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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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727、揺れるアーニャ

赤兜を追い出した後、死体を片付けたら仮眠だ。クロミの暖かい水魔法で揺蕩(たゆた)うように眠る。見張りはアーニャが買って出てくれた。偉いね。ありがたいね。まあ私も『範囲警戒』を張っておくけどさ。




ん……? この感触は……アレクかな……朝から元気なんだから……


いや違う。アレクは隣で横になっている……


「あ、カース。起こしちゃった?」


「アーニャか……」


私の唇を奪っていたのはアーニャだった。


「どうしたの?」


「カースの寝顔を見てたら、つい。」


「キスぐらいは構わないけど、できれば警備に集中して欲しいかな。」


「うん……ごめんなさい。でも、カースのあそこが大きくなってて……見てたら、つい……」


あー……せっかくクロミの水魔法なもんだからパンツ一丁で寝てたんだよな。そしたら朝じゃないけどアレがナニしちゃってたってことか。これって疲れ何とかって言うんだっけ?


「でもカース酷いよぉ……私がキスしたら見る見るうちに萎んでいったんだから……」


「それは契約魔法のせいだね。だから別にアーニャが嫌いとか魅力がないとかって話じゃないからね。」


アレク以外の全ての女性に対して私はこうなんだよ。


「うん……起こしてごめん。寝て?」


「うん。おやすみ……」


実は結構眠いんだよね……仮眠なんだけどガッツリ寝てしまいそうだ……むっ? 範囲警戒に反応あり!


「カース! 誰か来た!」


ほぼ同じタイミング。アーニャもちゃんと見張りしてくれてるな。


『乾燥』

『換装』


おっと、それから『消音』と『水壁』

せっかく休んでるみんなを起こすわけにはいかないからな。


見えた。やはり赤兜か。くそ、せっかく寝ようとしてたのに起こしやがって……


「お前らもジュダから命令を受けたのか?」


「うおっ? 誰だ!?」

「見ねえ顔だな? うほっ、あの子かわいいぞ!」

「うっげ、なんだあの派手なコートはよ?」

「どっかで見た気ぃするような」


魔導絹布のコートは現在アーニャに着てもらっている。魔力庫へ収納しにくいもんだからね。


『高波』


やはり赤兜と会話するなんて時間の無駄だよな。生き残った奴とだけ話せばいいだろう。


「ちょっと外に出てくる。見張り頼むね。」


「う、うん……」


この寒さだからな。波に飲まれて流された先で意識を失ったらそのまま死ぬだろう。よって立ち上がっている奴だけを追えばいい。

そして、生き残った奴がいるなら一応は尋問ぐらいしようと思ってるんだよな。




おっ、都合のいいことに一人立ち上がってやがる。しかもムラサキメタリックに換装してるな。


『徹甲弾』


話すのはぶっ飛ばした後でいい。


ふらふらと立ち上がろうとするが……


『氷塊弾』


上から潰されてしまえ。ムラサキメタリックには効き目がないとは思うが、中身を揺さぶるには効くだろ?

ここまでやれば肉体は無傷でも起き上がれまい。


念のため不動で兜越しに頭をぶっ叩く。

よし。これでもう大丈夫だろう。こいつを鉄ボードに乗せて……『浮身』

安全地帯に戻るとしよう。他の奴らは動く気配すらない。よし、そのまま凍死だな。




安全地帯に戻った。


「カースおかえり。あっ、それって赤兜?」


「うん。うまいこと一人だけ捕まえられたからね。こいつを尋問するからアーニャは引き続き見張りを頼むね。」


「うん! 分かった!」


では私は奥でこいつの尋問に集中しようっと。




なるほど……

こいつもジュダから直に命令されたわけじゃないのか。伝聞で命令を受けて外に出ようとしてたわけね。

うーむ……三百人からの赤兜が一斉に外に出ようとしたら、ここの階はもっと赤兜だらけになっててもおかしくないよな。

つまり、命令には差異がある?

すぐに出ろと言われた奴らと、まだ迷宮に留まってタイミングを見計らって一斉に出る奴らがいる?

うぅーん、分からん……


とりあえずこいつも適当に持ち物を没収してから放逐してやった。運が良ければ生き延びられるだろう。




はあ……すっかり目が覚めてしまったな。まだみんなを起こすには早いかな。もう少し寝かせてあげたいよな。錬魔循環でもしながら待つとしようか。元々いつ出発するって決めてたわけでもないしね。


「ねえカース……」


「ん? どうした?」


アーニャが神妙な顔して話しかけてきた。


「今さらな質問な気もするんだけど、カースって何がしたいの? なんだか無差別殺人をしてるようにも見えて……気になっちゃって……」


無差別殺人……まさかアーニャからはそう見えてたのか?


「何がしたいかと言われると、ジュダを殺したいかな。あいつさえいなければもうヒイズルから出たっていいんだからさ。」


「そ、そうだよね。ごめん……くだらない質問だったね。分かってるはずだったのに……」


無理もないのかな? 長閑な農村で育ったわけだし、血腥(ちなまぐさ)いことに慣れてるはずもないもんな……確かに今さらだけど。


「ジュダ一人のせいってわけでもないけど、ローランドの王都では万単位で人が死んだしね。今後のことを考えると、どっちにしても放置しておけないんだよね。」


もっとも、ここまで国王が来たことを考えると後は任せても全然問題ないんだけどね。元々私が個人的な感情で始めたことだし。


だが、ジュダだけは絶対に殺す。あいつだけは私の手で、必ず。


「そう……だよね。ごめん、水を差すようなこと言って……」


「いやいや、色んな意見は大事だと思うよ。だから気になることがあったら言ってくれた方がいいかな。僕やアレクが気付かないこととかありそうだしね。」


「うん。分かった。ありがとカース。」


そう言ってアーニャは抱きついてきた。うーん、やはりまだまだ細いよなぁ……もっとしっかり食べてもらわないと。


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― 新着の感想 ―
[良い点] クタナツ精神は日本人マインドとは違いすぎて、アーニャさんはカズマとカースの齟齬を受け入れなくて悲しいことになりそうな気がしますなあ。どうなってしまうのか。
[一言] アーニャは今までの経緯を知らないでしょうからね。
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