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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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542、四十一階のボス

さて、色々あったが攻略再開だ。ちなみにクロミはまだ元気がない。


「さあ、全員乗って。」


クロミだけが申し訳なさそうに乗ってくる。非常にクロミらしくない。


「ゆっくりめに飛ぶから何か違和感か気付きがあったら教えてね。」


「ガウガウ」

「分かったわ。」

「おうよ。」

「分かった……」


クロミとアーニャからは返事がない。別にいいけどね。


『氷柱』


さて、ガンガン行こうか。レッドキャップでもデュラハンでもいくらでも来やがれ。






「分かっちゃあいたが……やっぱ魔王ぉすげぇな……」


「いきなりどうした?」


道中でドロガーが口を開いた。


「魔法の使い方が四十階までと全然変化がねーじゃねぇか……どうなってやがる……」


「言わなかったっけ? これぐらいは誤差みたいなもんだ。」


「いや、聞いたぜ……聞いたけどよぉ……」


頭で理解しても心が納得してない感じかな。

普通だと魔力を十倍込めればどうにか普段通りの威力を出せるはずだが、私はせいぜい二倍ぐらいしか込めてない。小さい頃からの首輪特訓がしっかり効いてるんだろうね。魔力量を上げるだけでなく、魔力の搾り出し方まで上がるとはね。何でもやっておくもんだわ。基礎って大事。


現れる魔物をことごとく轢き潰して私たちはボス部屋に着いた。私の魔力はほとんど減っていない。無茶さえしなければそうそう減ることはないもんな。


「じゃあこのまま行くぞ。」


「ええ。カースのかっこいいところが見たいわ。」


ふふ、アレクにそう言われると張り切ってしまうな。さて、ここのボスは何かなー。

扉を開けて、中に入る。

扉が閉まり、一瞬の静寂。


来た。ふうっと現れたボス。おーおー、部屋を覆い尽くすスライムかよ。しかしこの程度では敵じゃないな。


『乾燥』


ふっ、終わりだ。所詮はスライム。スティクス湖ほどもある極大スライムを仕留めた私の前では、こんな迷宮スライムなど敵ではない。


あれ? んん? まだ魔力を感じる……ちっ、さっきのはボス前の雑魚の大群ってわけか。

むっ、生意気にデカい魔力を感じるが……ボスはどこだ? 見えないぞ?


「ぐぶぉほぉっ!」


なんだ? ドロガーが吹っ飛んだ。なぜわざわざ隅の方にいたドロガーを狙う……


「ガウガウ」


え? そこにいる? くそ、見えん。魔力は感じるが……


「ガウガウ」


こっちに来てる? ぐぬっ、自動防御に反応あり……でも見えない。くそ、どこだ。

ええーい! 見えなくても関係ない。魔力を感じることができるんなら……『水球(みなたま)

もちろんホーミングだぜ?

ほうら当たった。しかも……真っ赤に染めてやったぜ。キアラと水球のぶつけっこをやっておいてよかったな。

見えた! そこか!


『火球』


ぬうっ!? 効いてない!? そんなバカな!

ぐっ、また自動防御にぶつかってきやがった! 効かねーよ。そしてはっきり見えた……こいつ、スライムだ。しかも魔境でも滅多に出会えないメタリックスライムじゃねーか! アンデッドじゃないんかよ! しかもスライムのくせに動きが早すぎる! カムイしか追えてないし!

ちっ、どうやら私に狙いを定めたようだな。さっきから自動防御に衝撃が来まくってやがる。


カムイ! そっちから追い込んでくれ!


「ガウガウ」


さすがのメタリックスライムもカムイからは逃げやがるみたいだな。そんな知能があるのかよ。いくらメタリックスライムだろうとドラゴンの皮膚をも斬り裂くカムイの牙には勝てないことが分かるほどの。

だが、いくらカムイが奴を斬り裂こうとも核である魔石を破壊しないことには意味がない。どうしてくれようか……


やっぱこれかな。


『鉄壁』


最高の防御力を誇る壁だ。いかにメタリックスライムがぶつかろうともカン高い音を立てるだけだ。そして……追加の『鉄壁』

捕獲完了だ。だが、こいつはボスなんだ。トドメを刺さないと終わらない。どうしよう。


よし。やってやろう。こいつに怨みはないが実験がてら。


『業火』


私の鉄壁ごと加熱する。さっきの火球は効かなかったようだが、こうやってじっくり加熱すればいかにメタリックスライムでも耐えられまい。

おっと、鉄壁が蒸発してしまった。だが、生意気にスライムは健在か。いや、水銀のような液体と化し迷宮の床に流れ落ちた。ちっ、まだ生きてやがる!


『業火』


逃がすかよ! そのまま蒸発してしまえ!

くそ、自分の魔法ながら熱すぎる……魔力の向きを制御していても熱いもんは熱い。

だが、ようやく終わったか。床の上を流れるように這っていたスライムがついに動きを止め、そして……


「ガウガウ」


終わった? やれやれだったな。すっかり魔力を使わされてしまったな。そして『水滴』

ボス部屋の温度が上がりまくったからな。氷点下の水撒きで涼しくしておこう。


それにしても分からないことは、こいつの魔石だ。本体はドロドロに溶けたとしても魔石は無事だったはずだ。だってこいつ動いてたんだから。なのに、こいつからは魔石が発見できなかった。燃え尽きたようにも見えなかったし。

うーむ、魔石がなくても動く魔物と言えば……アンデッド?

つまり、こいつはメタリックアンデッドスライムだったってことか? そんなのありかよ……

アンデッドでも魔石を落とす魔物はそれなりにいるはずなんだけどなぁ。まあいいや。

それにしても……残り少ないが、この先が思いやられるな。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ハラハラドキドキの内容が一区切りし、やっと日常(?)が帰ってきました。 やっぱりカースが魔力でごり押して進む日常風景に安心感を覚えます。 [一言] 業火の後に水滴ってめっちゃ激熱の水蒸気で…
[一言] カースにして手強い相手ですね。 >キアラと水球のぶつけっこ 凄い懐かしいです。
[一言] 普通に、こんなやつカースじゃないと勝てん!と思いました。 やはり迷宮の深層だけはあるんだと思いますが、正攻法も気になるところではありますね(まるでカースが正攻法じゃないような物言い 笑)
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