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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第5章

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1926/3109

15、散歩(往復二十四キロル)

食事の後は散歩を再開。石畳を南へと。

やがて目に入るのは鉄の牢獄。今いるアンデッドは二匹だけのようだ。

えーっと立て札によると……こいつらはラフォートの六等星だったのね。魔王の館から女を拐って逃げようとしたのか。よくリリスは捕まえたな。手段は後で聞いてみよう。


この腐敗具合からすると数ヶ月は前のようだが……つまりここ数ヶ月は平和ってことだな。このようなド辺境で数ヶ月も平和ってかなりすごいよな。これってリリスの統治が上手くいってるってことだもんな。いやーやるなぁ。こりゃまた褒美が必要かな。


さて、そのまま城壁を登る。うん。ここからの眺めも悪くないね。広々とした平原が遠くまで見える。地上十五メイル。それなりの高さだもんね。


気になっていたのは堀なんだよな。どこの川とも繋がってないもんだから、すぐ濁ると思っていたのだが……意外にもきれいなんだよね。雨水がメインだろうからそのまま飲めるとは思えないが。

見たところ魚はいない。いないけど妙な魔力を感じるんだよな。この魔力には覚えがある……


魔力庫から魔物を取り出して……堀にドボン。ここに来る道中で仕留めたハーピーだ。

変化はない。ハーピーの死骸って水に浮くんだね。当たり前か。


のんびり見物していると、突然ハーピーが溶け始めた。


水滴(みなしずく)


それも赤い色付きだ。ハーピーの周囲にシャワーを降らせる。


すると……見えた。やはりスライムか。ほぼ透明だから全然見えなかったよ。色を付けてみたところ、この堀の水全てがスライムというわけではなく、単に数匹のスライムが住み着いているだけのようだ。放置でいいだろう。きれいな理由も分かったし。


ここの冒険者ならこの堀全てがスライムになったとしても問題なく勝てるはずだ。それに、なぜかここのスライムは堀から出た形跡がないんだよな。いつもながらスライムの生態って謎だらけだわ。


堀を越え、小山を越えたらしばらくは平原が続く。ここをさらに南に進むと第二の城壁がある。城壁なんて立派なものじゃないけど。


そこからさらに進むとヘルデザ砂漠なんだよね。さすがにそこまで行く気はないけど。ぼつぼつ魔物も現れてきたし。




あ、イグサはどこに植えよう……


さすがにこの辺りはまずい。草原だから栄養が足りないってことはないだろうけどさ。

むしろ領都の屋敷の裏庭なんてどうだろう? 私が旅に出たらマーリンの旦那のオリバーさんが世話してくれないだろうか。

とりあえず出発するまで一、二ヶ月あるからその間に一度目の収穫をしてしまうか……次の苗や今後のことはその間に考えればいいし。そうだな。そうしよう。

二度目以降は段々規模が大きくなりそうなら場所を変えてもいいし。


「カース、どこまで行くの?」


「あはは、アレクと歩くのが楽しいもんだからついこんな所まで来ちゃったね。せっかくだからもう少し行って岩を手に入れておこうか。」


ヘルデザ砂漠の北側には岩石砂漠もあるからね。いくら私が岩を取っても少しも減ったように見えない広大な岩石地帯なんだよね。


「いいわね。そういえば砂漠は魔物が多いけど岩石地帯ってどうなのかしら? カースからそんな話を聞いたことがなかったから。」


「あー、あそこはね。ほとんどいないよ。でもごくたまに出るんだよね。岩を収納したら下からムカデやミミズの魔物が襲いかかってきたりするんだよね。少しびっくりするよ。」


だって大きくてキモいもん。ことさら話すようなことじゃないしね。


「ああ、そうだったのね。そう言えばムカデで思い出したわ。ヒイズルでは大百足や大蚯蚓に出会ったわね。あれと比べてどっちが大きかったの?」


「ヒイズルの方が大きいね。今のところだけど。」


なんせあんまり出会ってないからな。

それにヒイズルの大百足は二百メイル超えだったしな。私の魔力解放に釣られて来たやつだったか。

そういや蚯蚓千本ってのもキモかったよなぁ。さすがにここのミミズは長くて太いだけで、一匹ずつしか出てこないもんなぁ。




岩石地帯に到着。では適当に収納しようかな。で、帰り道に第二城壁周辺に全部出しておこう。第二城壁はそのうち補修するからね。内側の第一城壁のように大きく頑丈にさ。


「魔物が出てきたらアレク頼むね。」


「ええ、任せておいて。」


あいつらって岩をどけるまで魔力反応ないんだもんなぁ。タチ悪いわー。そのくせどかした瞬間に火でも着いたかのように襲ってくるんだもん。今回の場合は私とアレクのどっちに来るんだろ? やっぱアレクかな。




「何も……なかったわね……」


魔力庫はほぼ満タンになったが。


「大抵こんなもんだよ。ここでもう何百何千という岩を集めたけど、出てきたのは数回だからね。」


だからこそ覚えてるんだけどさ。


「ヒイズルでは大百足に苦労させられたから、次こそはと思ったんだけど。」


「構えてる時はそんなもんだよね。じゃ、帰ろうか。帰り道にも魔物は出るしね。」


その辺りだといきなり地面から現れるようなワーム系はいないけど、地中に巣を作るタイプの蜂系が多いんだよな。

もっとも、ムリーマ山脈やオウエスト山なんかにいるキラービーと違って本当の虫サイズだから全然敵じゃないんだよね。魔法防御がなかったら小さい分だけ厄介だけどさ。




おお、アレクったらすごい。

あんなに小さい蜂を一匹ずつ氷弾で撃ち落としてるよ。速度も命中精度もヒイズルに行く前とは格段に違う。やっぱ旅はするもんだよなぁ。


「ゲイプ蜂ね。常人は二度刺されると危険だそうね。」


「へー、そうなんだ。知らなかったよ。でもアレクには関係ないね。」


いくら見た目や大きさがスズメバチみたいだからってあのサイズじゃあ敵にもならないよね。手強い蜂だと私の自動防御を貫くやつだっているんだけどさ。


「それもそうね。でも油断せずいくわよ。標的が小さく素早い分、しっかり狙わないと当たらないもの。」


それでも命中率は九割を超えている。いくら距離が近いからってなかなかできることじゃないよな。アレクすごい。偉い。好き。

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― 新着の感想 ―
[一言] 今のところ穏やかな日々がつづきますね。
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