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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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801、五十階 青の世界

ふーう。どうにか四十九階もクリアした。さすがに三十階以降は一筋縄ではいかなかったな。

魔法無効空間や見えない壁こそ無かったけどさ。空を埋め尽くすほどの大量の鳥魔物がわらわら飛来してきたり、地面から鼠の魔物がめちゃくちゃ発生したり。

四十階からは通路の壁だと思っていたものが丸ごとゴーレムだったり、ボス部屋後の階段を降りてたらいきなりフラットになって滑り落ちたりとイラつく罠もあった。

特に参ったのがループ罠ってやつ? 延々と続く長い通路を数時間も飛んでるのに全く変化がないから、さすがにおかしいと気付いたんだよな、クロミが……

ループを解除したのもクロミ。何やら巧妙に魔法陣が隠してあったんだとか。やっぱ頼りになるわ。


四十一階からのボスは全てゴーレムだったし。それもやたら硬くてしぶとかったんだよなぁ。ついさっき仕留めた四十九階のボスなんか雷のゴーレムだって話だし。意味が分からん。ボス部屋はやたら広いしさ。つーか部屋に入ったと思ったら野原だったし、しかもいきなり雷が落ちてきたし。私やアレクは平気だけど危うくドロガーとキサダーニが死ぬところだった。

しかもやたら広いフィールドで落雷の瞬間しか姿を見せないもんだからさ。マジで厄介だった。雷に追いつけるわけないってんだ。

やけになってフィールド全域を水没させてやったら、雨に濡れた犬みたいにぶるぶる震えて縮こまる巨大ゴーレムを発見できた。雷の装甲を全て水に散らされた成れの果てってやつだろう。

犬と違うのは身の丈が三十メイルぐらいあるってことかな。そんな巨体が雷速で動くって……まあ動いている間は雷と化していたそうだが。クロミがそう言ってた。


いくら大きくても動かないなら敵ではなく、『降り注ぐ氷塊』で滅多撃ち。かなりの高度から落としてやったし威力増大だ。ようやく終わってあー疲れたと。フィールドを満たした水が凍る前に片がついてよかったよ。


そしてついに五十階だ。

階段を降り、扉から出ると……青の世界が広がっていた……

足元は一面の氷。空には雲ひとつなく風も吹いてない。気温は……


「ががが……なんだぁこりゃ……寒すぎ……喋れ……」

「口、開けんな、やべえぞこれ……」


『風壁』


全員を中に入れた。

ここが寒いのは当然なんだがこの階は危険すぎる。口を開いただけで舌が凍りそうなほどだ。一体氷点下何度なんだよ……二十や三十どころじゃないよな……私は自動防御があるし、クロミだって似たような魔法は使うだろう。アレクだって魔力効率なんか無視すれば保温することは難しくない。カムイは胴体は大丈夫だろうけど足元が危険だな。肉球が凍って地面にくっついたりしないか?


こりゃボス戦が始まるまでは全員木の板に乗ったままだな。うっかり地面に手でもつこうものならたちまち凍ってしまってもおかしくない。


「どうすんのニンちゃん?」


どうしよ。あまりにも指針がなさすぎなんだよなぁ……


「とりあえず適当に飛んでみるわ。ただ、迷ったとしてもここにだけは戻ってこれるようにしておきたいな。」


氷柱(こおりばしら)


これなら遠く離れても見えるだろう。柱ってよりもうこれ塔だよな。高さ二十メイルはあるんじゃないかな。


「それいいわね。こんな所で現在地を見失ったら危ないもの。さすがカースね。」


アレクに言われると嬉しいな。冒険者は安全第一だからね。足元よーし!


では飛ぶとしよう。風壁をもう少し厚めにして……内部の温度も上げよう。これもし外で裸になったら即凍るんだろうな……肉どころか骨まで。


思えば、こんな場所だから魔物はゴーレムしか現れないのか。そりゃそうだ。四十九階まではここに比べれば暖かいがそれでも氷点下二十度は軽く下回ってそうだもんな。


アレクには遠見を使ってもらい、先程の氷柱をひたすら見てもらっている。このだだっ広い空間が地球のように球面だというならある地点から見えなくなってしまうだろうが、見える間は見続けてもらうことになっている。


ドロガーは右、キサダーニは左を警戒。コーちゃんとカムイはお任せ、何か気になることがあったら知らせてくれるようにと。


「ここヤバいしー。魔力反応も全然ないしー。こんなのどこで休めってのー?」


「さっきの繰り返す罠もないか?」


「永劫回帰魔陣? あっても分かんないしー。うちがあれ見つけるのにどんだけ苦労したかニンちゃんだって知ってっしー? まじどんだけー。」


ループの罠って正しくはそう言うのか。えいごうかいきまじん? 小難しい名前してんのね。

ループの罠を解除した時は床を這いつくばるように延々とチェックしてだいたい五時間ぐらいだったか。クロミお疲れ。あれで見つからなかったら私が手当たり次第に解呪をかけまくるしかなかったんだよね。


「でもたぶん違うと思うしー。こんだけゲロ広い空間を永劫回帰させるってここの神様じゃ無理くなーい? 相当な高位神でもキツい気するしー。」


酷い言われようだ。でも納得。つーかループさせることは永劫回帰させるって言うのか。なんだかクロミの頭が良く見える不思議。


「ならもう少し飛んでみるか。何もないわけないだろうしな。」


イグドラシルもそうだったけど、神の試練ってひたすら忍耐させる系が多いんだろうか。それはそれでキツいんだよなぁ……

人間の資質は強敵と戦って勝つとかの方が分かりやすいんじゃないのかよ……


分かりやすい……か。

よし。そうだな。分かりやすく。

うん、ここは私らしくいこう。


「ちょっとみんな気をつけてね。大きい魔法使うから揺れると思う。」


『風壁一部解除』


寒っ!


穴から手を出して……


『超圧縮業火球』


を真下に。

そして全力で後退。それでも爆風に吹き飛ばされること木の葉のごとしだ。

目の前には見事なキノコ雲。どこまでも立ち昇っていく。やっぱ上も高いなぁ。


「なっ……なんだよ今の……お前あんなやべぇ魔法使えんのかよ……」

「さすがに驚いた……それなら山の一つや二つ吹っ飛ばせてもおかしくないな……」


だが問題は地面だ。視界一面が氷で覆われた青の世界に一石を投じることはできたのだろうか。


そろそろ煙が晴れてくる。

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[一言] 今までとは違った相手でしょうか。
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