表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1771/3108

669、嵐の前の

「ガウガウ」


おおカムイ。こんな夜中に起きたのか。体調はどうだ?


「ガウガウ」


よくないって? お前も無理しすぎなんだよ。聞いたぞ。ムラサキメタリックの槍にぶっ刺されたんだろ? よく生きてたよな。お互い様か。ほれ、入るんだろ?


「ガウガウ」


ぶはっ、飛び込むんじゃないよ。おっとっと。そう慌てるな。お互い無事でよかったよな。ほれほれ、洗ってやるよ。もみもみわしゃわしゃ。


「ガウガウ」


ふふ、カムイの甘えん坊さんめ。たまにはかわいいところもあるもんだ。ほーれわしゃわしゃー。


ふふふ、楽しいなぁ。これで星空でも見えたらいいんだが。無理か。真っ暗な厳寒の森で露天風呂……風流だね。


「ガウガウ」


え? 見張りするから私は寝ろ?

それはありがたいがカムイお前、大丈夫なのか?


「ガウガウ」


気分が悪くて眠くない? うーん、カムイがそう言うんなら甘えるけどさ。大丈夫か? 無理すんなよ?


「ガウガウ」


見張りぐらいは楽勝? そりゃそうだ。私よりよっぽど頼りになる。じゃあ頼んだぞ。この湯船は朝まで暖かいけど中で寝るなよ?


それなら私はアレクの隣で寝るとしようかな。疲れてはいないけど明日のことを考えると眠っておくことは大事だからな。






……うーん朝か……いい匂いがする。


「あっ、カースおはよ! 具合はどう?」


「おはよ。すっかり元気さ。いい匂いさせてるじゃん。」


鍋やフライパンはアレクのだが、アーニャったら自分で釜戸を作って料理してるよ。すごいな。


「もうすぐできるからね。いっぱい食べてね!」


「楽しみだよ。少し外に出てくる。」


「いってらっしゃい。」


アレクもコーちゃんも。クロミもドロガーもよく寝てるんだよな。誰か起きてくれないと私は動けないんだよな。


さて、カムイはどうしてるかな。




「ガウガウ」


おお。おはよ。一晩中何やってたんだ? えらく汚れてないか?


『浄化』


「ガウガウ」


眠れないから見張りがてら歩き回ってたって? 体調が悪い時は休んどけよな。まあ何事もなかったんならそれでいいけど。


「ガウガウ」


あの湯船に浸かりたい? 私もだよ。やっぱ湯船はマギトレントに限るよなぁ……何というかお湯が違うよな。何時間入っても湯あたりしないし、魔力は回復するし。また作ってもらわないとなぁ。しばらく待ってくれよ。この件が片付いて、クタナツに帰ってからな。

さあカムイ。朝飯だぞ。戻ろうぜ。見張りありがとな。


「ガウガウ」




私とアーニャとカムイだけで朝食を済ませた。他には誰も起きてこない。みんな相当疲れてるんだろうなぁ。それにいくらクロミの水魔法の中は快適だからって時にはちゃんとした宿で休むのも大事だよな。どうしよ……




不動を使った型稽古をしたり座禅を組んで錬魔循環をしたりしてるうちに昼になった。

意外にも赤兜は攻めてこない。いくら何でもおかしい。さすがに来てもいい頃だと思うが。


昼食後、最初に目覚めたのは両腕のない方の天道魔道士だった。


「よう。やっと起きたか。で、どうする? まだ死にたいか?」


「リナガはどうしている……」


「リナガ? 誰だよ。」


「もう一人、男の天道魔道士がいたであろう……」


「ああ、そいつなら天都に戻ったぞ。仲間を連れてくるそうだ。」


「なっ!? き、貴殿はそれを見逃したと言うのか!?」


あ、こいつ勘違いしてる。でも面白いから乗っておこう。


「ああ。天道魔道士の本当の実力を見せてやるって言ってたな。お前は確か四傑とか言ってたな。もっと強い奴だっているんだろう?」


「いるとも。いるが、我らより上位の……若き天才と讃え称されたゼラニスも貴殿には歯が立たなかったのだろう?」


「あのチビ女か? 確かに相手にならなかったが。」


「そうか……大国の魔法使い……中でも魔王とまで呼ばれるほどの貴殿は……そこまですごい魔法使いだったのだな。ならばもう悔いはない。両腕も仲間も失った。この期に及んでどうして儂だけが生き残ることができようか……」


「そんなに死にたいんなら構わんけどさ。せめて仲間が戻るのを待ったらどうだ? いいことがあるかも知れんぞ?」


こいつにしてもチビ女にしてもどんだけ死にたがりなんだよ。せっかく助けてやるって言ってるのにさ。無駄なプライドばっかり。


「だ、だが……」


「だいたい腕なんてまだ余裕で治せるぞ。ちゃんと預かってるからな。」


別に殺してもいいんだけどさ。こいつらってどうも使えそうな気がするんだよね。赤兜が嫌いみたいだし。使える奴なら使わなければ損だ。王都の動乱の時はついつい黒幕エルフを殺してしまったけど。今度は同じ失敗はするまい。


「わ、分かった……ならば仲間が来るまでは虜囚の立場に甘んじようではないか……」


いちいち大袈裟な言い回しするよなぁ。だけど、ぶち切れた両腕が痛いだろうに、よくもまあ冷静だよな。ああ、適当に魔法でも使えばいいか。無痛狂心とかさ。他にも痛みを抑える魔法なんてのもありそうだしね。


さて、先に来るのは赤兜か天道魔道士か。それともエチゴヤの残党か。今の私は魔力満タンだからな。赤兜の大軍だって相手にしてやるぞ? どこからでもかかってこいってんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 戦力になる者は仲間にした方がいいですよね。
[良い点] カムイがずっとガウガウ言ってるのが可愛い(*^^*) それにしても、腕がないの痛そう。 早く治してあげてー。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ