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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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612、天都イカルガのギルド

主婦はドロガーを見て驚いた顔を見せる。やっぱ知ってるのね。


「ま、まさか本物の……傷裂(きずさき)……」


「おう。俺が傷裂ドロガーだぜ? で、魔王。俺に何の用だ? せっかくクロミと遊びに行くところだったのによぉ。」


「悪いな。ちょっとこの女を痛めつけて欲しくてな。」


「はぁ? そんぐれぇ自分でやれよ……どうしたってんだ?」


ちょっと長くなるけど説明するか……




「それっておめぇ……要は面倒になったってことかぁ?」


「そうとも言う。だからサクッと頼むわ。」


「おい、姉さんよ。分かってんのか? こいつはマジにローランドの魔王だぜ? こいつがその気んなりゃあ俺もキサダーニも相手になんねぇんだぞ? 悪いこたぁ言わねぇからさっさと吐いちまえ。そんでハンダビラなんざとは手ぇ切れ。そして真っ当な生き方した方がいいぜ?」


おお、なんてまともな意見を。ドロガーやるなぁ。


「ドロガーの言う通りだ。契約魔法だって解いたしな。この際だからきっちり話せば毒の件は忘れてやるよ。今すぐ決めろ。話すか、ドロガーの激痛をくらうかをな。」


「は、話す! 話すから!」


「じゃあ正直に話すと約束してもらおうか。」


「わ、分かったうっんぬっあぁ……」


よし、かかった! いやー大変だったなぁもう。ドロガーを呼んで無駄ではなかったようだな。


「さて、お前はハンダビラのボスと連絡がとれるのか? もしくは会えるか?」


「無理……何年かに一度、ぽつんと毒が届けられるぐらい」


あー、毒にも消費期限ってあるのか? そりゃあるんだろうな。


「ボス、えーっと、ナバーラって言ったか。お前とはどんな付き合いだ?」


「私が冒険者をやってた頃、何度か世話になった。そのうち意気投合した頃に引退する話をしたら、この家を紹介された」


つまりほとんど付き合いなんかないってことだな? なのにこいつがナバーラに寄せる信頼は何なんだ?


「ナバーラは信頼できる相手なのか? エチゴヤと繋がっているのに?」


「つっ……つながってなんか! 何かの間違いに決まってる! あいつは一度も約束を破ったことがないんだから!」


約束を守るのは当たり前だろ。そんな当たり前のことができない奴のなんと多いことか。


「なぜ、ハンダビラはここを訪ねた者を殺そうとしている? 俺で何人目だ?」


「理由なんか知らないよ。あんたが初めてに決まってるよ」


あのジジイが話さなければここは分からない。つまり、ここに誰か来たならあのジジイが口を割ったと分かる。だが、そこまでしてジジイを警戒して意味があるのか? いつもながら闇ギルドの奴らの行動は意味不明だな。


いや、ここを知ってるのはジジイだけとは限らない。ジジイが地図に描いたのは三ヶ所。他の者も一部だけダブった場所を知ってるとすると……漏れた箇所によって誰が吐いたか判明するシステムになってるとか? だが何のために? 裏切り者を粛正するため? そんなもん契約魔法をガチガチにかければ済むことだ。さっぱり分からん。


「おめぇのダンナぁ何やってんだぁ? 冒険者かぁ?」


「違うよ。ギルドの職員だよ」


おっ! ドロガー、ナイス質問!


「旦那とナバーラ、付き合いが深いのはどっちだ?」


「そ、そりゃあ旦那に決まってる」


決まってるって言われても知らないっての。

だが、少し見えてきた気がするぞ。


「ナバーラと手紙でやり取りはしないのか?」


「するけど……毒が置かれた日の翌夕に同じ場所に手紙を置いとくと、いつの間にかなくなってる」


やり取りじゃなくて送るだけか。


「内容は?」


「他愛のないこと……子供がどうしたとか、旦那がどんな仕事してるとか。もちろんギルドの規定で言えないようなことは書いてない」


子供いんのかよ。あぁ、今の時間は学校か。


「旦那の名前とギルドでの立場は?」


「グルド・ロタカ。解体場の責任者」


ほーう。そこそこ大物じゃん。ストーリーが見えてきたな。


「邪魔したな。今日あったことは旦那にきっちり話した方がいいと思うぞ。一家で死にたくなけりゃあな。」


こいつはもうハンダビラにとって用無しになったからな。いつ殺されてもおかしくない。だいたい家をくれるからって殺人なんか請け負うか? しかも相手は闇ギルドだし。普通は利用されてポイだろ。無駄に信頼してたみたいだし。そういやハンダビラってファベルの奴らからも信頼されてたっぽいな。それ系の個人魔法でもあるんだろうか。まさか全員に洗脳魔法をかけてるわけないしね。


「言えるわけないよ……」


それは私の知ったことではない。




「これで用は終わりか?」


「いいや、ギルドに行くぞ。せっかくだから一緒に行こうぜ。」


「まあギルドぐれぇならいいけどよぉ……」


他の二ヶ所も気になるが、ギルドが先と私の勘が告げている。当てにならない勘だけどね……




到着。今の時間は結構空いてるはずだ。

おっ、やっぱ空いてるな。


「グルド・ロタカに会いてぇ。呼んでくれや。」


こんな時はドロガーに任せるのが一番。無愛想な受付嬢は私だとろくに話しもしそうにないからな。


「どういったご用件でしょう」


「大物の解体に関する相談だ。現物は倉庫で見せる。」


「具体的に名をおっしゃってください。何という魔物の解体でしょうか?」


ドロガー相手でこれなら、私だとやっぱ話にならなかったんだろうな。


「名前は分からねぇ。ローランド王国の魔物だからよぉ。ただ、大物なのは間違いねぇ。この魔王はローランドで卸さず、わざわざこのイカルガで卸そうとしてくれてんだ。それともやめとくか? 大物の解体ができねぇってなると他のギルドから笑われちまうからよ?」


おー、ドロガーも挑発するねぇ。でも問題は私の魔力庫なんだよな。ノワールフォレストの森で結構仕留めたから数は充実してるが……解体が厄介そうな魔物は……


まあ普通にこれでいいか。


「それともここで出した方がいいか? お前の目で確かめてもいいんだぞ?」


私も大人気ないなぁ。でもこの姉ちゃん何かムカつくんだもん。


「いいでしょう。魔王様がそうおっしゃるのでれば。取り次ぎますので少々お待ちください」


あら。意外に素直じゃん。




「お待たせしました。こちらへどうぞ」


「場所ぁ分かってんだ。案内はいらねぇぜ。」


「ありがとよ。これ、とっといてくれ。」


「いえ、結構です。なお、その行為はギルド員の信用を疑う行為です。今後は厳に謹んでください」


「そうか。悪かったな。」


これまたびっくり。たった一万ナラーではあるが、受け取り拒否か。騎士よりよっぽど誇り高いじゃん。ポイントアップ。




「ここのギルドはみんなそうなんか?」


「そんなわけねぇだろ。キリカがおかしいだけだぜ? あいつ酒も飲まねえし男っ気もねぇし。仕事しかしてねぇんじゃねぇか? 何が楽しのやらよぉ?」


キリカ? あの受付嬢か?


「ふーん。まあ人それぞれだよな。」


おっ、倉庫はここか。

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[一言] 裏での繋がりが分かるでしょうか。
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