表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1753/3108

651、絶対絶命

ぐああっ!?

な、何だよ!?

いったい何が!?

わ、私の脚が……

ざっくりと!?


『徹甲弾』


「ぐおっ!?」


とっさに徹甲弾を撃ったけど……誰だよこいつ……深紫か? ぶっ飛びやがれ……


くっそがぁっ! めちゃくちゃ痛ぇ……

これはムラサキメタリックの刀かよ……私のドラゴントラウザーズをここまで切り裂くとは……

やばい……もうポーションがないってのに……


それよりもっと痛いのが首だ……


なぜ……?

首なんていつ怪我したんだよ……


「ぐっ……やりおるな……まだそれほどの魔法が使えるとは……だが! 私を弾き飛ばしたのは褒めてやるが、何のダメージにもなっておらぬわ! ムラサキメタリックは無敵だ! ローランド者ごときに打ち破れるものか!」


こいつ……この声……


「お前か……お前が大番頭か!」


「ほう、いかにも。私がエチゴヤの大番頭カンダツ・ユザだ。もちろん本物のな。お前には私の影を殺されてしまったが、所詮はその程度よ。私の前に立つことすらできまい?」


「う……うるせ……」


くそ……体が重い……足が動かない……魔力だって……もう一厘もない……

こんな時……怒りか何かで謎のパワーが目覚めるのがあるあるなのに……そんな都合のいいこと起こるかよ……


あ、これしか……


「貰っておくぜ……」


「ふん、お前ごときに扱える物ではない」


ぐううっ……大腿部に食い込んだ刀を……無理矢理外す……くっそ……痛い……痛すぎる……


「のんびり待ってくれるとはな……余裕かましてくれるじゃねぇか……」


「当然だろう。こっちはお前が倒れるのを待つだけでいいのだからな。その出血では三分と持たぬわ。治療してやるからさっさと諦めるんだな」


それで目が覚めたら地獄の奴隷生活ってか? ふざけんなよ……


「殺してやるよ……」


もう情報がどうとか言ってる場合じゃないからな……


「ふっ。無駄なことを。その足で短筒(こいつ)に勝てるとでも?」


ちっ……こいつも短筒を持ってやがるのか……


「ローランドの騎士がよく使う技を見せてやるよ……飛斬(ひざん)をな……」


刀を上段に構えて……


「ほう? ひざんだと? くくく、おおかた飛ぶ斬撃なのだろう? 無駄だ無駄無駄。ムラサキメタリックの刀でそれは不可能だ。それよりも……よほど腹を撃って欲しいと見える、なぁ!」


振り下ろす! いぎっ、ぐふっ!? また腹の穴に!?

ええい! 構うかおらぁ!


今だ!

『換装』で不動を手元に!

体を『身体強化』で無理にでも動かして!

くらえ『螺旋貫通峰』


「ぬうっ!? ちいっ!」


避けられた……間合いが遠すぎた……

腹に弾をくらってまで……刀をぶん投げてまで作った隙が……

短筒を叩き落とすので精一杯か……だが、まだだ!


「その手ぇ!」


拾わせるかよ!


「むっ!?」


くそ、また避けられた……歳の割にいい動きをしてやがる……ムラサキメタリックのフルプレートでよくもまあ……


「この短筒ってやつは……脆いなぁ?」


不動で叩き壊してやった。本当は奴の手ごと壊したかったが……


「ふん、このような他国の武器などに頼る私ではない。それよりせっかく隙を見せてやったのに活かせんとは。所詮ローランド者などその程度か」


ちっ……お喋りしながらもきっちり間合いを開けやがる……

もう時間がない。血も魔力も……残りが……


『身体強化』ただし魔力特盛だ……

そして背中に……『風球』


「なぁっ!?」


技でも何でもない……

ただ最速で間合いを詰めて……奴の胸に不動を突き立てただけ……


私の……勝ちだ……あと一つ、たった一つだけ、下級魔法でいい……撃てば……

奴は死ぬ……


「ふ、惜しかったな……私の鎧を貫いたことは褒めてやるがな」


なっ!? まさか……そんな……貫通の直前に……鎧を脱ぎ捨てた……だと? どうやって? バカな……


「おっと、いかんいかん。そのままでは死んでしまうぞ? さあもう眠れ。お前はよく戦った。くくく」


『昏睡』


そんな魔法が……効く……かぁ! まだだ……まだ……


『風斬』


「どこまでもしぶといな。だが、効かん。ろくに魔力も込もっておらんではないか」


うるせぇ……

母上は……母上はほとんど魔力を込めてないのに……

岩盤を……ぶった切ってんだよ……

だったら私だって……


「左足だけでは足らんか。ならば右足も貰ってやろう」


槍、いや薙刀か……ムラサキメタリックではないが……


「はあっ! ふんっ! ご大層な服を着てるようだがな! 結局は強い者が勝つのだ! ほおぁ!」


間合いをキープしながらも……私の右膝を執拗に……やばい……折れる……


最後だ……全ての魔力を……かき集めて……

廻す……全身を廻して……せめて指先から……


ん?


指先!?


ああっ!


こ、これか!


こんな単純なことか!?


嘘だろ!?


『風斬』


「ふっ、効かんと言っ……いっ……いひゅ……ひゅ……」


今度こそ……首ごともらった……

ムラサキメタリックの鎧を脱いだのが大番頭の敗因だ……


それにしても私としたことが……こんな簡単なことを見落としていたとは……

普段からごり押しでばかり魔法を使ってたもんなぁ……自動防御も解かずに構えることもせずに。


極薄の魔法……

指先、いや爪の先から絞り出すように放てば……


あ、もうだめ……血も……魔力もない……

このまま倒れたら……一時間と経たずに死ぬ……


だが……


アレク……アレクを探さないと……

うっすらと覚えている……

なぜか私は『高波』を使ったんだ……


でも足が……手も……

動かない……


アレク……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] まさに死に際に悟りが・・・こーちゃーん!! 助けてぇ~!
[一言] いやきっとまだ終わらない。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ