ? とか言ってんじゃないよ全くもう。


「ちょっとカースぅ! お酒がこぼれたじゃないの! もう!」


「あはは、ごめんごめん。舐めるから許して?」


こぼれた酒はアレクの胸元を濡らしている。かくなる上は私が責任もって舐めようではないか。


「ひょおーー! 兄貴やっるぅー!」

「みんなが見てるのに気にせずイチャイチャかよ! そこに痺れる憧れる!」

「愛されてんなぁ嬢ちゃん!」


『風弾』


「だからいてぇーって! ひでぇぜ兄貴よぉー」


「お前ら三人はお嬢様と呼べ。」


それにしても……やっぱこいつら腐ってもエルフだよな。常人なら額に穴が空いてるだろうに。デコピン程度しか効いてない。


「ふむ。頃合いか……ならば始めようではないか! 芸達者選列苦闘(せれくと)杯をの!」


何だ何だ? せれくと杯? 村長もう酔ったのか?

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― 新着の感想 ―
[一言] もしや民名書房の著者はエルfうわ何をするやm
[一言] さすが兄貴! おれたちにできない事を平然とやってのけるッ そこにシビれる! あこがれるゥ!
[一言] 芸達者せれくと杯? 土曜の深夜に反町隆史のドッペルゲンガーが飲みながらギターひいて、イケボを聞かせる、Twitterのアレですか?
感想一覧
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