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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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748、長い直線の果て

鉄ボード上で兄上に突き飛ばされ転げ落ちた私。そして兄上の手元には折れた木刀が……なっ、肩もえぐれてる……


「カース! 防御を!」


アレクの声だ!


『鉄壁』


厚さが一メイルを超える鉄壁だ。先王や前校長でも一撃で貫けなかった私の最強防壁を構築する。


『氷壁』


アレクも周囲の隙間を埋めるように防御を固めてくれた。


「ニンちゃんぼーっとしてたっしょー? かっこ悪ぅー。」


うるせぇよ……そこまでぼーっとはしてないっての。ただ相手が速すぎただけだ。で、相手って何だ? 魔物じゃないだろ。


「まるでカースの魔法……『てっこうだん』と言ったか……のようだったな……しかも……」


兄上が指差した方を見ると、天井もかなり破壊されている。


「こいつだぁ。んだぁこりゃあ? ムラサキメタリックかぁ?」


「とりあえずニーちゃん治してあげるしー。」


ドロガーが拾ってきてくれた。


「こいつは……」


確かに私の徹甲弾のようだ。私がよく使う鉄製の徹甲弾は直径十センチの全長七十センチ。先端は円錐状でありつつも丸く仕上げてある。

対してこれの直径はだいたい九センチの全長九十センチってとこか。細長く見えるな。ムラサキメタリック製だから徹甲紫弾ってとこか。今の私には一発しか在庫がないやつだ。


なるほどな。短筒があるなら……これを撃ち出せる砲身や技法などもあるってことか? つまり、この先にいるのは……ジュダ!


「治ったしー。もう少し下だったら左腕がとれてたしー。ニーちゃんやるねー。」


「クロミさんありがとう。僕の先生ならこの程度で怪我なんかしなかっただろうけどね……」


そりゃあフェルナンド先生なら……


「兄上ごめんよ。エビルヒュージトレントの木刀が折れちゃったね。助かったよ。ありがとね。」


「なぁに。カースなら放っておいても大丈夫とは思ったが、つい体が動いてしまったのさ。余計なことをしてすまんな。」


「そんなことないよ。このウエストコートはドラゴン革だけど、もしかしたら貫かれてたかも知れないから。本当に助かったよ。」


いくら私でも心臓か脳を貫かれたら即死だからな。


「そんじゃニンちゃん。報復に一発どかんとやっちゃったら? あっちにできることはニンちゃんにも出来るっしょ?」


「それもそうだな。アレク、氷壁を一部解除してくれるかな。で、僕が魔法を撃ったらまた蓋してね。迷宮の壁に沿って隙間がないようにね。」


「分かったわ。じゃいくわよ?」


『氷壁解除』


『超圧縮業火球』


『氷壁』

『豪水牢』


おっと、クロミも追加で水の魔法か。一発で巨大な湖を干上がらせる私の最大火力の魔法だ。それをこんな狭い迷宮で放てば……


「ひいっ!」


アレクの氷壁が壊れて上下左右の隙間から爆風が襲ってきた。ところで今の悲鳴はアーニャかな? なかなか可愛い声だったな。


私の鉄壁は数メイルほど後退しただけで済んだようだ。設置面をここのギザギザな地面の形に合わせてあるからな。そして私達は無傷。クロミの水魔法のおかげだな。まあ、もしこれが壊れても私が全員を自動防御内に入れていたのだが。


「やっぱニンちゃんはこうでないとねー。ねっ、金ちゃん?」


「そうね。それでこそカースだわ。圧倒的な魔力で全てを蹂躙することがカースの本領なのよ。」


嬉しいことを言ってくれるね。さて、このまま進もうか。前が見えないなりに慎重に進むとしよう。

さっき見た感じだとこの直線は二百メイルは続いている。この直線の先に……ジュダがいるのか。


「みんな、鉄壁から顔を出さないようにね。」


「分かってるしー。ニーちゃん肩もう大丈夫ぅー?」


「もうすっかり大丈夫だよ。クロミさんありがとう。素晴らしい腕前だね。」


「と、当然だしー。」


おやおや? これって兄上とクロミのイチャイチャ空間か? ドロガーが心配そうな顔してるぞ?


「ムラサキメタリックの弾だけじゃなくてジュダには魔石爆弾があるからね。気をつけようね。」


コーちゃん頼むね。あれはヤバいからね。


「ピュイピュイ」


「じゃあ行くよ。一気にね。」


慎重に行くって話は撤回だ。


『金操』

『浮身』

『風操』


いくぜ突撃だ。


ふん、衝撃があるな。ムラサキメタリックの徹甲弾が鉄壁に命中しているんだろう。

だが、厚さが一メイルあるからな。さすがに貫通できまい。


「クロミ、防御を頼む。」


「いいよー。」


『超圧縮業火球』


『豪水牢』


ジュダがいるのか、それともいないのか……分からないが……これなら全滅していてもおかしくないだろ。あの時、海上でジュダが爆発させた魔石爆弾以上の威力がこの狭い迷宮で炸裂している。これだ。これこそ私だ。魔力でガンガンにごり押しだ。


前の様子は分からない。だが気にせず前進だ! 反撃は……ない! 行くぜこのまま!


出た! 広い!?


「よぉ魔王ぉ……久しぶりだよなぁ? 元気そうじゃねぇかよぉ……魔王のくせによぉ……あぁ?」


この声は!?

聞き覚えがある……


「てめぇ……偽勇者かよ!」


「いーや、勇者ムラサキだ。言ったよな? 七回生まれ変わってお前を殺すってよぉ?」


本当に……あの時殺した偽勇者なのか……?

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― 新着の感想 ―
[一言] また出たー! 本当に本人だったかぁ
[一言] 生まれ変わりは魂の修行のためですよ。 こういうことに使っちゃいけません。
[一言] 偽勇者キターーー!!!!(大歓喜)
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