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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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1909/3109

817、テンモカの人々

結局ゴッゾと飲んでいる。後でヨーコちゃんも来ると言われては行かないわけにはいかないもんな。


「聞いたぜぇー! シューホー大魔洞を踏破したんだってなぁー! やるじゃねぇかよぉー!」


まだ開始して三十分と経っていないのに。こいつもう酔ってやがるのか。


「そんなことより蔓喰(つるばみ)は大丈夫なのか?」


「おおよ! アラキぁ取り返したしトツカワムだっていただいたんだからよぉ! おまけにエチゴヤぁ全滅だろぉ? げはははぁ! こいつぁもう蔓喰(つるばみ)の天下だぜぇ!」


それはどうかな? うちの国王はそんなに甘くないんじゃないか? だいたい貴族や王族から見たら闇ギルドなんてどれも似たり寄ったりなんだからさ。まとめて弾圧されてもおかしくないぞ。


エチゴヤと言えば第一番頭はまだ捕まってないのかな? 私が殺したのが第二と第三で捕まえて契約魔法をかけたのが第四だもんな。第四番頭と言えばビレイドに憑依するような妙な魔法を使ったようだが、今となってはどうでもいい。せいぜい死ぬまで働き続けるんだな。


「まおーさん! こんにちは! テンモカにまた来てくれてありがとうございます!」


おっ、ヨーコちゃんも来たね。


「やあヨーコちゃん。元気そうだね。何か困ったりしてない?」


「はい! 大丈夫です! この前ローランド王国の宮廷魔導士さんともお話ししました! 今のところ蔓喰は黙認してもらえるみたいです!」


今のところ、か。やっぱヨーコちゃんも分かってるんだね。若くして闇ギルドの会長をしてるだけあるね。ゴッゾみたいに脳筋じゃないね。


「どうも魔王さん。アラキの件だけじゃなく国王陛下にまで口ぃ利いてくださったよぉで。ありがとうござんす。」


ヨーコちゃんいる所カシラあり。ゴッゾより大きい体を小さく丸めて礼をしている。


「口利きってほどじゃないさ。国王陛下と話した時に蔓喰についてポロっと口にした程度だよ。真っ当な裏稼業をしている限りはそうそう目を付けられるってこともないんじゃない?」


真っ当な裏稼業って何だよ。我ながら変なこと言ってんなぁ。でも蔓喰がローランド人を集めるのに協力してくれたことは国王に伝えたもんな。蔓喰以外の協力者についても伝えてあるし。


「ありがとうございやす。何から何まで魔王さんには世話になりっぱなしで。」


「どうぞまおーさん! 飲んでください!」


「おお、ありがとね。」


ヨーコちゃんが健気にお酌してくれるじゃないか。かわいいなぁもう。どうかこの子はまっすぐ育っていって欲しいなぁ。あ、美味しい。


「女神のおねーさんもどうぞ!」


「ありがとう。でも女神だなんて言われると面映いわよ。私より美しい女性なんていくらでもいるのに。」


いいや! いない!

少なくとも十代の部にはいない! アレクがナンバーワンだ! 女神で間違いない!


「そうなんですか!? ローランド王国ってすごいんですね! きっと美人ばかりなんですね! じゃあおねーさんみたいに胸が大きくなるにはどうしたらいいんですか!?」


お、おお……これまたストレートな質問だな。思えばアレクの胸は初等学校二、三年ぐらいまではサンドラちゃんよりやや大きい程度でしかなかったんだよな。目に見えてはっきりとバインバインに大きくなっていったのはいつぐらいからだったかな。


「さ、さあ、ど、どうかしら……やっぱり、その、好きな男の子でもいると……違うんじゃない、かしら?」


おお! これは珍しい。アレクがしどろもどろになっている。かわいい。

そんなアレクにヨーコちゃんの質問が止まらない。小さくても女の子だねぇ。


「おうおうおう! 飲んでんのか魔王よぅ!」


えーいゴッゾが暑苦しい!


「おう。お前も飲んでんのか?」


「あったりめぇだぁー! 今夜ぁとことん飲むぜぇー!」


まだ昼間だよ。それはそうと少し気になった。


「カドーデラはどうしてる? まだアラキ島にいるのか?」


「おおよぉ! カドーデラの兄貴ぁなぁ! アラキをきっちり纏めてくれてんだよぉ! おかげで蔓喰(うち)ぁ万々歳だぜぇ! さすがぁカドーデラの兄貴だぜぇ!」


おかしいな。平和になったあの島でカドーデラの仕事なんかないはずなのに。

あ、読めた。あの野郎さては何も仕事がないのをいいことに、のんびり酒びたりの生活してやがんな。島の支配はビレイドがやるだろうし、今さら揉めごとも少ないだろうしな。


「魔王さんさぁ。ありがとねぇ」


今度は見知らぬ女が三人。何かしたかな?


「何のことだ?」


「ポリーヌ姐さんのことさ。オワダで結婚したらしいじゃないのさ。しかもオワダ商会の番頭とさぁ。魔王さんのおかげだって姐さん言ってた」


ああ、鈴音色のポリーヌとか言ったか。ムリーマ山脈に沈む夕日が見たいとか言ってたくせに、ローランドに帰るどころかオワダで番頭をたらし込んだんだっけ。やるよなぁ。憎い仇もすでに死んでるとなると、帰る意味もないのかねぇ。


それにしても……だんだん人数が増えてないか? ヤチロでも似たような感じだったような……

よく見れば娼館の楼主達や闘技場の一級闘士まで。色んな奴が来てるなぁ。


ん? 肉が焼ける香ばしい匂い。これは……


「へいっ魔王さん! お待ちぃ!」


いや、待ってないけど。誰だっけ?

あ、でも超いい匂い。こりゃあたまらんね。


「旨い。これ何の肉?」


「よくぞ聞いてくださいました! こいつぁシューホー大魔洞はミノタウロス! そのテンダーロインの旨いとこを切り取ったんでさぁ! どうでぇす! 旨ぇでしょおー!」


あ、思い出した。鉄板焼き屋だ。元一級闘士なんだよな。うん、いい焼き具合だ。うまい。

そういえばシューホー大魔洞でミノタウロスなんて見なかったよな? どこにいるんだろ?


それにしても……こんな場末で広いだけの居酒屋にえらくみんな集まってくるなぁ。どこで聞きつけてくるんだか。これはまた同じ展開か?

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― 新着の感想 ―
[一言] 人が集まるということはそれだけ第4章が長かったと。
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