表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1572/3108

500、決着!

剣が命中する直前、ドロガーの左手に噛み付いていた頭部はするりと落ち、鈍器と化した剣がドロガーを打ちつけた。おまけに頭部がドロガーの脛に噛み付いてやがる。さすがにしぶといな……


「くそがぁ!」


ドロガーの魔法剣がデュラハンの右膝を薙ぐ。おおっ、やった! スパッと切断しやがった! 縦に半分になった上に右膝を断たれたデュラハン。右半分が床に崩れ落ちる。だがドロガーも動けない。脛を噛まれた上に、デュラハンの頭部が重しとなって足を止めてるってわけか……


「ぐがあああぁぁぁっあーー!」


なっ!? あの頭部……ドロガーの脛を……噛み切りやがった、だと!?


「くそがぁぁぁーーーー!」


バカ! ドロガーのやつ自分の足ごと頭部を斬ろうと……だめか。逃げられた。その上、噛み切ったドロガーの足をペッと吐き捨てやがった……不幸中の幸いか、ツイてたな。


先ほどからデュラハンの胴体はピクリとも動いていない。ベタベタと床に貼りついてるし。この頭部との戦いが最終局面と見でいいだろう。


「ドロガー、まだやる気か?」


「あ、当たり前だぁ……邪魔すんじゃねぇ……」


「邪魔はしない。だからそこの左足を拾って少し後ろに下がれ。」


「あぁ?」


「ほれ、早くしないとデュラハンの頭が襲ってくるぞ?」


「お、おお!」


よし、それでいい。


『業火』


「なっ!? ま、魔王! 何しやがる!」


「邪魔はしてないぞ。倒れた馬と馬車、それから動かない胴体を燃やしただけだ。動いてないんだから関係ないだろ? さっさと頭部を仕留めろ。」


うーん、やはりアンデッドはよく燃えるね。


『ゲギャギャギャギャアァァァーーーー!』


おっ、アンデッドのくせに生意気に『魔声(ませい)』かよ。残念ながらその程度じゃあ私はおろかドロガーにも……効いてるんかーい! ぼーっとしてんじゃないぞ。


「おい! ドロガーしっかりしろや! 仲間の仇をとるんだろうが!」


「はっ!? お、おお! そうだよ! このクソデュラハンがあ! ハルナの仇ぃぃーー!」


『火炎槍』


炎の槍が一直線にデュラハンの頭部へと向かう……が、当たるわけがない。的が小さいんだからさ。デュラハンはデュラハンで頭部だけのくせに動きがやたら鋭いんだよな。ふよふよ浮いてるくせに。身重な胴体がなくなったせいか?


「はあっ、はぁ……くそがぁ!」


『火炎斬』


うーん、燃える斬撃もさっぱり当たってないな。デュラハンの頭部も迂闊にドロガーに接近してはこないが、このままだとスタミナ的にドロガーが不利だな。なんせ相手はアンデッドだし。


『ゲギャギャッ!』


ん? ただの魔声じゃないぞ? 何やら奇妙な魔力を感じる……


『解呪』


効果は分からないが何か怪しかったからドロガーに解呪をかけてやった。負けんなよ?


「はっ、ふぅ……とことん小賢しいデュラハンがぁ……そろそろ終わりにしてやんぜ……」


『火炎網』


おっ、これは面白い魔法だな。炎の網か。魔力はさほど込もってないが範囲は広い。どうにか逃げるデュラハンの頭部を捕獲したが……


『ゲギャギャッギャギャ!』


動けないくせに、しつこく妙な魔法を使ってきやがるな。だが無駄だ。


『解呪』


「悪ぃな魔王よぉ……助かるぜ……」


「いいからさっさとトドメを刺せ。」


「おうよ……」


『縛炎』


おっ、網のような炎が収束しデュラハンをぎちぎちに締め付けてる。それでも燃える気配がない。しぶといなぁ……だが。


「みんなの……ハルナの仇だ! 死ねやぁぁぁーー!」


片足となり、立つのもやっとの状態から飛びあがり渾身の力を込めた打ち下ろし。


『ゲギャギャギャギャァァァーーーー!』


最後の足掻きか? だがもう遅い。ドロガーの一撃はデュラハンの頭部を見事に真っ二つにした。


「はぁっ……はぁ……ざまぁみろ……傷裂ドロガーを舐めん……じゃねぇ……」


「おい、一応きっちり燃やしておけよ。アンデッドはしぶといんだからさ。」


「お、おお、分かってる……」


『火柱』


やっぱ動かないアンデッドを燃やすには火柱が一番だよな。国は違えどその辺りは同じだな。


『ゲギャギャァァァ…………』


最後までしぶといな。半分になって、燃やされながらもドロガーに噛みつこうとしている。あっさり串刺しにされたけど。やがてドロガーの剣に刺さったまま、静かに燃え尽きた。


その場に現れたものは、最初にデュラハンが使っていた背骨のような鞭だった。趣味悪っ……


「ヨッちゃあぁぁーーん! やったね! 見てたよ! ヨッちゃんって呼びにくくなっちゃったよー!」


クロミがミスリルボードから降りてきた。


「話は後だ。足を繋ぐぞ。クロミは治癒系の魔法は使えるか?」


「少しねー。ニンちゃんこそいいポーション持ってるんだよね?」


「ああ、ほらドロガー。さっき拾った足を出せ。そしてここに寝ろ。」


『水壁』


「お、おお……すまねぇ……」


よし。では傷口を『浄化』できれいにして……


「じゃあ繋ぐよー。えーっと、向きは……こうかな? よし、こうじゃん?」


『治癒』


二ヶ所も切断されてるから向きが分かりにくいよな。デュラハンの頭部が飲み込まなくてよかったが、体がないから飲み込みようがないのかな。


「ほれ、これも飲んでおけ。半分な。」


「おお……すまねぇ……」


残り半分は傷口にかけるからな。


「うーん、治癒の魔法って苦手だしー。まだぁー?」


知らねーよ……治癒の魔法が使えない私に分かるはずがない。




「ほう? デュラハンに勝ったのか。名誉の負傷と言ったところか。うちの者どもはどうした?」


ちっ、さっきの赤兜どもが入ってきやがった。


「全滅みたいだな。さっきまで鎧兜が転がってだぜ?」


ドロガーがこの様だから私が話さねばなるまい。ちなみに鎧兜はいつの間にか消えてた。


「それにしても奇妙な状況だな。その者だけが負傷しており他の者が無傷とは。そのようなパーティーに先はないぞ?」


ドロガーだけに戦わせるおんぶにだっこパーティーだと勘違いしてやがるな?


「ちょっとうちのリーダーとデュラハンに因縁があってな。一人でやるっつーからやらせただけだ。まあ次のデュラハンが現れるまでには出るから気にするな。」


そもそも今回ドロガーが倒したデュラハンだって所詮は迷宮のボスでしかないもんな。大昔、ドロガー達のパーティーを潰した本人、本魔物と同じなわけないしな。まあドロガーの心の整理がついたのなら良しとしよう。 なんせ当時の奴より倍は強いデュラハンに勝ったんだから。これは金星だろ。


「クロミ、もういいぜ。ありがとな。魔王もポーションありがとよ。」


「おう。せっかくだからこれにでも座ってろ。」


鉄スノボ。人間一人が座ったまま迷宮を行くにはこのサイズがちょうどいいんだよな。


「すまんな。そんじゃあ赤兜の旦那よぉ、お先にな。お前らの武運も祈ってるぜ?」


「うむ。我らもすぐ追いつくだろう。先に行っておくがいい」


残念。たぶん無理だろ。最深記録が二十三階だろ? おおかた次かその次のボスが強いんだろうな。二十一階だなんて半端な階でさえこれほどの強さだったんだから。そんじゃおっ先ぃー。


それにしてもカムイが戦いたがらないとは珍しいな。どうしたこと?


「ガウガウ」


アンデッドは臭いから嫌? そりゃそうだ。でも、もっと臭いマスタードドラゴンとは戦ったくせに。実際にはアーニャのため、ひいては私のためだろ? わがまま言わずにさっさと攻略しようとしてくれてるんだろ。まったく、カムイはかわいいやつだぜ。

ついに第四章も500話まで来てしまいました。

なお、シューホー大魔洞編はそこまで長くならない見込みです。

(ならないとは言ってない)


今後ともいせきんをご愛読いただけると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 第四章500話おめでとうございます! 長くなっても短くなっても楽しむから問題なしw
[一言] 敵討ち達成ですね。かっこよかったです。 あら、4章ももう500話ですか。すごいですね。ほんと、すごです、毎日更新……。
[一言] 500話到達おめでとうございます! ドロガーやるやんけえええ!!!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ