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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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639、火事場と鍛冶場

空間を隔てた場所からでも見ることができるような魔法を私は知らない。仮にあるとしても、そのような高等な魔法をエチゴヤごときが使えるとも思えない。となると……肉眼でどこかから覗いていたと考えるのが自然だ。声は拡声の魔道具のような物を使えば届けることはできるにしても。

どちらにせよ大番頭はきっと近くにいるはずだ。先ほど私が殺した偽物、あいつはたぶん顔だけは似ているんだろう。だから影武者として動いているのではないか?

ならば、先ほど見たあの顔は本物の大番頭と似てると考えて探せばいい。


『燎原の火』


さあ、燃えろ。全て燃えてしまえ。大番頭どころかここにいるエチゴヤ全員燃えてしまえ。


『魔力探査』


どこだ……どこにいる……

全身をムラサキメタリックで覆っていたら、魔力探査は全く効かなくなる。だが、それでも今はこれに賭けるしかない。どこだ……


くそ……落ち着いて考えればコーちゃんにはお使いではなく、大番頭を探してと頼むべきだった。そして早々に噛んでもらえば終わっていたものを……くそっ! 頭がちっとも働いてない……いつも通りか?


『水球』


真上に放ち、天井をぶち壊す。空気の通りがよくなったのか火の勢いが増した。


『大番頭! 出てこいや! 逃げてんじゃねぇぞ! この臆病者が!』


こんなことに魔力を使うのはどうかとも思うが……怒りを放出するのも精神の均衡には大事なのだ。挑発も兼ねてるしな。


『浮身』


天井に空けた穴から上へ。


「いたぞ! こっちだ!」

「やれ! 殺せぇ!」

「こっちだ! 来い!」


青紫烈隊(バイオレッタ)か。いくら消耗していようが……お前らごとき敵じゃないんだよ!


『徹甲連弾』


全員ぶっ飛びやがれ! トドメを刺すことはできないにしても……しばらく寝てろ!


『燎原の火』


焼け死ぬことはないにしても、寝たまま酸欠で死にやがれ。


はぁ……はふぅ。こいつらが起き上がらないうちに……大番頭を……


くっ……だんだん歩くのもキツくなってきやがった……背中も痛いし頭もふらつく……

私はなぜこんなことやってんだよ……

何の得もないってのに……もう帰ろうか……いいよな? そんなの私の勝手だし……もうエチゴヤなんてどうでもいい……

出口はどこだろう……


「ここだぁ! 逃すんじゃねぇぞ!」

「ぶち殺せぇ!」

「エチゴヤ舐めんじゃねぇ!」


チンピラか。ここには色んな奴がいるんだな。


『散弾』


死ね。放っておけば帰ったものを……


こいつらあっちから来たな……あっちには何かあるのか? 妙な予感がするな……寄ってみるか。




なんだここは? 近付くほどにどんどんうるさくなる……

何かを叩くような……心なしか温度も上がっているような……


この部屋か。鍵はかかってないな。入ってみるか。こんなことしてる場合じゃないのに……


うわっ……なんだここ……めちゃくちゃ暑い……今の私は自動防御を張ってないからな……顔から上がかなり暑い……


「なんだぁてめぇ!? 新入りかぁ!?」


『氷弾』


よく分からないが殺した。なんだか現場監督っぽかったし。


ん? よく見ればここ……鍛冶場か!? 中心には溶鉱炉らしきものまで……そりゃあ暑いわ。

あ! もしかして!? ムラサキメタリックってここで作ってんの!?

てっきり天王直轄の事業だと思ってたが……まさかエチゴヤ主導?


職人らしき男達は一心不乱に金槌を振っている。一人殺されても見向きもしないの? あ、もしかして……


『解呪』


とりあえず周辺の奴だけ解呪してみたが……何人か効いてない奴がいるな。契約魔法をかけられてないのか……?


「あ……う……」

「うっ……」

「や、やっと……」


「ここは何を作ってるんだ?」


だいたい分かるけど確認は大事だからな。


「あ、ああ……ムラサキメタリックを……」


やっぱりか。


「お前らって無理矢理働かされてるんだろ? もう逃げていいぞ。つーか早く逃げないと火が回るからな。」


ここまでは結構距離があるからしばらく大丈夫とは思うが。


「い、いや、でも……」

「見張りが……」

「ワシらだって……」


「その辺は好きにしな。俺はもう行く。大番頭を殺さないといけないからな。」


悪いがこいつらの警護をしてまで逃してやる気はない。本当ならここをぶち壊してやりたいし、あれこれゲットしたいんだけどね。そんな余裕はない。


「何してやがる! さっさと働け!」

「サボってんと殺すぞオラぁ!」

「なんだてめぇ!? 新入りぁこっちだぁ!」


ちっ、他にも居やがったか。


『氷弾』


気付いたことがある。誰も私を見て侵入者とか敵とか思わないんだな。つまり、ここにそんな存在が来ることはあり得ないと思ってる? 身内か連行された職人ぐらいしかいないってことか? ここは一体……


「ところでここはどこなんだ?」


「ワシらも知らん……」

「どうにか外に出てから……」

「他の者も……」


あー……解呪ぐらいしてやるか……




はぁ……解呪はそこまで魔力を食うわけでもないが、さすがに気疲れするよなぁ。全員に効いたわけでもないし。どうも重要ポジションにいる職人に限って解呪が効いてない。契約魔法をかけられてないのか、それともクロミの言うところの『魔力の流れがキモい』状態なのか。会話の成り立たなさから考えると後者だろうが……分からん……

だが、私にできるのはここまでだ。


ちっ、魔力は食わなくても時間はくってしまったか。大番頭の野郎……もう逃げてしまったか? しかし、こんな施設があることを考えると意外とここって重要度高いんじゃない?


「うわぁ! きっ、来たぁ!」

「逃げろ!」

「どこにだよ!」


ちっ、とうとう現れやがったか……

深紫(ディパープル)……

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― 新着の感想 ―
[一言] どんどんピンチに・・・増援はまだかー!
[一言] 乗りかかった船とはいえ、大変な思いを。
[良い点] えー、ここで紫メタリックを作ってたんですね。 ということは国と893がズブズブってことですか。 早く救援が来て欲し~~! こういう時はクロミが頼りになりそうな気がします。
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