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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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633、狂乱麗奴の闇

さっきまで偉そうに指示を出していたあの野郎は狭い部屋で笑い狂っていたのでトドメを刺しておいた。こうなったらコーちゃんでも戻せないそうだし。コーちゃんは怖い一面もあるよなぁ。

カプッと噛んで正気に戻してくれることもあれば、軽いひと噛みで気を狂わせることもあるんだからさ。怖っ。


「おっ、こっちは片付いたんか。テンポを見つけたんだけどよぉ。ちっと来てくれや。」


ドロガーもきっちり仕事してたか。ならば行こうか。本当はムラサキメタリックを収納したいところだがキツいな……無念だが諦めて放置かな。あーでも少しぐらい欲しいぞ……よし、後で落ち着いてゆっくりやろう。いや、でも急がないと増援が来るか?


「こっちだ!」


それにしてもここも部屋が多いな。やたら広いし。色々とタチの悪い拷問具とかあるんだろうなぁ。あぁやだやだ。

この部屋か。ドロガーもよく見つけたな。


うげっ、臭ぇ……

血、だけじゃないな……うえぇ……


「待たせたな。魔王を連れてきたぜ。」


「う、うう……」


手枷足枷を付けられて吊られてやがる……一体何時間このままなんだ……切り傷に火傷、打撲。傷だらけじゃないか。足の筋も切られてる……だが欠損はなしか。もしかして近いうちに解体見世物の目玉にするためだったとか? 間に合ってよかったな。


「俺じゃあどうにもならなくてよ。外してやってくれや。」


「おう。」


『火球』

『金操』

『浮身』


上から吊っているのは縄ではなく鎖か。どこで上下を操作してるのか分からないから焼き切った。材質は鉄か。

次は手枷。分厚くごついな。これどうやって外すんだ? 鍵穴もないし。まあいいや。


『金操』


無理矢理ぶち壊せばいい。さすがに手に密着してるから焼き切るわけにはいかなかったが。足枷も同じだ。


「ポーションはまだ飲むなよ。先に足の筋を治癒魔法使いに診せないとまずいからな。」


「おお……くっそエチゴヤめ! 酷ぇことしやがるぜ……」


手足も指も揃ってるだけマシだよな。耳も鼻も目もちゃんとあるし。


「おう魔王! ここぁもういいだろ! 俺ぁこいつを連れてくぜぇ!」


「慌てるな。俺も行く。飛んだ方が早いだろ?」


「お、おお。悪いな。」


ドロガーってこんなに仲間想いだったのか。私だってこんな無惨な姿を見て放置するほど鬼じゃない。行くに決まってる。

テンポをテーブルに寝かせる。こいつは歩けないからな。


『浮身』


「うぐ……すまん……」


「バカやろぉ。気にすんなって。お前が吐いた情報程度で俺らぁびくともしねぇんだよ。」


カムイが拐われてアレクたちは売られそうになったけどね……まあこいつのせいじゃないけどさ。


「さあ外に出るぞ。」


結局収穫なしか。悪趣味な見世物をするだけの店だし、まあこんなもんか。


「ピュイピュイ」


地下通路はなかったんだね。なるほど。生き残りとかいた?


「ピュイピュイ」


あー、閉じ込められてる人間がいるのね。後回しだな。悪いがテンポを連れていってからに……いや、もしかしたらローランド人もいるかも知れない。

先に確認だけでもしておくか。


「悪いなテンポ。少し待ってろ。他の生き残りを探してくるからよ。」


「あ、あ……」


「ドロガーも頼むわ。急げよ?」


「おう。しゃあねぇな。」


コーちゃんも案内を頼むね。


「ピュイピュイ」


よし。急ごう。




捜索の結果……相当に胸クソ悪いものを見てしまった……

確かに生きてる者は何人もいた。いたが……

両手のない者、両足のない者、両眼を抉り出され鼻を切りとられている者……

両手両足を切られ裸で放置されている女、両手両足どころか目や耳そして局部を切り落とされた少年……少年だよな?

話せる者によると、全員が見世物としてギリギリ生かされてると……ステージで死んだら死んだで構わないと思われてる程度の扱い……

それでも狂った金持ちはこういった者を見世物として見物するだけでなく、ショーの後で個室遊戯でも楽しむらしい……腐れ外道め……


そして……いた。ローランドの者が三人ほど。


「言え……望みを……」


「元通りにできるってのかい? バカ言うなよ?」


できるわけがない……私どころか母上でも無理だ……

いや、方法はある。あるが……


「はん! えっらそうに! あたしらを助けに来て英雄気取りかい! もう遅いんだよ! あたしらぁもう!」


四肢はなくとも誇りは失ってない声だ……

元に戻す方法はある……あるが……無理だ……

これだけもの人数を……戻すためには……一体何回シューホー大魔洞を踏破すればいいんだ? できるはずがない……


「すまん……」


「謝んじゃないよ! これ以上あたしらを惨めにさせんじゃないよ!」


他に何を言えってんだよ……


「ピュイピュイ」


なっ!? こ、コーちゃん……マジかよ……

殺してやれって……


「死にたいか?」


「は? 死にたいに決まってるし? じゃあ何? 殺してくれるの? 英雄気取りのあんたみたいな甘ちゃんが? 殺せるの? じゃあやってよ! 殺してよ! 早く!」


四肢のない女。だがそれでも正気を保っている女。どこまで気丈なんだよ……

私にできることは……


「名前と故郷を言え。立ち寄ることがあったら伝えてやるよ……」


「いらないよ……遠い異国で……娘がこんな目に遭ったなんて……知らない方がいいだろ……」


こいつがそう言うならそれでいいか……


「分かった。エチゴヤは必ず潰す。先に行って待ってろ。」


「ふん……甘ちゃんのくせに……」


『快眠』


眠れ。深く。


他の者も見渡してみる。私を見つめる目、目はなくともこちらに顔を向ける者。

死にたくても自分では死ねないのか……理由はおそらく……契約魔法……


『快眠』


眠れ。そして……


『風斬』


来世では幸せになれよ……


『火柱』


「ナマス・アミターバ……」


手を合わせて一言だけ祈る。

エチゴヤぁ……絶対ぶっ潰してやるからなぁ……




コーちゃん、もう生きてる者はいないかな?


「ピュイピュイ」


よし。では今度こそテンポを連れてってやろう。

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― 新着の感想 ―
[一言] エチゴヤはつぶさんとなぁ・・・
[一言] 人を人だと思わない奴は人として扱う必要はないですな。
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