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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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590、スラムの名はファベル

うーん、確かに臭いな。誰も掃除なんかしないんだろうな。おまけに臓物がそこら辺に放置されている。全部食べればいいのに。無理か。ならばきっちり処分しろってんだ。ところで何の肉なんだろう?


「んんー? なんだなんだぁ?」

「えれぇいいカッコした若造だぜぇ? ひひっ、ええ金持ってんだろぉなぁ?」

「ここぉどこだと思ってんだぁ? お貴族様が一人で来るとこじゃねぇでぇ?」


そういえばヒイズルに来てから結構貴族と勘違いされることが多いよな。私のお洒落っぷりからすると当然かも知れないが。でもヒイズルの貴族と比べると服装が全然違うのに。ウエストコートを着てるヒイズル人なんか見たことないぞ?


「ここら辺は誰が仕切ってんだ?」


スラムなら必ずボスがいるはずだ。エチゴヤの関係者か、それとも全くの別人か。


「はぁ? 知らねーよ!」

「ズレナさんとか?」

「バキバさんじゃね?」


「誰でもいいから案内してくれよ。お前ら金が好きだろ?」


とりあえず一万ナラーほど見せびらかしてみる。


「足りねーよ! 全部だせやぁ!」

「ひひっ、だめだせぇ? こぉんなとこで金ぇ見せちゃあよぉ?」

「俺ぁこいつの服が欲しいでぇ」


うーんだめか。会話は不可能だな。


『快眠』


今の季節に外で寝ると凍死してしまいそうだが私の知ったことではない。そんなに魔力を込めてないから数時間もすれば起きるだろうし。

それにしてもどこの国でも、どこの街でもスラムってのは同じようなものだな。住人の行動まで同じだし。おっとっと。


「ちっ! 黙って盗られてりゃあ怪我しねぇですんだのによぉ! おらぁ寄越せやぁ!」


いきなり奪おうとするパターンもあるのね。私が避けたもんだから逆ギレかよ。錆びたナイフ一本で襲ってきやがるし。


『微毒』


「おぼおぉぉおおぉぉーー!」


久々に使った軽い毒を与える魔法だ。症状は下痢、目眩、吐き気、頭痛、腹痛、疼痛など対象の体調によるんだよな。こいつはめちゃくちゃ吐いてやがる。キモいからさっさと行こう。

と言ってもどこに行けばいいんだ? スラムのボスに会いたいだけなんだけどなぁ。


「兄ちゃん兄ちゃん! いい靴はいてるね! 磨かせておくれよ!」

「オイラは肩を揉むよぉ!」

「靴磨きは俺の方がうまいんだよ! 兄ちゃん俺が磨くよ!」


今度は子供たちに囲まれた。スラムでは子供相手だからって油断できないんだよなぁ。


「肩はいいから靴だけにしろ。お前とお前で片方ずつな。」


見知らぬ人間を背後に立たせるわけないだろ。


「まいど! じゃあ俺こっちを磨く!」

「俺の方がうまいとこ見せるから!」


「任せる。」


そもそも私のドラゴンゾンビのブーツは防汚が付いてるから汚れ一つないんだけどね。がんばる子供を応援してやりたいだけだ。


「じゃあ兄ちゃんオイラの上に座ってくれよ!」


肩を揉むと言った子供が四つん這いになった……そりゃあ靴を両方同時に磨くなら座る必要があるけどさ……

さすがの私も十歳にもなってなさそうな子供に腰かけるなんて無理だ。しかしこいつだけ稼ぎがないのも可哀想だな……


「お前には後で道案内を頼む。だからそれまで待ってろ。」


「うん! いいよ! あれ? 兄ちゃんどこに座ってるの?」


風壁で椅子を作っただけさ。これが本当の空気椅子ってね。


風壁(かざかべ)って魔法だな。なかなか便利なんだぜ。」


「へー! 兄ちゃん魔法が使えるんだー! すごいなぁ!」


「お前は使えないのか?」


普通は誰でも使えるはずだが。


「うん! これぐらいしか使えないんだよ!」


指先から水がポタポタと。なるほど、水滴(みなしずく)ね。それにしてもえらく元気な喋り方するよな。


「よし! 磨き終わったよ!」

「俺も! どうだい兄ちゃん! どっちがきれい!?」


区別なんかつくかよ……元からきれいだったんだからさ。


「どっちもきれいさ。ご苦労だったな。」


千ナラーずつ渡す。相場はもっと安そうだが。


「うわっ! こんなにくれんの!? もしかして兄ちゃんは貴族なの!?」

「兄ちゃんありがとう! うわーい!」


靴磨きの二人は喜び勇んでどこかに走っていった。あんまり金を見せびらかすと奪われてしまうぞ?


「兄ちゃんお金持ちなんだね! で、どこに行きたいの? どこでも言ってくれよ! オイラはこのファベルならどこだって知ってるんだからさ!」


へー、ここはファベルって言うのか。


「ここを仕切ってる奴のとこ。ここらのボスは何て奴なんだ?」


「え……だめだよ兄ちゃん……あの辺は近づいたらいけないんだよ?」


どの辺だよ……


「お前は案内するだけでいいんだよ。近くまで行ったら逃げたらいいだろ?」


「そ、そりゃあまあそうだけど……」


「で、ボスは何て奴だ? それとも知らないのか?」


「し、知ってるよ! そんなの当たり前じゃんかぁ! マダラさんに決まってるよ!」


「じゃあそこまで案内してもらおうか。」


そう言って私は金を見せる。今度は一万ナラーほど。快く案内してくれたらこのぐらいは払うさ。


「近くまでだからね! 途中で何かあったらオイラ逃げるから!」


「だいたいの場所が分かればいいさ。」


しかし逃げたら金が貰えないんだが、その辺を理解しているのだろうか? 私はどっちでも構わないけどね。

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― 新着の感想 ―
[一言] まだ目的が見えませんが、ボスのところには行けそうですね。
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