表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1790/3108

688、前天王アラシ・フルカワ

ようやくジジイは観念したらしい。意外と物分かりいいじゃん。天道魔道士って死ぬまで戦いそうなイメージもあったんだけどな。人によるってことか。


「して……何を訊ねようと言うのだ……」


うーんそうだな……


「何か変な魔法をやたら使ってたよな? 蝶をぐるぐる動かしたりしてさ。何の意味があったんだ?」


「火蝶幻舞、火蝶惑鳴、火蝶臭眩……この三つの魔法それぞれで……目、耳、鼻を狂わせるのが本来の使い方だ……弱い相手ならばそのようなことをするまでもなく火蝶に焼かれて終わりなのだがな……」


ふーん。幻覚魔法や混乱魔法の一種か。ご丁寧に五感を一つずつ潰すわけね。たぶんその三つの続きもあるんだろうな。でも私には自動防御があるからな。何一つ効いてない。相性が悪かったね。


「で、聞きたければ勝てとか言ってたな。俺の勝ちでいいよな。じゃあ約束だ。正直に話してもらうぜ?」


「く……いいだろっうぉ……なんという濃密な魔力……契約魔法か……」


天都イカルガに来てから契約魔法がきっちりかかったのって久々な気がする。


「さて、あの建物は何だ?」


「知らぬ……ただ、天王陛下より死守するよう赤兜に下命されたと聞いておる……」


「お前が命令を受けたわけじゃないってことか?」


「そうだ……長らく天道宮で禄を食んだ身ゆえな……最期の奉公だと思っておる……」


死守するよう命令しておいてこの様かよ。誰も警備してないじゃん。あ、私があらかた蹴散らしたからか?


「天王はなぜ天道魔道士を冷遇してんだ?」


「知らぬ……だが、おおかた我ら天道魔道士はまとまりがないからであろう……魔法の才なき者は天道魔道士になれぬ……ゆえに、なれた者は己の才に溺れがちになる……」


ふーん。そんなもんか。


「また我らは魔力が高いゆえに天王陛下としては目障りだったのかも知れぬ……陛下のあの魔法が効かぬからな……」


それだ! あの野郎としては洗脳魔法が効かない相手だから冷遇してたのか! 納得!


「そこまで分かってて何もしなかったのか?」


「確証などない……我らは我らの忠義を全うするのみだ……」


ふーん忠義ねぇ……我らって言ってるけど残ってるのはこいつ一人なんだよな。本気でそう思ってるみたいだし、まあいいけどね……


「他の天道魔道士はみんないなくなったって言ったな。どこに行った?」


あの洞窟に来ても今は誰もいないしね。


「知らぬ……ここ天道宮を出ていったとしか分からぬ……いくら冷遇されたからと……見下げ果てた者どもよ……」


冷遇されても辞めないこいつが変な気もするが……まあ前の天王に義理とかあるんだろうな。あ、前の天王と言えば。せっかくだから聞いておくか。


「ジュダの前の天王はもう死んでるんだよな? 死に方に不審な点はなかったのか?」


「アラシ・フルカワ王がご逝去なされて……もう十年になるか……生前は我ら天道魔道士をかわいがってくださったものだ……その死に不審な点は……ある……」


「あるのかよ! どうせジュダが怪しいんだろ?」


「おそらくな……だが、アラシ王は今際の際におっしゃったのだ……ジュダとテンリを頼む、支えてやってくれ……と」


「テンリって誰だ?」


聞き覚えはあるんだけどな……


「アラシ王とアスカ妃のご長女テンリ・フルカワ様だ……」


「まさかその遺言があるからジュダなんかに忠誠を誓ってるのか? 意味ないだろうに……」


「忠義とは風向きや情勢によって変わるものではない……我らがアラシ王から受けた恩義が変わらぬように……」


はぁー……マジかこいつ……腐れ騎士ばかりだったヒイズルにこんな奴がいるとは……国士って感じ? そういえばアレクママも似たようなことを言ってたよなぁ。本当の貴族は何があっても判断を変えないとかってさ。


「で、どうすんだ? もう抵抗する気はないんだろ? 俺としてはジュダの出方次第では命を助けてやってもいいと思ってるが。もう赤兜も親衛騎士団もあまり残ってないだろうしな」


迷宮に出向してる奴らを集めたらまだまだたくさんいるんだろうけどな。どう考えても間に合うまい。


「いいだろう……陛下のもとへ案内しよう……だが、お命を狙うような真似をした場合は……我が身命を賭しても……」


「ジュダ次第だけどな。素直に頭を下げればお目溢しだってあるさ。で、どこに案内してくれるんだ?」


あいつがそんなタイプとは思えないけどね。

つーかこのジジイはジュダの居場所を知ってるのか?


「とりあえず丞相殿のところへ向かう……」


「丞相? たしかアラカワとか言ったか?」


テンモカのアラカワ家と関係あるんだったよな。


「ボガイト・アラカワ殿だ……天道宮がこれほど混乱しておる今……きっと陣頭指揮をとっておられるはずだ……」


やはり聞き覚えがあるな。えらい堅物とかって言ってたような。キヨバルの父親だよな。紅蓮獅子の飼い主キヨバル。あいつどうしてんだっけ? カゲキョーの街を横取りしに行ったんだっけな。


「そんじゃ行こうか。もちろん赤兜が襲ってきたら片付けるからな?」


「……貴殿の好きにされよ……」


丞相は話が通じる奴だといいのだが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] これは展開が気になるなぁ・・・
[一言] 何かここへ来て堅物とばっか会うような。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ