632、深紫の小隊
やっぱこれだな。
『身体強化』
『螺旋貫通峰』
からの……
『火球』
鎧を貫通した不動を通じて体内に直接魔法を放つ。鎧は無傷でも即死だな。
体力的にはきついが少ない魔力であいつらを相手にするにはこれがベストだ。おっと、あたるかよ。そんなフルプレート着てるからノロいんだよ。そうそう囲ませるもんかよ。
ほぉら『氷壁』足元には注意しろよ?
それにしてもこいつら……同士討ちを全然気にせず攻めてきやがる……
無敵の鎧を装備してるもんな。囲まれたらアウト……だが『徹甲弾』
ダメージはなくとも、とりあえずぶっ飛べ。私を囲めるなんて思うなよ?
「何をやっている! さっさと殺せ! 二十億ナラーが欲しくないのか!」
言うだけの奴は気楽でいいだろうな。さっきまでの余裕こいてた口ぶりはどうしたのやら。
無敵の鎧を容易く貫く武器を持つ私を相手にしてるんだ。深紫にとっても恐怖だろうよ。おまけに囲もうとしても下手に動けば『徹甲弾』だからな。
ほれ、ぶっ飛べよ。そしてぶっ飛んで壁に叩きつけられた瞬間ってのは隙だらけなんだよな。
『螺旋貫通峰』
『火球』
また一人減ったな。
おっと『火球』
危ない危ない。数人がロープを持ち出してきやがった。あれって地味に厄介なんだよな。ドロガーを見てればよく分かる。だからさっさと燃やしてやった。
『徹甲弾』
『徹甲弾』
『徹甲弾』
ちっ、どいつもこいつも後先考えず突っ込んできやがる……
『徹甲弾』
『徹甲弾』
『徹甲弾』
ぶっ飛ばした奴も時間を置くと回復しやがるし……
『徹甲弾』
『徹甲弾』
『徹甲弾』
けっ、知恵をつけやがって……
うおっと、ムラサキメタリックのナイフが飛んできた。これには自動防御が効かないんだよな。不動で弾くか避けるしかない。
『徹甲弾』
『徹甲弾』
『徹甲弾』
よし。だいぶ回復までの時間がかかるようになったな。
『螺旋貫通峰』
魔法だけじゃないぞ? 魔法が来ると構えてたんだろうがな。
『火球』
また一人仕留めた。そろそろ十人を切ったかな? それにしても……こいつらしぶといよなぁ。やっぱ無敵の鎧ってのもあながち嘘じゃないよなぁ。私の不動が反則なだけで。
「何をしている! 遊んでんじゃないぞ!」
それにしてもこの声の奴ってそんなに偉いのか? 深紫どもはエチゴヤ内ではそれなりのポジションだと思うが、それ以上なのか?
『徹甲連弾』
声のする方に撃ち込んでみた。
「ふん! 効かんぞ! 今だ! 囲め!」
ちっ、一手無駄なことをしてしまったか。
『徹甲連弾』
ふぅ。危なかった。もう少しで囲まれるとこだった……
「お前たちも行け! 数で押すんだ!」
新手か? どこから来る?
そっちか!
『火球』
姿を見せるまで待つつもりなどない。出てくるんじゃねえよ。おっと『徹甲弾』だから近寄らせないっての。
「うぐっ、なんだこの蛇! お前たちぃ! さっさと片付けろって言ってんだろおろおろおろっへへっへへっ! ほらほらほらぁ! 片付けってててててへへはへほほほほげひゃひゃひゃあろらああろあーーーー!」
あ、壊れた。コーちゃんの仕業だな。私が苦戦してると見て助けてくれたのかな?
『螺旋貫通峰』
ほぉら隙だらけ。
『火球』
「さあどうする? また一人死んだな? 深紫と言っても大したことないな。降伏するなら命は助けるが?」
おっ、少しだけ動きが鈍ったか? 本当に少しだけど……
「舐めんなぁ!」
「俺ら深紫は退かん!」
「殺せるもんなら殺してみい!」
あいつが喋らなくなったら今度はこいつらが喋りだした。やっぱあいつは上役なのか。壊したのは惜しかったか?
「じゃあ死ね。別にお前らじゃなくても口はあるからな。」
『徹甲弾』
『徹甲弾』
『徹甲弾』
『螺旋貫通峰』
『火球』
多勢に無勢。なのにさっきから状況に変わりはない。完全にハマってるんだよな。この部屋がそれなりに広いことも私に有利だったりする。こいつらも気付いてるだろうに今さら退けないってか。
そして残り二人。
「まだやるか?」
「当たり前だ」
「深紫に撤退はない」
えらい闇ギルドらしくないこと言うなぁ。
『徹甲弾』
『徹甲弾』
この弾速じゃあ来ると分かっていてもそうそう避けられるものではない。盾で防げるだけでも上出来だ。その場で踏ん張れるかどうかは別だけどね。
『螺旋貫通峰』
『火球』
こいつで最後。終わりだ。
『身体強化解除』
はぁーー……めっっっちゃ疲れた……
痛っ……体中が痛いぞ……くっそお……
『無痛狂心』
ふぅ……
分かってはいたが……魔力を節約すると体力が削られる……身体強化を使うと筋肉痛が酷いし。
でもちょくちょく使ってるし、だんだん体が強くなってると思うんだけどなぁ。はー、ほんとに疲れた。
さて、コーちゃんがここに来たってことは地下通路はなかった。もしくはすでに見つけて誰も通れない状態になってるってことだな。一応チェックしておこうかな。




