表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1856/3108

764、懐かしき天都イカルガ

外に出てみてびっくり。

入った時は平坦だった入口前が……大穴は空いてるわ壁で囲まれてるわで大きく様変わりしていた。


「魔王殿。見事ジュダを仕留めたそうで。さすがのお点前、感服仕った。」


「やあベクトリーキナーさん。待たせちゃったね。これでもうヒイズルの制圧は終わりなのかな?」


「さほど待ってはいないさ。制圧か、どうだろうな。それよりも、現時点をもってここの包囲は終了ということでよいだろうか?」


「いいよ。ご苦労様。赤兜はどんだけ出てきたの?」


「ざっと二百といったところか。全て捕縛し洗脳魔法も解呪できる者はしておいた。一部できない者もいたが、瑣末なことだろう。」


おお……やっぱすごいね。それだけの人数がムラサキメタリックをフル装備で襲ってきたらかなり手強いはずなのに。やっぱ国王直属の精鋭部隊はすげぇぜ。ちょっと前は近衞騎士ですら一対一で互角だったのに。やっぱ傾向と対策って重要だよね。


「じゃあ後のことは任せるよ。ヒイズルをどう支配するのか属国にするのか、陛下の思惑次第とは思うけど。」


「ああ。魔王殿のおかげでかなり円滑に進んでいる。まさかここまで一人の犠牲も出ないとは思わなかったさ。ところで魔王殿はイカルガに戻るのかな?」


「そのつもり。色々あってみんなかなり疲れたもんでね。じゃあお先。」


「そうか。この度はご苦労だったな。貴殿の働きに我ら一同感謝している。本当にありがとう。」


おおっ、全員が敬礼を。これは嬉しいな。兄上は敬礼で返してるけど私は騎士じゃないしな。普通に手を振っておこう。


「そんじゃ行っくよー。ウチも疲れたからー。さっさと帰って休みたいしー。」


「頼む。」


鉄ボードを飛ばすのはクロミにお任せだ。

ふぅ……外の空気はうまい、気がする。ここって上層階はあんまり迷宮っぽくなかったよな。だから閉塞感もなかったし空気がまずいなんてこともなかったけどさ。

それでもやっぱ外はいいもんだ。冬だけど中より暖かいし。


「ニンちゃん並みにぶっ飛ばして帰るしー。」


『浮身』

『烈風』


どわっ、そんな急に加速するなよ。落ちたらどうするんだ。まあ、アレクが風壁で周囲を覆ってるから落ちるわけないけどさ。


「お、おお、飛んでんぞ……」

「なんてぇ速さだぁ……」

「すげぇ……」


職人三兄弟もびっくりだね。お、ドロガーが説明を始めたか。ブラッディロワイヤルの解散から今日に至るまでの出来事を淡々と。ドロガーにも色々あったんだよなぁ。何にしても生きててよかったよな。




「そんなことが……」

「おいらぁの店ぁどうなってんだ……」

「立て直すしかないだろ……くそっ!」


五年余りも洗脳されてただ働きさせられてたんだもんな。アーニャほどじゃないけどあんまりだよな。


「少し助言をしてやろう。お前ら三人はムラサキメタリックを扱う技量があるらしい。たぶんジュダ以外にはお前らしかいないはずだ。ジュダ亡き今、その技術はお前らしか持ってない。上手くやればヒイズルどころかローランドを合わせても随一の魔道具職人になれるぞ。がんばれ。」


その記憶はもう消えてるだろうし体でも覚えてないだろうけど、こいつらができたのは間違いないだろうからね。


「そもそもムラサキなんちゃらって何かぁ!?」

「ジュダって……天王陛下のことかあ!?」

「おまっ、呼び捨て……ん? 亡きって言ったか?」


「その通り。ジュダは死んだしこの国はもうローランド王国に支配されたぞ。今後どうなるかは知らんが国民全員が奴隷なんてことにはならんだろうさ。たぶん普通に暮らせると思うぞ。」


ならないよな? 普通は敗戦国の扱いなんて惨めなもんだがそこまで無茶なことはしない気がするんだよな。

いや……でも天都の戦力はほぼ壊滅だけど、地方貴族の戦力は普通に残ってるもんな。シューホー大魔洞に出張してる赤兜だって大勢いるし。もしかして本格的な戦いってこれからだったりするんだろうか?


「むぐぅ……」

「どうなってんだぁ……」

「ローランドが……」


それにしてもうちの国王も大胆だよな。百や二百の兵力で他国を攻めるって。攻め落とすことはできても、その後はどうやって支配するつもりなのやら。私が心配することじゃないからいいんだけどね。


おっ、そろそろか。


「クロミさん。少しゆっくり飛んでもらえるかな。宮廷魔導士の方々が警戒をしているようなのでね。」


「ゆっくりー? 別にいーけどー。」


どこだ? 姿は見えないが……

あ、来た。


「大人数で何事かと思えば、マーティン殿のご一行か」


「任務ご苦労様です。ついでですから僕を陛下のところにお連れくださいますか? 重要な報告がありますので。」


「よかろう。では掴まるがよい」


「失礼します。じゃあカース。また後で宿を訪ねるから。アレックスちゃんもアーニャさんもお疲れだったね。」


「お義兄さんもありがとうございました。おかげでカースが無事でした。」


「う、ウリエン様! ありがとうございました!」


そして宮廷魔導士と兄上は天道宮の方に飛んでいった。私達は定宿、若草雲荘へ戻る。疲れたし眠いし腹もへったし。


「ピュイピュイ」

「ガウガウ」


分かってるって。コーちゃんは酒だよね。帰ったらたっぷり飲むって約束だったもんね。そんでカムイは手洗いだろ? 迷宮では風呂に入れなかったもんな。


「着いたらみんなは先に始めててよ。僕はカムイと風呂に入るからさ。」


「それなら私も行くわ。一緒に洗いましょ。」


「わ、私も!」


「ウチは食べるしー。もーぺこぺこだしー。」


「俺ぁ飲むぜ。飲まんとやってらんねーからなぁ。」


「ピュイピュイ」


こんな状況ではあるけど、いつも通りの品揃えだといいなぁ。




職人三兄弟は着地と同時に走っていってしまった。そりゃあ気になるよな。


さて、懐かしき宿に入るとしようか。だいたい一週間ぶりぐらいかな。いやー、ハードな一週間だったなぁ。あー疲れた。もう何も心配いらないよな。後は国王がうまいことやるだろ。拐われたローランド人の保護とかもさ。いやぁ一気に気が楽になった。ほんといいタイミングで来てくれたもんだわ。もっと早く来いよってのは言わずにおいてやろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ピュイピュイ 飲みましょう
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ