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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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588、エチゼンヤ商会

うーん朝かな。よく寝た気がする。楽しい夜だったなぁ。アーニャの件はこれでもう一件落着でいいよな? 私にできる最大限の歩み寄りをしたと思うし。変な話だがあいつに対する保護者的な愛情はめちゃくちゃあるんだよな。これはたぶんキアラに対する気持ちに近いと思う……

前世で愛した女にこんな気持ちを抱いてしまうのは変な気もするが、自分でもどうしようもない。このまま一緒に暮らしていくことになるだろう。ヒイズルにいる間はもう迷宮には潜らないだろうなぁ……宿泊セットもなくなったことだし。




さて、今日はお出かけだな。アレクを連れていくべきか、一人で行く方がいいか……


朝飯を食べてから考えよう。


あれ? えらく片付いてるじゃん。客室係が来たのかな? 呼んでもないのにサービスいいじゃん。 そうかと思えば二皿だけ残ってるし。片付けるなら全部片付ければいいのに。


「ガウガウ」


おおカムイおはよ。風呂に入ってたのか、分かってるって。乾かしてブラッシングだろ。よしよし。

あれ? 毛が冷たい。あ、お前もしかして水風呂に入ったのか? 今は冬だってのにさぁ。


「ガウガウ」


沸かし方が分からない? 別に寒くないから問題ない? そりゃそうだろうけどさぁ。

せっかくだからドライヤーの魔法でブラッシングしながら乾かしてやるよ。

コーちゃんは水風呂が好きだけどカムイまでわざわざ水風呂に入るとは。私が起きるまで待っていればよかったのに。まあ、カムイはやりたいことをやりたい時にやるタイプだしね。あ、あの二皿ってカムイの仕業か。よく注文なんかできたな。カムイの言葉を解するとは……ここの客室係はレベルが高いようだな。さすがは高級宿。




そして朝食後……


「そういえばカース、今日は出かけるって言ってたわね。どこに行くの?」


「あの件だよ。拐われたローランド人の件。それでまずはエチゼンヤ商会に顔を出してみようかと思ってさ。」


「さすがカースだわ。誇らしいわ。本当は私も行きたいけれど……」


うーむ、そうか……アレクの賢明さが時には寂しいなぁ。


「いいよ。分かってる。アーニャがいるもんね。」


「え? 私、放っておいてくれて構わないよ?」


それがそうはいかないんだよなぁ。


「アーニャ、あなたにはまだまだ話してないことがたくさんあるし、あなたから聞いてないこともたくさんあるの。そして何よりここ、天都イカルガであなたに外を歩かせるわけにはいかないわ。その辺りの理由も含めてじっくりお話することにしましょ。」


アーニャって最初はイカルガに連れてこられたって話だからな。これだけの美貌なんだからさぁ、絶対覚えている奴が何人もいる。今はまだ余計な騒動を起こすべきではないもんな。


「そ、そうなんだ……うん、分かった。アレクさんお願いします。」


やはりアーニャは物分かりがいい。たぶん私よりずっと。


「そんじゃあ俺が付いてってやろうか?」


「どっちでもいいぞ。暇なら来てもいいんじゃないか?」


「じゃあウチも行くしー。」


ドロガーとクロミか。戦力的にはいると助かるかな。ならば悪いがコーちゃんとカムイにはお留守番を頼むとしよう。


「ピュイピュイ」

「ガウガウ」


「そんじゃもう行くんか?」


「ああ、さっさと行って終わらせよう。」


「案内なら任せとけ。」


客室係に頼もうかと思っていたが、手間が省けたな。この宿がエチゼンヤ商会に睨まれても悪いしね。




「エチゼンヤって昔からイカルガにあったのか?」


「あー、俺が知る限りだと十年ぐれぇ前からはあったと思うぜ? 今みてぇにハバぁ利かせだしたのぁ五、六年前からだった気がするけどよぉ。」


「ふーん。エチゴヤはどうなんだ? テンモカら辺以外はヒイズル中を支配してるって感じだけど。」


「あー、そっちぁよく知らねぇなぁ。闇ギルドなんざぁ好んで関わりたかぁねぇからよ。あーでも天王陛下への反乱がある度にエチゴヤの勢力が増したってぇ噂もあるぜ?」


ふーん。確か三回ほどあったんだよな。


「エチゴヤとジュダは手を組んでるって感じか?」


「知らねーけどよぉ、どーせそんなこったろうぜ? つーか魔王よぉ、あんま呼び捨てにすんじゃねぇよ……人に聞かれたらやべぇんだからよ……」


「分かってるって。だから小声で喋ってるだろ?」


私だってその程度の気は使うのだ。ドロガーが天王『陛下』って呼ぶぐらいだからな。


「つまんなーい! ウチも話したいしー!」


うーん、クロミに分かる話って何かあるのか? 私だってヒイズルのことはよく分からないから聞いてるだけなんだが。あ、ヒイズルで思い出した。


「そういえばドロガーとクロミって結婚したらどこに住むんだ?」


「ウチはどこでもいいしー。」


「まだ決めてねぇなぁ。間をとってローランドっつーのも面白そうだしよ?」


間? ああ、ヒイズルと山岳地帯の間ってことか?


「クロミとドロガーならローランド王国でも余裕で稼げると思うぞ。」


今あっちは開発ラッシュだからな。腕のある冒険者なら稼ぎ放題だろうね。


「まあそれも次の迷宮を攻略してからの話だぜ。なぁクロミ?」


「そーねー。それからかなー。つーかさぁー、ニンちゃん聞いてよぉ? ドロガったら昨夜さぁー「ちょっと待てぇぇぇーーい!」


どうしたドロガー?


「何を慌ててんだ?」


「い、いいからいいから! ほら魔王、そろそろ着くぜ! あの先を曲がったところだ!」


「おお、じゃあクロミ。その話は後でな?」


「うん! 後で!」


ドロガーの奴は何を焦った顔してるんだ? 三十すぎのおっさんがする顔じゃないぞ。

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― 新着の感想 ―
[一言] あっ(察し) どんまいドロガー!
[一言] 三十すぎのおっさんだからこそ焦ると言うのはありますな。
[一言] ペットとか言いつつ注文に応じるところはすごいですねこの宿
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