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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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461、アラニシ制圧完了

うぅーん……

くっ、頭が痛いな……やっと筋肉痛が治ってきたってのに……


「おはよ……」


「起きたわね。お腹は空いてない?」


食欲は……あるな。


「少しへってるかな。何かスープ系を頼める?」


「ええ、いいわよ。じゃあ降ろすわね。」


私の体にはアレクの白いコートが掛けられていた。上空は少し冷えるもんな。それなら私よりも……


「アレク、寒くない?」


「寒いわけないわよ。カースと密着してる上に……忘れたの? このウエストコートはドラゴン製じゃない。たぶん真冬でも寒くないんでしょうね。」


そりゃそうだ。だから私も全然寒くない。それなのにコートを掛けてくれたアレクの気持ちが嬉しいね。ふふ、よぉしよしよし。


「も、もう何よ、カースったら……ありがと……」


頭なでなで。アレクはかわいいなぁ。


アレクはミスリルボードを地面に降ろすと……


「じゃあ少し待っててね。」


「分かった。急がないでいいからね。」


どこかへ消えてしまった。適当な建物の台所を使うと見たね。カムイ、アレクを頼むぞ。


「ガウガウ」


私が付いていくとアレクの気が散るからな。料理をする新妻、それを後ろから……へへへ……


ごほん。さて、魔力の回復具合は……一割ってとこか。まあこれだけあれば大丈夫だろう。深紫(ディパープル)の大軍でも襲ってこない限りは。コーちゃんもいることだし、心を落ち着けて錬魔循環をしておこう。このような時ほど基本に帰るのだ。


「おお魔王、起きたんか?」


「ああ……」


ドロガーの野郎……さっきまでいなかったくせに。邪魔するんじゃねぇよ。


「起きたんなら生き残ったエチゴヤどもに契約魔法をかけてくれよ。いくら素手でもあれだけの人数の見張りはだりぃぜ……」


「あー……そりゃそうだな……行くわ……」


くっそ、私だって怠いのにさぁ……




へえ、ここは牢屋? いや、拷問部屋も兼ねてるのか? 趣味悪いわぁ……そういやエチゴヤってオワダでも拷問部屋が充実してたよな。やっぱあいつらって最低だわ。


エチゴヤの白い鎧、今では薄汚れた服を着ただけの野郎どもだが……人数はざっと二十人。意外とたくさん生き延びたんだな。途中であいつが降参したのがよかったね。エチゴヤにしては珍しい。おかげで私も助かった。あのまま全員に金操を使ってたら、結構危なかったもんな。魔力残量的に。我ながらいい口車だった。


「よぉーしテメーら! こっちに集まれや! 魔王様がテメーらに祝福を授けてくださるぜ!」


ドロガーの奴、何言ってんだ?


「お、おお魔王さん、ご足労ありがとうごぜぇやす! よろしく頼んます!」


カドーデラは寝てやがったな? いくら牢に閉じ込めてるからって気ぃ抜きすぎじゃないのか?

まあいいや。


「よぉーしお前ら! お前らは今日から真人間だ! さっきまでエチゴヤにいいように使われてたゴミクズじゃない! 太陽の神パイローナ様に顔向けできるよう! 額に汗して働け! 詳しくはカドーデラに聞け! そうすればお前らを正しい方向へ導いてくれるだろう! 約束するぜ! 真人間になりたいか!」


ちっ、無言かよ……


「真人間になりたくないってことはエチゴヤとしてクズのまま死にたいってことだな? いいだろう。お前ら悪党にも三分の理があるんだろ? よぉく分かった。そんじゃあ、そっちのお前から……」


「ああ、すいやせん魔王さん。こいつらに許可なく口ぃ開くなって言ってたのを忘れておりやした。おう、お前ら! 魔王さんのお言葉だぁ! 性根ぇ据えてお返事しろやぁ!」


「はっごぉっおおあ!」

「おっすぅいいああ!」

「はいっぽあっこは!」

「がってえけねねの!」


なんだこいつら? 私の言うことよりカドーデラ優先かよ。まあいい、契約魔法はかかった。これでこいつらは真人間だ。果たしてカドーデラや蔓喰の言うことに素直に従うのだろうか。他に問題があるとすればこいつらの考える真人間がどのようなイメージか……その辺りの整合性がとれてないんだが、まいっか。凶悪犯罪を起こさなければいいや。


あとはそうだな……


「そこのお前、こっちに来い。そして名乗れ。」


「おや、魔王さん? あいつがどうかしやしたかい?」


「ちょっとな……」


魔力が高い。アイリックフェルムの鎧なんぞ着てたら関係ないが、今ならよく分かる。こいつのせいで解呪に予想外の消費をさせられたんだよな。

ヒイズルには珍しい白に近い金髪、そして藍色の目。


「名乗れ。」


「ピエル……」


「本名をきっちり名乗れ。家名まで含めてな?」


ちっ、めんどくせぇなぁ……別に放っておいてもいいんだけどな。


「おう! 魔王さんがお尋ねだろうが! あんま黙ってぇと仲間が死ぬぞ? せっかく真人間になったんだろがぁ!」


おー、カドーデラが激しい。それにしても真人間になったのに黙ってるってことは……本名を話すのは不名誉なこと、何やら誇りに反する事情でもあるのかねぇ。


「仕方ないな。カドーデラ、こいつとどこか別室で話をさせてもらおうか。牢を開けな。他の奴らには飯でも食わせて明日から仕事ができるよう上手く割り振ってやんな。」


「へいっ!」


「来い。」


「…………」


一応ちゃんと付いてくるのね。見たところ三十歳前後か。なんでこんな所で闇ギルドの農園番なんかやってんだろうねぇ……

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― 新着の感想 ―
[一言] また、思わぬ人物との出会いでしょうか。
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