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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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746、進撃の八人

うーん……ふぁあーあ……

少ししか寝てない気もするが、意外と悪い気分じゃないな。


「カースも起きたのね。」


「おはよアレク。あら? みんなもう起きてたの?」


私が一番最後じゃん。なんだか悪いことした気分だな。


「じゃあ私寝るね……」


「うん。ありがとね。おやすみ。」


アーニャも一人で見張りって大変だよな。心細いし退屈だろうし。せめて今だけはゆっくり眠って欲しいものだな。


『消音』


寝る場所はクロミの水魔法の中だから私にできることは物音を消すぐらいだ。




食事も済んだ。


「クロミ。アーニャだけどこのまま運べる?」


「もちろんできるしー。でもいいのー? その間ってうちが何もできなくなるよー?」


外はあの寒さだからな。いくらクロミでも魔法制御に集中しないとすぐにアーニャが氷漬けになってしまう。


「ああ。大丈夫。アーニャと一緒に鉄ボードに乗っててくれたらいい。」


「分かったしー。まあ問題ないよねー。」


よし。大変とは思うがクロミなら大丈夫だろう。


「じゃあみんな。ここからは全力で飛ばすよ。ジュダに追いつくまでね。」


「おうよ。正気の沙汰じゃねぇけど魔王ならどうにでもなんだろ。せいぜい死ぬんじゃねぇぞ?」


ドロガーめ、他人事かよ。


『点火』

『金操』


再び鉄ボードを加工した。今度は縦長に。これで狭い道もひとっ飛びだ。その分上から落ちてくる系の罠により一層の警戒が必要ではあるが……




ふう……途中何度かヒヤッとする場面はあったが、どうにかボス部屋に到着だ。やっぱギロチンの罠は怖いわー。

それでも安全地帯から三十分とかかっていない。恐るべきペースだろう。


ボスは白いゴブリンキング。キングホワイトベレーってとこかな。カゲキョーのレッドキャップの髪は長く不潔だったが、こいつは真っ白で清潔感すらある。顔はそっくりなのに。レッドキャップを強靭な肉体を持つキモいオッさんとするなら、ホワイトベレーはスラリとした細身のブサキモ白王子って感じだろうか。

しかもどこかで見た覚えのある斧を持っていやがる。


『ゲギャギャギャギャオオオォォオーーーー!』


ほう。開幕から魔声(ませい)か。それなりに魔力が込められてるね。効かないけど。


「全員下がっておいて。」


『徹甲弾』


ボスは瞬殺するに限る……が、生意気に斧で防ぎやがったか。斧は無傷のようだが体勢は崩れたな。


『徹甲連弾』


終わりだ。体勢を崩しながらも数発は防いだが、焼け石に水。連続して撃ち込まれる徹甲弾全てを防ぐのは無理だよな。


さて、ボスの落とし物は……斧か。あ、思い出した。これカゲキョーでも落ちてた呪われた斧じゃん。確かあっちのはアレクが拾ったんだよな。これはどうしよう。私は全然欲しくないんだよな。


「誰かこの斧いる?」


「じゃあウチが貰うしー。村のみんなへのお土産にするしー。」


そう言ってクロミは魔斧に触れることなく魔力庫へ収納した。まあ魔剣や魔斧ってレベルがピンキリだよな。いつだったかフェルナンド先生が話してたヤバい魔剣もあれば、ほどよいレベルのやつもあるし。




さて、次は二十七階だ。まずは安全地帯を目指そう。かっ飛びロックンロールでいくぜ。なんだそれ……




到着。安全地帯に人影なし。出発だ。




ボス部屋到着。ホワイトベレー撃破。次だ。




そして二十八階。ここからは道が分からない。慎重に行くしかない。それに悩むのは安全地帯に寄るかどうかだ。どうもジュダどころか誰もいそうにないんだよなぁ。


決めた。もう遅いかも知れないがスルーしよう。もし、たまたま通りかかって人の気配があったらコーちゃんとカムイが反応してくれることに期待して……


「ピュイピュイ」

「ガウガウ」


もしもの話だからね。いないならいないでいし。


「というわけで安全地帯は無視してボスを目指すよ。飛んでいくことに変わりはないけどね。」


少しペースが落ちるだけだ。


「カースがそう決めたのなら構わないさ。僕らは付いていくだけだからな。」


「ここまでの魔物の強さからして、ジュダが四十階まで一人で潜れるとも思えないものね。三十一階から逃げられる前に追いつくことを優先するのは当然だと思うわ。」


「逃げたら逃げたで外に出てから殺せばいいしー。」


よし決まり。


「では、これまで以上に周囲の警戒を頼むね。」


これだけのメンバーがいれば索敵や罠感知も楽勝だよな。シューホー大魔洞で厄介だった見えない壁もまだ当分は出てこないだろうし。




ふう。危なげはあったけど、無事二十八階ボス部屋へ到着。いいペースだ。このままガンガン行くぜ。






来た。ついに。

三十階のボス部屋だ。十の倍数階はボスが強い。その上こっちは八人だからな。さらに四倍の強さだ。

だが、知ったことではない。私の魔力はまだまだ余裕がある。ゴリ押しでも何でもやってぶち殺してくれる。


「じゃあ開けるよ。みんなしっかり身を守っててね。」


私が容赦なく範囲魔法を使う可能性があるからな。だって二十九階では本命のボスが現れる前に小さなホワイトベレーがわらわらと現れたんだから。そいつらを全て倒してからが本当のボス戦だった。まあ、これも迷宮あるあるだよな。


「あーちょい待ちー。たまにはウチがやるしー。ニンちゃん交代してー。」


「ああ。構わんよ。」


クロミも退屈だったのかな。さっきまでアーニャに水の魔法を使い続けてたのに。アーニャが起きたから手が空いたってこともあるのかねぇ。


「ふにゃ……はれっ? ここ何階?」


ふふ、アーニャめ。まだ頭がはっきりしてないな。


「三十階だよ。いい時に起きてくれた。鎧を着ようか。ちょうどボスだからさ。」


ムラサキメタリックを着込んでくれたらアーニャは無敵だもんな。かなり安心できる。


「も、もうそんなに!? わ、私そんなに寝てたの!?」


「いや、たぶん五、六時間じゃないかな。かなりのハイペースで来たからさ。ほれ、右足を上げて。」


「う、うん。」




よし。これでアーニャは無敵だ。ではボス戦行ってみようか! 私は見てるだけだけど。

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― 新着の感想 ―
[一言] ふぅ~・・・一気読みは最高だぜぇ・・・
[一言] いやもう、このパーティー自体が、
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