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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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750、魔王 VS 勇者

戦況は互角。奴の大剣と私の不動、武器も互角らしい。ぶち折ってやろうと思ったが刃こぼれすらしない。まあ、こっちも無傷だけどさ。

これはまずいな……早めに勝負を決めないと。もう一度ドロガーの方をちらり。うん、ドロガーにはきっちり伝わってるな。頼むぜ? お前が頼りなんだからよ。


「おらぁ! いい加減あきらめろやぁ!」


「そんなでけぇ体しておいて鎧がねぇと何もできねぇのかよ! この臆病者が!」


言いがかりだけど、こんなのは言ったもん勝ちだからな。


「てめぇみてぇなヒョロガキにゃあこの鎧は着れねぇからよぉ! そうやって文句だけ言ってやがれ!」


「つまり鎧がなけりゃあ俺には勝てねぇってことだな! さすが偽勇者だなあ!」


「あぁん!?」


おっと隙あり。大振りになったぜ?


『散弾』


兜に覆われた頭部でも、目の部分は開いてるからな。


「ちっ、痛ぇじゃねぇか! 小賢しいんだよぉ!」


くっ、眼球には当たらなかったか。ムラサキメタリックに覆われてるからホーミングでもズレるんだよな。だが……顔に意識が集中したろ? ほらそこぉ!


「うぐっ!」


フルスイングで膝横をぶっ叩いてやった。効くだろぉ?


「逃げんなぁ!」


それでも大剣を振るってきやがる。少し遅かったな。もう届かねえよ。


「甘ぇぜ魔王ぉ!」


なっ!? 大剣を!? 投げ、危ね!


「当たるかよ!」


落ち着いて不動で叩き落とす。そして備える……あれ? 来ないな。剣を投げて隙を作り、その間に間合いを詰めてトドメを刺す。私がよくやる手段なんだけど。


「てっきり逃げると思ったんだけどよぉ? 生意気に叩き落としやがったかよぉ。そんじゃあこいつも叩き落としてみろや? 避けたら後ろの女が死ぬぜぇ?」


ふん、ムラサキメタリックのナイフか。さすがにそのサイズは叩き落としにくいな。だが、その必要はないんだよな。


『徹甲弾』


距離を開けたら私に有利だってのに。ぶっ飛べよ。ナイフを投げさせる隙など与えるわけがない。


『風操』


偽勇者の手元から離れたナイフ、そして大剣を……隅に寄せておく。本当は投げ返したいがムラサキメタリック製だからな。寄せるだけで精一杯だ。


さて、そろそろ……


『風球』


私の背中にぶち当てる!


『螺旋貫通峰』


死ねや!


「ぐうああああぁぁ!」


無駄無駄ぁ! 掴めるとでも……ちっ『火球』


くそが! マジかよこいつ……避けもせず掴み取ろうとしやがった……

胸を貫くつもりだったのが……ヒビを入れるだけで終わってしまった。だから不動の先端から、奴の胸元に直接火球をぶつけてやったのだが……


「はぁーはっはっはぁ……げはぁ……味な真似してくれんじゃねぇか……もう一センチ深く入ってたらてめぇの勝ちだったぜ?」


不動をとられてしまった……離して逃げなければぶっ叩かれて終わりだったからな。


「ほお? ふん、へぇ。こいつぁえらく扱いやすい棍じゃねぇか。こぉーんないい物持ってやがるとはよぉ? 魔王のくせに生意気だぜぇ!」


軽々と、巧みに振り回しやがる……

すり足で後ろに下がる。


「おいおーい。逃げんじゃねぇよ。それでも魔王かぁ? そぉんなに俺が怖いかぁ、んん? この勇者ムラサキがよぉ?」


「く、来るな……」


「くくっ、くくく。くぁーっはっはっはぁ! やっと俺様の怖さが分かったようだなぁ? 魔王は勇者に勝てない。これぁ常識だぜぇ? 今ごろ分かっても遅いけどなぁ?」


「や、やめろ……」


「おいおいおーい。それでもローランド中に名前が売れてるっつー魔王かぁ? せめて最後ぐれぇ潔くしろやぁ? 武器を奪われた程度で情けねぇなぁ?」


「やめろぉ! 来るんじゃねぇ!」


「ぎゃはははははははぁ! 心配すんなぁ! なぶるような真似ぁしねぇさぁ! 一撃でぶち殺してやんよぉ!」


偽勇者が軽やかに不動を振り回し、私の脳天を打ち砕こうとする。ふふっ、かかったな。


『火球』


「効くかぁ!」


知ってるよ。ただのブラインドだ。今の隙に少しだけ右にずれる。そうするとドロガーが。


「よっしゃあ!」


ボーラを投げた。命中。偽勇者の足に絡みついた。もう動けまい。ロープを切ろうにも刃物もあるまい。


「むおっ!?」


『浮身』

『風操』


不動を返してもらおうか。


「てめっ!」


「まだだぜぇ偽勇者よぉ!」


ドロガーがさらにボーラを投げる。今度は上半身、左腕と胴体を絡めとった。終わったな。


「じゃあ死ね。」


『螺旋貫通峰』


「くそがぁぁぁぁ魔王ぉぉぉおおおおおおおーーーー!」


『火球』


終わりだ。鎧を貫いて内部に直接火球を放った。黒焦げミンチってとこだろう。


「ありがとよドロガー。よく分かってくれたな。」


「そりゃあ分かるぜぇ。あの手の怪力バカには俺のロープが超有効だからよぉ。」


「見事だったよカース。特に相手の油断を誘うところなんかさ。本来は自分が優勢な時ほど気をつけないといけないよな。」


さすが兄上。ちゃんと見てるね。


「兄上もありがと。」


『身体強化解除』


ふぅ……疲れた……そして痛い……


「さあてジュダよぉ。どうするんだ? まだ抵抗してみるか?」


「ははっ。もしかしてもう勝ったつもり? おーい、勇者ムラサキ。起きろよ。」


何?


「ふうぅ……ちいっとばかり油断しちまったぜ……よぉ魔王。今度こそぶち殺してやんぜぇ……」


壁際にいたムラサキメタリックの騎士が……ゆっくりと動き出した……

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― 新着の感想 ―
[一言] ムラサキ実はアンデッドだったりしません?w
[良い点] あと5回か4回倒したら良さそうですな。ガンバれカース
[一言] ここで復活? ラスボス並みですね。
感想一覧
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