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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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555、カースを止める者

いきり立った冒険者が五、六人ってとこか。


「金が欲しけりゃ賭けてみな? いくらでもいいぜ?」


私は金がない。もし負けたらドロガーに払わせよう。


「賭けろだ!? やんのかオラぁ!」

「てめぇコラ? ドロガーさんに助けてもらえっと思ってっだらねぇぞぉ?」

「あんまぁナマ言ってやがってっとぶち殺しゃげたんぞぁあ!?」


人間の言葉を喋れよな……

でもこれも冒険者らしくていいなぁ。迷宮内では赤兜しかいなかったもんなぁ。


「そんじゃ行こうか。やりたい奴だけ来い。」


どこのギルドにも訓練場はあるものだからな。その頃には査定も終わるだろ。さっさと飲んでアレクの待つ宿に帰りたい気もするが、やっぱこんなのもいいよなぁ。


「ピュイピュイ」


コーちゃんは早く帰ってきて、と言ってくれた。待っててねコーちゃん。




結局外の訓練場にはぞろぞろと何十人も付いてきた。全員参加するのか?


「さて、誰からだ?」


「その前に金を見せろや? てめぇなんぞを叩きのめしてタダ働きなんて冗談じゃねぇからよ?」


あらー、意外ときっちりしてんのね。


「金はないぞ? 別に構わんだろ。俺が負けたらドロガーが払うからな。負けたらな?」


「てめぇそこまで言ったんだぁ! ドロガーさんに恥ぃかかせやがったら命で償ってもらぁからよぉ!」


意味が分からん……


「分かったら好きな金額を言え。ドロガーはどっさり金持ってるぜ?」


「そんじゃあ百万ナラーだぁ! 文句ぁねぇだろぉな!」


少ないな……堅実派か? それともドロガーにあんまり払わせたら申し訳ないとか思ったのか?


「いいぞ。来い。」


「待ってください」


あら? 目の前の冒険者が剣を抜いたと思ったら静止の声が。


「なんだぁ!? 止めんなよキリカさん!」


おや、さっきの冷たい目をした受付嬢ではないか。


「先ほどは大変失礼をいたしました。魔王カース様とはつゆ知らずご無礼の数々、平にご容赦くださいませ」


おやおや。これは珍しいパターンだな。どうやらテンモカ豊穣祭の情報は本当に入ってきてるんだろうな。で、私の風体と名前からあの魔王だと気付いたってとこか? それでも普通はやられるまで信じないものだが、驚きの判断の早さ。やるもんだね。

それにしても顔色ひとつ変えずに言うもんだから謝罪されてる気がしないな。別にいいけど。


「魔王……そういやドロガーさんも魔王って呼んでたぞ……」

「魔王カース……どこかで聞いた気ぃしねぇか……? 迷宮踏破とか……」

「確かテンモカの豊穣祭でそんなよそもんが優勝したって……」

「ドロガーさんだって出場したはずだよな? キサダーニさんだって……」


おやおや、冒険者どもが騒つきだしたぞ?


「金額は出たのか?」


「はい。しめて三千万ナラーでいかがでしょうか」


おっ、ますます騒ついてやがる。納品一発でこの金額は珍しいんだろうな。なんせあんな辺鄙(へんぴ)な場所でゲットした素材だしね。迷宮の産物があれば軽く億を超えたんだろうなぁ……


「まあいいだろう。現金で渡してもらおうか。」


「ではこちらへお越しください」


「分かった。あぁそうそうお前ら。まだやるか? 今なら三千万まで賭けてもいいぞ?」


「やるに決まってんだろがぁ! 俺との勝負ぁまだ終わってねんだよ!」


おー。やるのね。


「やるなら来い。お前が一回剣を振るまでは動かずにいてやるからよ。」


「舐めんなぁー!」


おっ、意外と速い。無駄のない動きですすっと間合いを詰めてきやがった。大振りじゃないのも好感持てるね。でもね……


『金操』


「ぐぎゃあぉああぁぁーー!」


これまたいつも通り。自分の足の甲に剣を刺させてやった。動かないとは言ったが魔法を使わないとは言ってないからな。


「まだやるか?」


「ざ、ざけんな……まだやるに決まっごぼぉぉおっ……」


不動で腹を突いた。突き刺さってはない。さすがに気を失ったか。


「次は誰だ?」


金の回収は後でいいだろう。


「いえ、そこまでにしていただきます。この方はキサダーニさんに一瞬で勝ったほどのお方です。ここの皆様では相手にならないかと」


うわー正直だけど辛辣ぅー。こいつらは同じギルドの仲間じゃないのかよ。もっと言い方考えてやれよな……


「キサダーニさんを一瞬で……?」

「はっ……魔王って言やぁオワダのエチゴヤ潰したって噂ぁなかったか……?」

「ヤチロでも何か大暴れしたって……」

「じゃあ豊穣祭で優勝したのってマジでこの……」


えらく物分かりがいいな。普通信じないだろ……


「じゃあもう終わりでいいのか? それならそいつを叩き起こして百万払ってもらうだけだが。」


「こちらで立て替えておきますのでご容赦ください。さてチュムザさん、リソンジさんの介抱をお願いいたします」


「キリカさん……あ、ああ分かった……」


「では魔王様。こちらへお願いいたします」


うーん、何だか不完全燃焼って気もするが……まあいっか。予定してた金策が素材分しか稼げなかったけど。先に契約魔法をかけておかなかったのが失敗かな。でもあれって意外と会話が面倒なんだよなぁ……上手く誘導しないといけないし。


まあ三千万ナラーほど稼げたわけだし。文句はないけどさ。金額もだいたいドロガーが言った通りになったし。さて、金を受け取ったらコーちゃんと飲もう。


あ……コーちゃんと再会できたら飲もうと思って取っておいたスペチアーレまで失くなったんだよなぁ……

ほんと私の魔力庫には色々入ってたんだなぁ。もう後悔はしてないが、少し寂しいかな。

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― 新着の感想 ―
[一言] やっぱ首都のギルド員は優秀なんすねえ お金じゃ手に入らない物たちは残念でしたねぇ; まぁコーちゃんには換えられませんが!
[一言] 賢い人が相手方にいると話が早いけど、お金が入らない。
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