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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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724、五階の秘密

それからドロガーの案内に従って二階、三階へと進む。

慣れてみるとこっちのタイプの方が進みやすいということが分かった。なんせカゲキョーとシューホーはここに比べると狭い通路だったからな。罠を気にしてちまちま進むより、広いフィールドをガンガン進む方がよほど早いってもんだ。だってひとっ飛びだぜ? 魔物だってスルーし放題だし。

どの階もボスは大きめの雪男『サスカッチ』だったが、もちろんカムイが瞬殺した。


そして四階。ここに来るまでジュダの痕跡は発見できなかった。コーちゃんとカムイがそう言うんだから間違いないだろう。


「ここで一休みしようか。お腹も空いてきたしね。」


「そうね。時間的には昼すぎといったところかしら。何か作るわね。」


「いや、久々に鉄板焼きといこうよ。寒いし人数も多いことだしね。」


「いいわね。じゃあどんどん切るわね。カースは焼くのをお願いね。」


「任せて。がんがん焼こうね。」


こうは言ったものの私の魔力庫にはろくな食糧が入ってないからな。アレクが頼りだ。


「じゃあウチも肉出すしー。」


おお。クロミも山岳地帯の魔物肉を持ってるのか。これは期待できるな。




「ご馳走様。おいしかったよ。相変わらずカースはすごいな。鉄の板を浮かせつつ巧みな温度調整。それにアレックスちゃんも見事な切り方だ。肉の筋を見切って食べやすいように断ち切っている。」


いやー兄上にそう言われると照れるなぁ。


「ありがとうございます。お義兄さんにそう言っていただけると嬉しいです。」


「本物の……模範騎士ウリエン様……」


ん? アーニャどうした? あ……


「そう言えばアーニャは兄上の姿絵持ってたんだっけ?」


「うん……で、でも違うよ! 私はカース一筋なんだから! あくまでも姿絵は目の保養なんだからね!」


「僕の姿絵を? 恥ずかしいな。でも買ってくれてありがとう。」


「い、いえ! も、申し遅れました! アーニャ・カームラと言います! バンダルゴウの近くのスータドマ村出身です!」


そう言われた兄上は手を差し出した。絵になる男だわぁ。ファン対応に慣れてんな。アーニャも恐る恐る握手してる。微笑ましいぜ。


「スータドマ村? カースと一緒にヒイズルに来たのかな。カースと一緒だと落ち着かないよね。早く落ち着くといいね。」


「あ、そ、そうですね!」


そりゃそうだ。ただの村人が海外の迷宮に来てるんだから。普通に考えて何か事情があると思うわな。それを兄上は「落ち着くといいね」で終わらせたわけだ。複雑そうな事情に立ち入ることなく。この男、やりおる。アーニャの目がハートに……なってはないか。

少しほっとしちゃったよ……


私ったら……




さて、探索再開だ。

四階のボスはまたもやサスカッチ。カムイの敵ではない。


さて、五階までやってきた。


「ようドロガー。ここはクリアしてないんだったな? 安全地帯は分かるか?」


「ああ。安全地帯までならな。ボスの居場所が見つからなくてよ。結局食糧が足りなくなって引き返したってわけよ。」


ここまでのボスはみんな岩山をくり抜いたような洞窟の奥にいた。つまり、次の階層に下りる扉もその洞窟の奥にあったのだ。それが見つかってないということは……どう言うことだ? 面倒な匂いがするぜ。


「ここの階層は全部調べたのか?」


「おお。見つかんねぇ以上そうするしかねぇからよぉ。もう少し時間があればと思わねぇでもなかったけどな。そんで出た後は迷宮税八割だからよぉ。今回はちょうどいい機会でもあるぜぇ。」


そういやドロガーは今回の件が片付いたらクロミやキサダーニとここに潜るって話だったな。ついてたな。この階層のクリアは目前だぜ?

なあカムイ?


「ガウガウ」


え……マジで……


「カムイがさ、寒すぎて鼻が利かないんだって。でも近くまで行けばたぶん分かるって。」


なんせ気温は氷点下どころじゃないもんな。いくらカムイでも無理なもんは無理か。でもそれなら問題なしだ。


全部飛べばいい。体感だとこの階層の広さは三キロル四方の正方形。高さがどんだけあるかは知らないが。生意気に私の楽園の城壁内より広いんだよな。


端まで行ってみると高い岩山が聳え立っている。ここから先は進むなと言わんばかりに。上がどうなってるか気になるが今はボスを見つけるのが先だ。ここからマスを埋めるように進んでいく。南東の端から北東へと向かい、少し西に移動してまた南に戻るイメージだ。


比較的ゆっくり飛んで三十分は経っただろうか。カムイが吠えた。ガウガウと。

場所は階層の中心にほど近いあたり。草原の中にどんと佇む巨岩がある辺りだった。


「ガウガウ」


「カムイが言うにはこの岩が怪しいそうだ。ドロガー、ここは調べたのか?」


「一応な。でも特に何もなくてよぉ。早々と諦めた所だぜぇ。」


岩山だもんなぁ。普通はこんなの動かせるわけない。そうなると……


『徹甲弾』


とりあえずカムイが怪しいと言った場所を攻撃してみる。穴でも空けばいいんだが……

おおっ!?


「なっ!? マジかよ魔王ぉ! そんなのありなんかよぉ!」


「どうやらマジみたいだな。行こうぜ。ここが五階のボスなんだろ。」


マジで大岩に不自然な穴が空いた。これは穴ってより入口だ。まるで一定以上の衝撃を与えたら扉が出現するよ、と言っているかのように。迷宮だもんな……ここの神のルールで動いているってわけか。そしてここの神はこんなことをやるタイプってことだな……分かるかよこんなの! カムイがいなかったらどうしようもないだろ!

まったく……神ってのはいい身分だよなぁ。


てことはジュダやバルテレモンちゃんはこの仕掛けに気付いて攻略したってことか? ドロガー達より頭いいってことじゃん。ドロガー残念。

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― 新着の感想 ―
[一言] 忙しくて全然読めなかったけどそれはそれで溜まってるという至福!!
[一言] まるでカムイは攻略本。
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