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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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592、突撃エチゴヤ

「あぁ? 儲かる話だぁこら? ふざけてっとぶち殺してやんぞぁ、おお?」


まずは話を聞けよな。


「天都イカルガには、いやイカルガ周辺にはローランド人奴隷がいるよな? たくさんな。」


「いるに決まってんだろ! あ、ローランド、そして魔王……なるほどなぁ。てめぇ! あんだけもの奴隷を全部助けるとでも言うんかこらぁ!」


「正解。全員助ける。正確には帰りたい奴を全員助ける。こっちで幸せに暮らしているなら俺が手を出すことじゃないしな。」


「それのどこが儲け話だぁおお? エチゴヤから天都の貴族から全員敵にまわすだけじゃねぇかよ!」


「お前らが集めたローランド人奴隷に限り、買値の倍額で買い取ってやる。どうよ。ボロい商売だろ?」


もっとも、あと数日もすれば呑気に買い物なんかしてる場合じゃなくなるだろうけどね。


「ふざけてんのか? どんだけ金がかかると思ってんだ? 一億や二億じゃねぇんだぞ?」


「俺が迷宮を踏破したことぐらい知ってんだろ? あそこじゃ金剛石なんかゴロゴロ出てきたぜ?」


ローランド王国だと小さい原石でも白金貨五枚ぐらいか。ナラーに換算すると五億。実際はそこに国力の差が入るから五十億ナラーぐらいいきそうだよな。さすがは眩いダイヤモンド。ヒイズル原産だといくらなんだろうな。


「金剛石だぁ!? そんなもんがあんなら見せてみろや! あるんならなぁ!」


「その通り。実はない。」


だってドロガー達にあげたし。私の魔力庫だって空っぽになったんだから。他の宝石もたくさん入ってたんだけどなぁ……


「てめぇ……ふざけてんじゃねぇぞ! 何が金剛石だぁ魔王だぁ! ハッタリかますのもいい加減にしやがれ!」


そこで魔力庫どーん。


昨日ヘルデザ砂漠でせっせと作った鉄の塊。ここは床も石造りだから遠慮なく出してやった。


「言いたいことは二つある。まず、金剛石の入手方法なら教えてもいい。宝箱なんて不確かなもんじゃない。確実に手に入れられる方法だ。

それから、この鉄塊だ。ヒイズルの価格にするといくらぐらいするんだろうなぁ?」


「これで全部かよ……こんなの一億ぽっちにしかならねぇぜ……」


「もちろんまだまだあるぞ? 全部出してもいいけどお前らが潰れるだけだな。鉄は重いぞぉー?」


当たり前か。


「ちっ、金ぁ唸るほどあるってことかよ! どうせ迷宮も金の力で踏破したんだろうが! 傷裂あたりに金でも積んでよぉ!?」


「さあな? その辺はドロガーに聞いてみろよ。今ならギルドで飲んでるんじゃないか? で、どうするんだ? やるのかやらないのか。」


まあやらなくても私は困らないけどね。


「ちっ、やりゃあいいんだろうが!」


「賢明だな。では約束な。お前たちはローランド人奴隷を集める。俺は買値の倍額でお前たちから買い取る。いつ俺がやめると言い出すか分からんからな。せいぜい早めに動いておくことだ。」


「ああ……っぐっぶぁはぁっ! ふぅ……契約魔法まで使えるんかよ……もしかしてお前、蔓喰(つるばみ)のモンか?」


「そりゃあビレイドだな。俺はローランドの魔王だって言っただろ。ヒイズル人じゃないぞ。おっと、そうそう。奴隷たちの傷や欠損はしっかり記録しておけよ。元の持ち主には同じ目に遭ってもらうからな。」


「あ、ああ……」


さてと、まずはこれでいい。では次だ。


「ファベルにはエチゴヤの事務所があるんだろ? 案内しな。だいたいの場所が分かるところまででいいからよ。」


「ゲオウ、案内してやれ……」


「は、はい……」


こっちがメインの用事なんだよね。たぶんこのファベルも廃墟になりそうだし、それまでにここらのローランド人は救っておきたいもんな。




「ど、どうやってあの迷宮を踏破したんだ?」


おっ、珍しくまともな質問じゃないか。道中の話題ってか。


「どうやってかと言われるとな……正攻法ってことになるな。地道に深層まで歩いて、正面からボスを倒して、時には謎も解いたりしてな。せっかくだから助言してやろう。迷宮攻略に最も必要なのは食糧と睡眠な。覚えとけ。」


「そ、そうか……」


全然分からんって顔してるな。コツを教えただけで攻略できるわけないんだからさ。地道に進むことが大事なんだぜ?


「ところでイカルガって人口は何人ぐらいなんだ?」


「詳しくは知らん……五万とも十万とも言われている……」


「ファベルも合わせてか?」


「いや、合わせないで、だ……」


ふーん。どうせこれ系のスラムって何万人と住んでるんだろうけど誰も調査しないから分からないんだよな。人口密度はエゲツないことになってそうだけど。




「あの先だ。まっすぐ行って突き当たりを右に曲がれば、うちのより大きい建物がある」


ここまで一時間は歩いたな……なかなか広いじゃん。


「おう。ありがとよ。ほれ、とっとけ。」


お礼は一万ナラー。私は気前がいいのだ。


「お前がどうなっても構わんが……うちの名前出すんじゃねぇぞ……」


「さあな。少なくともお前らが役に立つ間は守ってやってもいいけどな。」


「ちっ……」


どうせ少しでもエチゴヤに睨まれたら途端に潰れる弱小なんだろ? それならわざわざ闇ギルドなんかやってないで真面目に働けばいいのに。

まあ、それができれば苦労しないってパターンかな。


よし、見えた。

ふーん、確かに大きいな。しかもやたらきれいじゃん。こんなスラムの中にあるくせに真っ白。子供が手形とか付けたりしないか?


『水壁』


まずは一部を残して周囲をぐるっと囲って……


『浮身』


無理矢理建物ごと浮かせる。そしたら少しシェイク。


おっ、出てきた出てきた。ゴキブリ野郎どもが。扉から窓から吹っ飛んで落ちてきやがる。

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― 新着の感想 ―
[一言] 出たあああああ!カースさんの生ゴミ処理魔法だあああああ!! カースくんの魔法がどう外道を叩き潰すのか楽しみです
[良い点] 久々にカースらしい「揺さぶり」が出ましたね。 これ建物ごとですよねww いいぞ、もっとやれww [一言] ピュイピュイ不足なのでコーちゃんのターンを待っています!
[一言] やはりカースはカースですね。 イケイケドンドン。
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