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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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510、二十四階 安全地帯での出来事

意識のないアレクを風呂に入れてから、シェルターに寝かせた。

このまま私も横になりたいのだが、そうはいかない。

アーニャに浄化をかけ、食事をさせる。隙あらば手掴みで食べようとしやがるからな……アレクが見てないからって甘やかす気はないぞ。アレクがしていたように厳しく食べさせてやる。

それからトイレに行かせたら……『快眠』

アレクの隣に寝かせておこう。


ふう。やはり心が壊れた人間の世話って大変だな……カムイよりよっぽど獣だもんな……


「ガウガウ」


うるせぇな。分かってるって。お前はいい子だよ。全然獣なんかじゃないさ。野生の誇りを忘れてそうな気もするんだがな。




「さて、待たせたな。じゃあガンガン焼くから食べてくれ。」


たっぷりの肉、酒は適度に。


「そんじゃ聞かせてもらうぜ? まさかクロミがあのエルフだったとはよ?」


「エルフじゃないしー! ダークエルフだしー!」


やっぱそこはこだわるんだな。似たようなもんだろって言いたいが全然別物なんだろうな。




話すクロミに聞くドロガー。私は食事を終えたらフェイドアウトだ。少しはドロガーに気を利かせてやるかな。酒をちょいと多めに置いてから……


カムイを洗ってやり、アレクの隣で横になった。

アレクも大変だったよな。魔法が効かない魔物もいれば、魔力を吸収する魔物だっているもんな。やっぱそこら辺は慣れだよなぁ……

私だって吸われてみないと分かるわけないけどさ。そもそも吸われる前に気付いたクロミが見事なんだよな。やるよなぁ……寝よ……








「ギャワワッギャワッ」


うう……ん……どうしたんだいコーちゃん……警告を……


「ギャワッ」


赤兜と戦闘になってる? 分かった。すぐ行くよ。


くっそ……すっごくよく寝てたのに……


『換装』


それからシェルターの内部には『消音』をかけておこう。アレクを起こすわけにはいかないからな。外に出たらきっちりと閉めて……


『クロミ! ドロガー! 退け!』


拡声を使って大声で指示を出す。赤兜に聞かれようが知ったことか。

素早く撤退するドロガー、少し遅れて退くクロミ。その背後を守るようにカムイが続く。ひとっ飛びでカムイを追う赤兜どもの前に着陸する私。迫る赤兜に……『津波』


終わりだ。見たところ十人以上いたからな。いちいち相手なんかしてられるかってんだ。どこまでも流れていきやがれ。

いくら魔法が効かない鎧でもこれほどの大水だ。どうにもなるまい。さながら鉄砲水だ。通路を隙間なく覆い尽くして凶暴に流してやった。


後は『氷壁』で安全地帯を封鎖。水が引くまでは持つだろ。




「それで? なんでこうなったんだ?」


クロミやドロガーが自分からケンカを売るとは思えないがね。


「せっかくクロミといい雰囲気で飲んでたんだがよ? そこにあいつらが来やがってな。」


「別にいい雰囲気じゃないし! ウチに触ったら殺すって言ったら、ウチになら殺されてもいいとか言うし!」


おおー。ドロガーも口説きモードだったんだな。そこに赤兜か。そりゃあキレるな。


「そんな時なのにクロミはよ? あいつらに向かって一緒に飲もうよー、ときたもんだ。赤兜にだぜ?」


「だってー。せっかくのお酒だしー。ヨッちゃんがぐいぐい来るしー。」


あらら、ドロガーの春は遠いのかな。


「そんでまあ最初はちったぁなごやかに飲んでたんだがよ? だんだんあいつらも調子に乗りやがってな。クロミの耳に触ったんだわ。」


「変化を使ってなくってー。この耳ってやっぱ人間には珍しいのー? だからつい殺しちゃったー。てへっ。」


あー、まあ仕方ないか。クロミからすれば耳に止まった蚊を叩いた感覚なんだよな。勝手に女の体に触ったんだから殺されても仕方ないよな。


「で、そっからぁ戦闘開始だわ。ったくよぉ……いい感じだったのによぉ……くそ赤兜が……」


「でもあいつらまあまあ強かったね。紫の鎧だっけ? あれには参るよねー。」


さすがのクロミでもあれだけの数に囲まれたら負けるよな。コーちゃんが知らせてくれてよかったよ。


「幸いここはそこまで広かねぇからよ。相手にすんのもせいぜい一度に二人ってとこだ。でも魔王が来んのがもう二分遅けりゃあヤバかったぜ?」


「ほんとほんとー。ニンちゃんいい時に来てくれたよー。やっぱウチのこと心配してくれてんじゃーん?」


「コーちゃんが知らせてくれたからな。それにカムイがいたから助かったのを忘れるなよ?」


だよなーカムイ。


「ガウガウ」


「おうよ。この狼ぁやっぱすげぇぜ。」


「やっぱ精霊様の友達だけあるよねー。フェンリル狼ってすごーい!」


「それよりクロミさ。安全地帯の入り口を幻術で壁みたいに見せることはできるか?」


「うーん、できるよ? でもここのことを知ってるやつには効かないよ?」


「構わんさ。寝て起きるまで誰も来なけりゃそれでいいんだからさ。」


そもそも私はそこまで困らないんだよ。困るのはシェルターの外で寝てるクロミとドロガーなんだから。そりゃあ広さ的には全員で寝ることも可能だけどさ。とてもそんなむさ苦しいことなんかやってられないもんな。


「やったよー。よっぽど目に魔力を込めないと見破れないと思うよー?」


ほう。気になるな。ちょっと試してみるか。

大抵の安全地帯ってものは通路に対して丁字になっている。だから目の前を通れば必ず発見できるのだが……


『氷壁一部解除』


よし、水はもう引いてるな。行ってみるか……


マジかよ……

たった今私が歩いてきた道が……消えた。

壁にしか見えない。


『看破』


うわぁ……アレクの幻術を見破った時より数倍も魔力を使わされた。クロミのくせに生意気だなぁ……




「へへーん。どうどう? ウチの幻覚魔法ってなかなか効くっしょ?」


「ああ。驚いたよ。看破するのが大変だった。これなら赤兜にはそうそうバレないかもな。」


まあ、壁を触ればそこに何もないことがバレるんだけどね。

まあいいや。寝よ寝よ。ふぁーあ……






「なぁクロミよぉ。」


「なぁにヨッちゃん?」


「俺もああやって殺されてたのか? バラバラによ……」


「さあ? ヨッちゃんなら避けられるんじゃないの?」


『葉斬』


「うおおおぉぉい!」


「ほーら。やっぱ避けられるじゃん。ヨッちゃんは弱くないからヨッちゃんだね!」


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― 新着の感想 ―
[一言] 春は近いか遠いのかw
[一言] 見た目とは裏腹に恐ろしいギャルですよね。 変な例えですが、喋れる蚊が「ヒャッハー」とか言って血を吸いにきたら、ペチンとやっちゃうと思います(笑)
[一言] ドロガー、惚れた相手が無茶苦茶だけど、頑張れ。
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