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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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537、地下四十一階の試練

ボス部屋にはクロミとカムイ、そしてドロガーが入っていった。


「カース、何か飲む?」


「ありがと。でもいいや。たぶんすぐ終わると思うし。」


「それもそうね。カムイとクロミが揃ってて苦戦するとも思えないわよね。」


そもそもカムイだけで楽勝だろうしね。油断はよくないが現実だもんな。逆にカムイにとって相性の悪い魔物といえば……

まずは海系全般。これはさすがに気にしなくていいか。次に空系。あっちから襲ってこなければカムイでは手も足もでない。

普段私たちが出会う魔物の中だと……やっぱスライムだろうなぁ。まあでも今回はクロミがいるから問題なしか。

アンデッドの中でもゴースト系は……魔声一発で終わりだし、上級ゴブリンのアンデッドでもやっぱ一撃で首を落とされる未来しか見えないな。さすがにドラゴンゾンビなんて出てこないとは思うが。もし、出るとしたら……最終階だろうか。うわぁ……嫌だなぁ……いつぞやの虫歯ドラゴンのゾンビみたいなのと密室で戦うなんて……入る人間を絞れば何とかなるかな。あいつのブレスってめっちゃ危険なんだよなぁ。


「カース、開いたわよ。」


「ん。じゃあ行こうか。」


ほらやっぱり。手強いはずの四十階のボスでさえ楽勝じゃん。


「やはり、すごいな……」


ふふふ、カムイはすごいんだぜ。




「ガウガウ」


おうカムイ、どうだった?


「ガウガウ」


ほうほう。臭いのを我慢して頑張ったのか。えらいぞ。それなら安全地帯に着いたら手洗いしてやろうな。とりあえず今は『浄化』っと。これで堪えておきな。


「ニンちゃーん。やっぱ狼殿はすごいねー。雑魚はウチが片付けたんだけどー。ボスは狼殿が一撃だったしー。」


「雑魚? 何が出た?」


そういえばカゲキョーでもそうだったよな。ボスの前にゾロゾロと現れたりしてたよなぁ。


「レッドキャップが群れでうわぁーって。さすがにあの数は狼殿だけじゃ無理っぽかったしー。」


あー、大群だったのね。それにしてもレッドキャップゴブリンを雑魚と呼べるクロミはさすがだね。


「おう魔王、ここのボスがすげぇもん落としやがったぞ。さすがにこいつぁくれとは言えねぇぜ。」


「何だそれ?」


ごつごつした小石。透明できれいじゃん。私の親指サイズか。


「か、カースそれ……」


「アレク分かる?」


「こ、金剛石の原石よ……かなり大きいわ……」


へー。ダイヤモンドの原石ってこんな感じなんだ。初めて見るから分からないよな。

ダイヤモンドならアレクに、と言いたいところだがアレクにはやっぱり大粒のアレクサンドライトの首飾りがあるもんな。このダイヤをカットしてもあれほどの美しさが出るかどうか……


「カムイ、これ欲しいか?」


「ガウガウ」


そりゃあいらないよな……カットして首輪につけてもオシャレとは思うが。


「クロミは? カムイはいらないってさ。クライフトさんにカットしてもらえば相当きれいな宝石になるんじゃないか?」


「いいのー? だったら欲しいかなー。これ絶対めっちゃきれいなやつだよ?」


そもそもボスを倒したのがクロミとカムイなんだから当然だよな。


「もちろんいいさ。貰っておいたら?」


「ほんとー? ニンちゃんありがとー! 貰っておくねー! 狼殿もありがと!」


私は何もしてないけどね。


「ガウガウ」


へー。そうなんだ。


「クロミ、カムイがな。この前一緒に寝たのが心地良かったってさ。」


「へへー、そう? なんだか狼殿が寂しそうだったからついね。狼殿の毛皮って超気持ち良かったし!」


「ガウガウ」


お前強がるんじゃねーよ。いや、まあカムイは強いけどさ。


「また一緒に寝てやるってさ。」


「ほんと? 狼殿ありがとー。」




さて、ぺちゃくちゃお喋りしてたら四十一階だ。お約束的にはこの迷宮も五十階で終わりだと思うが、ここからはさらに気をつけていかないとな。


あれ? うっわぁ、マジかよ……こりゃあ参ったな……


「クロミ、魔法使えるか?」


「さいあくぅー! 何ここぉー! めっちゃ魔法が使いにくいしぃー!」


やっぱりかよ……

カゲキョーだと四十五階からだったか。魔法が極端に使いにくくなるエリア。


「アレクはどう?」


「ええ……使えなくはないけど……普段の十倍以上魔力を消費しそうね……」


「ドロガーは?」


「おお……ちいっとばかしキツいぜ。まあ俺ぁそこまで魔力高くねぇし。関係ないと言えばないわなぁ。」


ドロガーは冒険者の平均から見れば相当に魔力が高い方なんだけどね。私やクロミと比べたらそりゃそうなるわな。

さて、そうなると……


「赤兜。お前の出番だぞ。かっこいいとこ見せてくれよな?」


「ま、まさか先頭を行くのか……?」


「いや、先頭から二番目。カムイの後ろを歩きな。そして魔物が現れたらお前が相手しろ。」


「わ、分かった……」


絶対服従が効いてるもんね。ムラサキメタリックはこんな時に強いよなぁ。魔力のある無しに全然関係ないんだからさ。


「ガウガウ」


別に自分でやるからいいって? お前も魔力の刃が使いにくいだろ? あいつの手に負えない魔物が出たらやればいいさ。それまでのんびり歩いてな。先頭だけど。


「落とし穴だけには気をつけろよ。水中なんかに落ちたら助けられないんだからな。」


「あ、ああ……分かってる……」


アレクが落ちようものなら何としてでも助けるに決まってるけど、こいつが落ちたぐらいだとなぁ。いまいち助ける気がしないよなぁ。


さあて、赤兜のお手並み拝見といこうか。

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― 新着の感想 ―
[一言] ラスト周辺になるとやっぱ魔法か使いにくくなるエリアが。
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