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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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687、天道魔道士長ゼイモス・タガタキ

ジジイ魔法使いはすうっと私と同じ高さまで昇ってきた。水平方向に対峙した私と奴の距離は二十メイルってとこか。


火蝶(ひちょう)


えらくのんびりした魔法だな。燃える蝶か。見た目はきれいなんだけどな。手の平サイズしかないが何匹いるかはとても数え切れないね。もっとも……


『烈風斬』


数える必要なんか全然ないけどね。おっ、ジジイやるじゃん。蝶ごと斬り刻むつもりだったのにな。どうにか防ぎやがったか。黒いローブはボロボロになったけど。


「我が名はゼイモス・タガタキ……天道魔道士を統べる者……天道魔道士の誇りに賭けて……天道宮は守ってみせる……」


別に聞いてないぞ?


「それにしては現れるのが遅くないか? もっと早く来いよ。」


「もう……我しか残っておらんからな……」


火蝶幻舞(ひちょうげんぶ)


蝶がぐるぐると回り始めた。北の空の星のように。まさかその程度で私の目を回そうとでも言うのか?


「お前だけ? 他の奴らはどうした?」


『水鞭』


目は回らないけど目障りだからジジイごとぶっ叩いた。が……また避けやがった。意外に鋭い動きを見せるもんだな。


「全員出ていきおったわ……天王陛下からクビを言い渡されたとか……ローランドで一旗上げるなどと世迷言を申しながらな……」


火蝶惑鳴(ひちょうわくめい)


ぷふっ! 私の口車が大成功してるじゃん。それなりに厄介そうな敵の魔法使いを口先ひとつでほぼ無力化したってことだよな。アレクの演技のおかげでもあるよな。上級貴族オーラってのは演技じゃ出せないもんな。


それにしてもさっきから何やってんだ? 蝶が全然襲ってこないぞ。それなりに高い火力を持ってそうなのに。今なんかピーピー鳴いてるだけ。蝶って鳴けるの?


「お前もローランドに行けばいいじゃん。出世できるぞ。窓際で冷や飯食いなんかしてないでさ?」


「窓際……? 我ら天道魔道士に詰所など必要ない……任務さえあればよい……」


「その任務がないんだろ? 天王に無視されてるらしいな。なぜだ?」


「侵入者には関係のないことよ……知りたくば我に勝ってみせよ……」


火蝶臭眩(ひちょうしゅうげん)


だからさっきから何やってんだよ。全然効いてねーよ。


『榴弾』


終わりだ。ただでさえボロボロになってたローブが完全に終わった。そして奴の肉体は……


「勝ったと思うたか……この程度の傷で……」


火蝶豪焔弾(ひちょうごうえんだん)


このジジイ……血まみれのくせに……


『水球』


全ての蝶が猛然と突っ込んできやがった。大したスピードではないが、自動防御だけで防ぐには割りが悪そうなので迎撃だ。

そして迎撃にまぎれて……


『徹甲弾』


こっちはお前の姿が見てなくても当てられるんだよ。おまけだ。


『風斬』


それも乱れ撃ちだ……


『烈風』


さぁてどうなった? 夜の上空で戦ってるもんだから見にくくていけないよな。こいつの蝶がいなくなったらまた暗くなったし。


まーだ生きてるのかよ……しぶといなぁ。

つーかこのジジイ……祝福持ちか! あれは見覚えがあるぞ……確か賢者のジジイも持ってたやつ。名前は確か……流浪の賢者サイゾリヤ・ヒィロシマとか言ったか? よく覚えてたな私。あいつって手足をぶち斬っても生えてきたよな。デメテーラの祝福だったか。

あの時は魔法対戦だったから円の外に出せば終わりだったが……


もしこのジジイが同じ祝福を持っているなら……結構しぶといだろうな。


「どうした……もう終わりか……ならばこちらからゆくぞ……」


火蝶紅蓮乱(ひちょうぐれんらん)


赤い蝶の色がやや黒さを増した……だが、数は一匹、一羽? だけだ。どこが『乱』だよ。


『水球』


むっ、速い! 蝶のくせに……私の水球を避けやがっただと? なら無視だ。


『落雷』


夜空を切り裂く雷がジジイを直撃……しないか。


「避雷ぐらい使っておるに決まってるおろう……」


だよね。でも蝶はかき消したぞ。いくら速くても雷速には勝てまい。


「お前、祝福持ちだな? デメテーラか。」


「その通りだ……老衰以外で我を死なせることは不可能だ……」


「そうでもないぞ?」


『業火球』


灰になれよ。


「くっ……ぐぐっ……」


お前の蝶もそこそこ熱そうだったけどな。私の『火』とは温度が桁違いなんだよ。右半身を灰にしてやった。いや、灰も残ってないけどさ。


「分かったな? 俺がその気になったら一瞬で灰にすることぐらい容易いぞ。」


「そうだな……いかに我でも……一瞬で全身を灰にされては復元できぬかも知れぬな……」


「そう思うぞ。もちろん他の手段もあるけどな。今日のところは見逃してやるから話を聞かせろよ。」


『火線』


おっと、ドラゴンの収束ブレスの劣化版か。効かないけど。


「その魔法、なかなか威力あるな。こうか……」


『熱線』


火の魔法と風の魔法を応用してみた。こっちの方が効くだろ。人体ぐらいならあっさり貫通するな。


「なっ……こんなに容易く……」


「どうする? まだやるか?」


同じ魔法を高い威力で使われるとガックリくる。これは魔法使いあるあるなんだよな。

魔力の無駄遣いが酷いから多用する気はないが。


「そうか……貴殿には勝てぬか……」


「おっと、自爆とかすんなよ。さっきので分かったと思うが無駄だぞ? お前の魔法は何一つ効いてないからな。」


「もう……我らの時代ではないのか……」


知らねーよ……

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― 新着の感想 ―
[一言] お爺ちゃん無理すんな・・・
[一言] じいちゃんロマンに生きてるのかな。
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