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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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503、二十二階のボス部屋前にて

再び風呂に入ってのんびりしていると、五分もせずにコーちゃんが呼びにきてくれた。朝食ができたんだね。


「ピュイピュイ」


次はドロガーを起こしにいく? コーちゃんは偉いね。




「おう、朝からドタバタ何やってたんだ?」


「おはよ。調子はどうだ? こっちはちょっと赤兜に解呪かけてやっただけさ。」


「なんだよ。結局やっちまったんか。てっきり見逃してやるもんかと思ったぜ。魔王とクロミのおかげで調子ぁいいぜ。ありがとよ。」


おまけに仇も討ててすっきりってとこか。さーて朝飯朝飯。今朝は何かなー。




ふう。おいしかった。アレクの料理はいつも素晴らしいね。

さてと……あの隊長をどうしてくれようか。

とりあえずもう一度『解呪』


うーんだめか。効いてないと言うよりは意味がないって感じか。どう考えてもこいつには洗脳も何もかかっていないようだ。


「で、クロミはどう思う? どこが気持ち悪いって?」


「うーん、よく分かんないしー。なんかさー、魔力の通り道が不自然なんだよねー。えーそんなとこを通るの? って感じ?」


さっぱり分からん。魔力の通り道ってのは全身を循環してるものだが、もちろん目に見えない。だから感じとるしかないのだが、それが不自然と言われてもな……個人差はあって当たり前だし。どれどれ……


「さっぱり分からん……」


隊長の頭とヘソに手を当てて流れる魔力を感じとろうとしてみたが……全然分からん。せめて目覚めた状態で錬魔循環でもしてくれないとさ。自然に流れる魔力を感じとるだなんて無理無理。受精卵が発する微細な魔力ですら感じとれるダークエルフだからこそ分かるレベルなんだろう。


「ところでこいつを生かしておくとお前らにとっては邪魔じゃないのか? 今なら簡単に殺せるぞ?」


「尊敬する隊長だ! そのような気はない! 隊長だって話せばきっと分かってくれる! 命を助けてくれたことには礼を言う……」


殺しかけたのも私だけどね。それでも礼が言えるこいつは本当にお人好しなんだな。赤兜にも色んな奴がいるものだ。


「じゃあ俺たちは行く。全滅しないようにがんばれよ。」


「うむ。貴様の恩は忘れぬ。名を聞かせてくれるか?」


「……名乗るほどの者じゃないさ。じゃあな。」


「そうか。私の名はキサラ・セバトだ。貴様らの武運を祈っている。さらばだ。」


ここで私の名前が知られても問題なんかないとは思うけど一応ね。用心するに越したことはないもんな。


おまけに隊長から脱がせたムラサキメタリックの鎧はちゃっかり私が収納してある。これぐらい迷惑料ってことで。武器には手をつけてないし、赤い鎧だってあるんだから大した問題じゃないよな。

むしろ問題は朝からめちゃくちゃ魔力を使わされたことだ。もう残り半分切ってしまったじゃん……まあ元々満タンだったわけじゃないけどさ。


「というわけでクロミが先頭でいいか?」


「いいよー。罠の傾向も分かったし問題ないしー。」


罠の傾向? 何それ?


「罠があったらちゃんと教えてくれよ?」


「分かってるし。見える罠から見えない罠までウチにかかれば楽勝だし。」


本当に大丈夫か? でも今のところこれがベストなんだよな。アレクはアーニャのお守りをする必要があるしドロガーは一応元気ではあるがまだ無理をさせるべきではないもんな。カムイには背後の守りを固めてもらってるしね。




ほほう。やるなクロミ。言うだけあるじゃん。罠を次々と看破しては赤い丸でマーキングまでしてくれる。ここに触るなとばかりに。遠隔で字やイラストを描く魔法か。私なら色付き水壁を応用すればどうにかなるかな。クロミと違って魔力のごり押しをする必要はありそうだが……


「あっぶなーい。」


どこにも触れずとも、そこを歩くだけで上からギロチン状の刃が落ちてくることもある。それでもクロミは床を滑るように、体勢を崩すことなく避けた。


「ここを通るときはスイーって抜けてねー!」


そう言ってクロミは床に横線を引いた。なんと歩きやすい……


「カース。アーニャを飛ばすからそっちで受け止めてくれる?」


「いいよ。おいで。」


例の罠は早めに走る程度のスピードで駆け抜ければ怪我すらすることはない。だがそれもアーニャには難しいため、アレクはそう言ったのだ。飛ばした先で別の罠にかかる可能性もあるため私が受け止めれば安全ってわけだ。


「カズマ!」


喜び勇んで私の胸に飛び込んできたアーニャ。無邪気な顔しやがって。


それから、時には通路丸ごとが落とし穴になっているような罠や天井が崩落するような罠もあった。少しはヒヤリとしたが、無傷で通過できた。




道中に罠が減ったと思えば魔物が現れる。この階ではスケルトンが多い。前から現れたらクロミに瞬殺される。後ろから現れたらカムイに踏み潰される。時折り私の目の前や横に現れたりもするが『重圧』の魔法で一撃だ。

ちなみにこいつらは主に魔石を落とす。たまに剣を落とすが呪われてそうなので無視だ。ドロガーによると高く売れるそうなので欲しければ拾えと言ったところ「帰り道なら喜んで拾うんだがよ……」とのことだ。誰だって呪われてそうな剣を持ちたくもないし魔力庫にも入れたくはないよな。

気になったので解呪をかけてみたら、剣が丸ごと砂になってしまった。やっぱ呪われてたってことだろうか。こんなクソ剣が高く売れるってどういうことだろうね……




そしてようやくボス部屋前まで着いたのに……


「マジかよ……どんだけいんだよ……」


赤兜が少なく見積もっても三十人はいた。こいつら全員順番待ちかよ……

うーん困ったな。さすがにこの人数が全員ムラサキメタリックの鎧を装備しやがったら勝てないぞ……

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― 新着の感想 ―
[良い点] お? 久々にピンチの予感? (と言いつつ、あんまり心配していませんw)
[一言] >赤兜が少なく見積もっても三十人はいた。こいつら全員順番待ちかよ…… なんてこったと言いたくなりますな。
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