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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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536、四十階、攻略再開

……あれ?

風呂で寝たと思ったら……

ここは……?


「ニンちゃん起きたー?」


「お、おおクロミ。これは?」


「ウチが普段寝てる水の魔法だよー。気持ちよくなーい?」


とてもいい……ゆらゆらと浮かんでいるようで、飛ぶような寝心地とでも言えばいいのだろうか。温度も適温、そりゃあ安眠するわな。だが問題は……


「何か布ぐらいかけておいてくれよ……」


全裸で透明な水の中に横たわっているわけだからして……まったくもう。


「えー? 別に寒くないじゃーん? よくなーい?」


そういう意味じゃないことぐらい分かってるくせに。


「アレクは?」


「寝たみたいだしー。金ちゃんも疲れてるんだねー。」


そりゃそうか。ならば私は……


『換装』


パンツぐらいは穿いておこう。で、横になったまま錬魔循環してよっと。そして眠くなったらそのまま眠ればいいし。


「ふーん、やっぱニンちゃんの魔力ってめちゃくちゃだねー。あの時ニンちゃんの魔力回路をいじくって錬魔循環させたんだけどぉー。超たいへんだったしー。」


「あらら、それは悪かったな。ありがとよ。」


つーか、私に錬魔循環をさせた? 外部から私の魔力をかき回したってことだよな? それって母上が昔やってくれたやつ……経絡魔体循環みたいなもんか。あれって下手くそがやると二度と魔法が使えなくなるぐらいヤバいんだよな。魔力回路がズタズタになってさ。それを容易く使ってみせるとは……やっぱダークエルフってのはすごいな……


「ううん、ニンちゃんのためだしね。全然平気だし。それよりお腹すいてない?」


ああ……言われてみれば、いつの間にやら寝たせいか減ってるな。


「ああ、へってる。何かスープとか軽いものはある?」


「あるよー。イモの冷たいスープなんてどーう?」


「あーそれいいな。頼むよ。」


「ニンちゃんはそのまま寝てていいからねー。食べさせてあげるー。」


『液動』


おお、スープが一口サイズのまま私の口にふよふよと泳いできたぞ。これって私の『水操』と同じタイプの魔法だな。


「ニンちゃんあーん。」


「お、おお。」


おっ、これは旨いな。軽くニンニクの効いたビシソワーズって感じだろうか。なるほど、イモの冷たいスープね。


「美味しいよ。もっと頼む。」


「はーい、あーんして。」


「ん、あーん。」


水の領域に横になりながら錬魔循環をしながら黒ギャルからビシソワーズを食べさせてもらう。なかなか贅沢だな。この冷たさがこれまたいい感じなんだよな。寝起きで体温が上がったせいだろうか。




こうして寝たり起きたりを繰り返し、体感で三日が過ぎた。


「さて、準備はいいな? では攻略再開といこうか。」


「おうよ!」


ドロガーは休みすぎて体がなまるとうるさかったんだよな。私は錬魔循環以外してなかったからな。おかげで魔力は全快とはいかないが、六割ちょいぐらいは回復した。


「それでカース、この階はどうやって進むの?」


「ひとまず様子見ってことで慎重に進もうか。先頭はクロミとカムイで。」


「いいよー。まっかせてー。」

「ガウガウ」


「ドロガーは最後尾、赤兜はアーニャの護衛、アレクは遊撃で。」


「任せな。」

「分かった……」

「ええ。」


私は何もしない。悪いがぼけーっと歩くだけだ。魔力が満タンになるまでは節約モードでいく。ボスだってカムイやクロミに任せておけばいいだろう。


レッドキャップゴブリンゾンビがこの階のメイン魔物みたいだからカムイには悪いけどね。




「な、なあ、魔王、さん……」


「ん? どうした?」


赤兜のやつが話しかけてくるとは珍しい。


「た、宝箱には興味ないのか……?」


「あー、興味なくはないが今はちょっと急いでるもんでな。いつかまたここに来る時があれば、その時じっくり探すかな。」


「そ、そうか……深層に行けばいくほど良いものが出るってのが定番なもんで……この階だとどうなのか気になってな……」


「もちろんお前一人で別行動しても構わんぞ?」


「い、いや、やめておく……」


そりゃそうだよね。こんな迷宮を一人で歩くだなんて自殺行為だもんな。私だって嫌だよ。


「なら予定通りこの階をクリアしたら次の四十一階で帰るか?」


「い、いや……もし、もし邪魔でなければ……同行させてもらえないだろうか……」


うーん、どうかな。戦力的には役に立たない……が邪魔ってほどでもない。むしろアーニャの護衛としては役に立ってるし。絶対服従の契約魔法が効いてる間は不埒な真似をすることもないだろう。悪くないかな。


こんな時はアレクだ。


「アレクー。来て来てー。」


「なぁに?」


「こいつが最後まで同行したいんだって。どう思う?」


「いいんじゃないかしら? カースの契約魔法もかかってることだし。それにアーニャだって助けてくれたし。」


「うん、分かった。ありがとね。というわけだ。最後まで同行ってことでいいぞ。」


「あ、ああ……ありがたい……」


こいつも奇特な奴だなぁ。収穫なんて道中で落とす素材やボスが落とす何かぐらいのもんなのに。宝箱って大抵メインルートから相当離れてるもんな。




さて、そうやって話していたらボス部屋か。

十の倍数階のボスは強いんだよな。しかも私たちは七人いるし。いや、赤兜は外で待たせておけばいいか。ボス部屋前ってあんまり魔物は現れないし罠もないし。むしろ私も入らなくていいか。クロミとカムイで楽勝だろう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 無重力状態でラーメンを食べると、スープが満遍なく絡んで旨いらしいということが思い浮かびました。 カムイとクロミで楽勝でしょうが、目を離すのはなんとなく不安ですね~。
[一言] それでも余禄がほしいのでしょうか。赤兜。
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