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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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752、熱戦

ジュダの野郎……余裕たっぷりの顔しやがって……


「ところで、これ何だと思う?」


「知るかよ。ライフルか?」


ジュダが手に持っているのは明らかに銃器だった。この野郎……そんな物まで持ってやがるのかよ……


「正解だよ。ウィンチェスターM1873を意識してる。要はライフルさ。これで君の頭をぶち抜くはずだったんだけどね。よくもまあ無事だったもんだね。さすがは魔王君ってとこかな?」


ウィンチェスター? 知るかよそんなもん。


『水球』


私がやることは変わらない。この寒さだ。氷で全身を覆ってしまえば終わりだろ。偽勇者は蘇ってくるみたいだけど、こいつまでそんなことできまい?


「無駄だって。この水にさえ君の魔力が含まれてるんだからさ。少しでも僕の鎧に触れると霧散するってわけさ。」


なんだそりゃ? 魔力消散みたいなもんか。いくら魔力と相性が悪いからってそんな機能まであんのかよ……


「おっと! 飲ませないよ?」


危ねっ! マジで私の『狙撃』みたいじゃん。私と違って狙いは正確じゃないし一発撃つのにまあまあ時間がかかってはいるが。問題は弾丸がムラサキメタリック製であることなんだよなぁ。くそ、魔力ポーション飲ませろよ。


まあいい……マジでぶち殺してやる。


『鉄壁』

『金操』


潰れちまえ。鉄壁を猛スピードでぶつけてやるよ。


「ぐふっ、無駄無駄ぁ! 魔力が込められている以上は金属だろうと霧散するんだよ!」


まんざら無駄でもないようだな。


『鉄壁』

『金操』


「だから! いてっ、無駄だって言ってんだよぉ!」


何十トンもの鉄塊がぶつかってそれかよ。まあいい。こうやって鉄壁をぶっ飛ばしてる間はライフルだって無意味だからな。


『鉄壁』

『金操』


「くっ、いい加減にしろ! 時間稼ぎでもしてるつもりか!」


それも悪くないがね。でも金属系の魔法は魔力の燃費が悪いんだよな。

さて、そろそろ本命を見せてやるか……


「鉄壁」

『金操』


「くらえ!」


あらら、こっちを無視して兄上を撃ちやがった。どうせ当たらないのに。つまりジュダは無防備で鉄塊を……


「がはっ! な、なん……だと……」


くくく。お前にがっつり触れたのに鉄塊が霧散してないなぁ? なぜか分かるかぁ? 文明人さんよぉ?


『火球』

『重圧』

『金操』


さあ、このまま鉄の中に閉じ込めてやるよ。

金策のために魔力庫に入れておいた鉄が役に立ったぜ。さっき使ったのは鉄壁じゃない。ただ単に魔力庫から鉄塊を取り出しただけなんだよ!

唱えた魔法と違うのを使うのはマナー違反だけどな。そんなの知ったことかよ。


鉄塊はまだまだどっさりあるからな。ほーら、もっと追加だ。内側から絶対ぶち壊せないようにな。まあムラサキメタリックを装備している以上は魔法が使えないしな。これもう詰みだろ。餓死圧死の前に窒息死かな。外道の最後にしては生ぬるい気もするがね。


だが、油断なんかしないぞ? このまま目を離す気はない。さあジュダ、どうする? このまま大人しく死ぬか?


「ピュイピュイ」


ジュダが何かする? ありがとねコーちゃん。大丈夫だよ。どんと来いってんだ。魔力庫から鉄塊をどんどん出しておいてやる。私の後ろにはアレクやアーニャがいるからな。


「ギャワワッ!」


なにっ!?


「全員伏せろ!」


次の瞬間、ジュダを覆っていた鉄塊が破裂、いや爆発した。轟音とともに閃光が走る。一瞬遅れて熱波が迷宮内を埋め尽くした。氷に覆われていたはずの一室が一瞬にして溶岩の海になっている。私が置いた鉄塊も溶けかけているし……


「全員無事か!」


兄上の声だ。


「無事だよ! みんな入口に集合して!」


とは言ってもアーニャは歩けまい。私が運ばねば。


「アーニャ、大丈夫だった?」


「う、うん……吹き飛ばされたけど……ちょっと頭がぐらぐらする程度で特に痛いところなんてないよ。」


やっぱムラサキメタリックの鎧はすごいな。純ムラサキでなくてもこれだもんな。


「じゃ、これに乗ってね。」


鉄ボードにアーニャを乗せたら……『浮身』


よし。全員入口に集合してるな。ドロガーは意識がない。クロミはもう治っているようだな。爆発前に治し終わったようだな。


それにしても部屋が溶岩だらけになるほどの大爆発なのに全員無事とは……改めて私達ってすごいな……


おっ、兄上ったらフルプレートの鎧を装備してる。真っ黒でめちゃくちゃかっこいい!


「兄上、何回あいつを殺した?」


「最初の一回だけだよ。さすがに何度も不意打ちは効かないさ。あいつは強いね。」


接近戦で兄上と互角かよ。偽物のくせに生意気な……


おっと、今のうちに魔力ポーション飲んどこ。あと普通のポーションも頭にかけて、と。ふぅー痛かったなぁ。


「ジュダ様ぁ! いきなり何しやがんだよ! もう少しであの優男ぉぶち殺せたのによぉ!」


「悪い悪い。危うく死にかけてな。魔石爆弾のいいやつを使うしかなかったのさ。あらら、聖女ちゃんがいないね?」


ちっ、ジュダの野郎……なるほどな。閉じ込められた内部で魔石爆弾を使いやがったのか。どうせ自分は無傷なんだからと気にせずに……

そりゃあ理屈では純ムラサキメタリックに魔力由来の攻撃は一切効かないと分かってはいるが……あんな密閉空間で核並みの爆発をくらって無傷だなんてちょっと納得がいかんな……マジでそんなのありかよ……


おまけに部屋内をよく見れば……


あれだけの大爆発にもかかわらず、設備はほとんど壊れてない。吹っ飛んだ鉄塊が当たったらしき場所はさすがに傷ついてるようだが、爆風や熱線には影響を受けてないように見える。まあ、床が溶けてるからだいぶ傾いたりはしてるけど。


「そんなに離れていいのかい? それは僕の距離だよ?」


ふん、もう当たらねえよ。鉄塊はまだまだあるしな。どんどん置いてやる。そして……おらよ!


『金操』


さあ、もう一回やってみようか。鉄塊ミサイルだ。避けられるか? また魔石爆弾で脱出してみるか? できるもんならな。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  聖女が跡形もなく……
[一言] ジュダは本当に自分のことしか考えてませんね。 知ってたけど。
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