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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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1839/3108

747、地下三十一階

全員がボス部屋に入ると、当然のように扉が閉まる。そして現れる魔物達……


氷炎乱舞(ひょうえんらんぶ)


おっ、クロミのお得意か。右手から火の魔法、左手から水の魔法だ。

わらわらと現れた白いゴブリン、ホワイトベレーどもをたちまち駆逐していく。

ピンクがかった炎に巻かれたゴブリンは黒焦げになり、青みのある水に覆われたゴブリンはたちまち氷漬けとなる。普段のクロミなら左手からは氷の魔法を使うんだろうけど、ここではああやって水の魔法の方が効率がいいもんな。つーかそれ私のパクりだろ。


「ニンちゃんどーお? ウチすごいー?」


クロミなら楽勝に決まってるだろ……二十九階のボス部屋より五、六倍は多く現れたけどさ。


「おうすごい。その調子でボスも頼むぞ?」


「あったり前だしー。あ、出た。」


お。デカいな。七メイルぐらいかな。ゴブリンにしては破格の大きさだね。


氷炎響叉(ひょうえんきょうさ)


炎と氷で挟み込む魔法か。でもタイミングが早い。まだボスの開幕無敵時間が終わってないじゃないか。クロミらしくもない。

へー、おもしろいな。火の魔法だけが消えて氷はその場に残ってる。寒いからなのか、クロミの火が弱いからなのか。


『ゴゴゴォガガァ! ゲギャギャギャギャオオオォォオーーーーーー!』


おっ、いつもの魔声か。さすがに込められている魔力も威圧感も桁違いだな。新人冒険者ならこれだけで死にそう。


氷炎響叉(ひょうえんきょうさ)


でもクロミには何の影響もないよね。落ち着いて同じ魔法を使ってる。へー、しかも左右半々じゃなくて上下半々かよ。

下半身を氷漬けにして上半身は黒焦げなのね。なかなかエゲツないなぁ。


おっ、終わったな。おや、これは珍しい。刀を落としやがった。しかも白くて美しいじゃん。まさに白刃ってとこか。


「な、なあクロミ! それ、俺が貰ってもいいか?」


「いいよー。」


ほう。ドロガーにしては珍しいな。まあ武器として使うかはともかくコレクションとしても美しいもんな。


「おお、こいつはいいぜぇ。よぉく切れそうだぁ。ありがてぇことに呪われてねぇぜ?」


持ってから判断するんじゃねぇよ……


「よし。じゃあいよいよ三十一階に行こうか。ここからが本番だ。ジュダがこの近辺にいなけりゃあもう外に出るつもりだからさ。気合入れていこう!」


私らしくもない。熱くなっちゃったよ。


「ああ。ローランド王国とヒイズルの今後の外交のためにもあのような王には退位を願う他ない。」


さすが兄上。国と国の関係まで考えてるんだなぁ。


「ニンちゃんに気合とかいらないしー。適当に天ちゃん見つけて終わりじゃーん?」


クロミらしい。


「ヒイズルはいい国だものね。まともな人間が王になればきっともっといい国になるわね。」


アレクの言う通りだ。米も味噌も醤油もワサビも最高だ。あと酒もね。そういえばこの迷宮の近くにはワサビの名産地があるんだよな。いい酒を作る村も。この件が片付いたらぜひ立ち寄らないとな。




ボス部屋の出口の扉をくぐり、階段を降りる。この構造はカゲキョーやシューホーと同じなんだよな。


そして階段を降りきると外に出る。

ほう、今度はまともな迷宮じゃないか。でも歩きにくそうだ。河原のようにごつごつした岩場、両サイドも岩壁。天井には無数の氷柱か。それらが全て真っ白で目が痛いし距離感おかしくなりそう。白けりゃいいってもんじゃないぞ?

これだけ真っ白な空間に私のサイケコートは似合わないにもほどがあるな。でも脱ぐ気はないけどね。


それにしてもあまり寒くない。体感で氷点下一桁ってとこだろうか。てっきりがんがんに寒くなると思ったんだけどなぁ。


「これはまっすぐ進むしかないね。じゃあみんな乗って。」


もちろんこんな所をちんたら歩く気などない。高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変に、速く慎重に進むのだ。


うわぁ……魔物多いなぁ……


『火球』


密閉空間なのに迷宮内では酸欠にならないことは確認済み。岩陰からカサカサと現れた無数の虫……全部燃えてしまえ。白い場所に白い虫なんかが現れると、見えにくくて仕方ない。だから全部燃やすのが一番だよな。たぶんあれは蠍かな。白い蠍かー……どうせ毒持ちなんだろうなぁ。関係ないけど。


『風弾』


おっとアレクの魔法だ。天井から落ちてきた氷柱を破壊してくれた。ありがとアレク。




むっ、分かれ道か。右と前と左……コーちゃんどう思う?


「ガウガウ」


おっ、コーちゃんに聞いたのにカムイが左だと? まさか、何か匂いをキャッチしたのか?


「ガウガウ」


ただの直感だと? でもカムイの直感は私の熟考よりよっぽど当てになるもんなぁ。行ってみよう。




長いなぁ……この直線。そして相変わらず蠍の魔物がわらわらと現れるし。こいつらを倒すと魔石を落とすんだけど、他にも小さな肉も落とすんだよな。蠍が落とした肉なんか食べる気しないけど。でも蛭が落とした肉と比べたらどっちがマシなんだろ……まあ面倒だから拾う気なんかないけどさ。


それにしても……この道やけに複雑だな。こんなのもしカムイがいなかったら絶対迷ってるぞ? アレクがいるから帰り道に困ることはないだろうけど。


「ガウガウ」


おお、悪い悪い。行き過ぎたのか。戻ろうな。えーっと、ここを右ね。




ここも長い直線だなぁ。


「ギャワワッギャワワッ」


コーちゃんの警告!? 前から!?


「どけカース!」


痛てっ兄上!? なっ……なんだ……と!?

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― 新着の感想 ―
[一言] どうしたぁぁ?!!
[気になる点] そういえば妹を除けば兄弟の中で唯一長男だけ死にかけて無いよね…
[一言] 三十一階で対決でしょうか。
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